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Lenovo と NEC が PC 事業で合弁

【PC Watch】 レノボとNEC、日本国内におけるPC事業の合弁会社を設立

先週日経新聞がすっぱ抜いていた提携話について、Lenovo・NEC の両社から正式に発表があったもよう。国内 PC 最大手の NEC と、日本ではそれほどプレゼンスは高くないもののワールドワイドではそれなりの事業規模を持つ Lenovo が PC 事業で合弁会社を設立し、協業していくということです。

現時点では両社のブランドは併存し、主に研究開発や部材調達の分野で協力することで競争力を強化する、とのことですが、合弁会社の株式の過半数を Lenovo が獲得することや、同様に PC 事業を NEC に売却した IBM がコンシューマー向けハードウェア製造・販売から手を引き、ソリューション事業に集中した経緯を考えても、今後数年かけて NEC の PC は Lenovo ブランドに同化し、NEC は B2B 向けのソリューション事業に集中する、というシナリオが描かれていそうです(一般的には NEC は PC メーカーと認識されているでしょうが、PC は子会社である NEC パーソナルプロダクツの事業であり、現在の NEC 本体のメイン事業は IT サービス/ソリューション)。


低価格化が加速し過当競争になりつつある PC 市場において、ほぼ国内に閉じている NEC の PC 事業が(総合シェアトップにありながらも)主にコスト面で競争力を失い、より体力に勝る世界規模のメーカーに飲み込まれていく、という格好になるのでしょうか。逆に Lenovo からすれば NEC 程度のメーカーを吸収したところで全世界的にはそれほど大きなインパクトはなさそうな気もしますが、そこはコンシューマー向け PC のノウハウとか、そうは言っても世界第 3 位の PC 市場は無視できないとか、いろいろ理由はありそうです。
ODM/EMS を活用しなくては生き残っていけないのは間違いなく今後の流れだと思われるため、同様の動きはもしかすると他社にも波及する可能性はあると思います。特に、現時点で生産を国内で完結しているメーカー(富士通やパナソニックあたり?)は必然的にコスト削減の限界点が他社よりも早く訪れるため、今後は製品によっては ODM/EMS を積極的に活用するなり、他メーカーと提携するなり、高付加価値路線に変更するなりの体質改善を行う必要に迫られそうな気がします。特にパナあたりは最近女性向けにプロモーションしてみたり、珍しく 15inch の製品を出してみたり、BD ドライブ搭載モデルを出してみたり、少し前までなら考えられなかった B2C 市場への媚を売り始めているので、少なくとも従来のビジネスモデルが崩れ始めているのかなあ・・・と思います。

話を Lenovo と NEC に戻すと、もともと IBM(の PC 事業部)だった会社と NEC の PC 事業が一緒になることには、個人的にはとても複雑な思いがあります。私自身が以前 ThinkPad ユーザーだったこともありますが、ビジネス向けで質実剛健な ThinkPad と、コンシューマー向けにある意味節操なく売れ筋の製品を作り続けてきた NEC が一緒になることへの違和感だったり、「国民機」と言われた独自規格の PC-9800 シリーズを作ってきたメーカーと、オープンな「世界標準」となった PC/AT 規格の提唱者である IBM の成れの果てとが一緒になることへの感慨だったり、何というか、素直に受け容れがたいものがあります。

IBM が Lenovo に PC 事業を売却してまる 6 年が経とうとしていますが、IBM ロゴがなくなっても ThinkPad は ThinkPad。確かに現在でも受け継がれているものはたくさんありますが、かつての ThinkPad ユーザーから見ると、今の ThinkPad は ThinkPad であって ThinkPad でないもののようにも感じます。NEC と合弁することによって、両社の製品がどのような方向性に向かうのか、いち PC ユーザーとしても今後見守っていきたいと思います。

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