モナコGP予選 ヴェッテルPP、ペレスが大クラッシュ – GPUpdate.net
モナコGP決勝 ヴェッテルが5勝目、小林が5位 – GPUpdate.net
F1 のシーズンを通して最高のお祭りとなるモナコ GP。今回のレースはモナコに相応しい、今年最もエキサイティングな内容となりました。私にとって最高のモナコ GP は、「ここはモナコ、モンテカルロ。絶対に抜けない!」で有名な 1992 年のセナ vs. マンセルのバトルなんですが、今年のモナコはそれに次ぐ面白ささったと断言していいでしょう。
ドラマの始まりは予選 Q3。初の Q3 進出を果たし、アタックラップに入っていたザウバーの新人ペレスが、トンネルの出口で 200km/h のスピードが出た状態で路面のバンプに乗り、コントロールを失ってガードレールに激突→そのまま右サイドからシケイン出口に激突!右のサイドポンツーンが中身も含めて完全に潰れてしまうほどの大クラッシュで、ペレスはそのまま病院に運ばれて決勝も欠場しましたが、軽い脳しんとうと捻挫以外の怪我はなし。改めて F1 マシンの安全性が証明された格好になりました。
このクラッシュで赤旗中断された時点で Q3 は残り約 2 分 30 秒。ほとんどのマシンが再開後にラストアタックに賭けたものの、待機中にタイヤが冷えたこともあり、タイムの更新はなし。結果、ヴェッテルが今季 5 度目の PP を獲得しました。2 番手はマクラーレンのバトン。彼は予選アタックに出たタイミングが良く、アクシデント前にハミルトンやウェバーよりも良いタイムを出せていたのがポイントです。
で、決勝。スタートで躓きやすいレッドブルが今回は安定したホールショットを決め、「抜けないモナコ」でそのままチェッカーまで持ちこむかと思われたところ、初回のピットストップで想定外の時間を要してしまい、セカンドスティントに入った時点でトップはバトン。この時点でレースは俄然面白くなってきました。ヴェッテル贔屓な私ですが、一方的な選手権もそれはそれでつまらないので、せっかくだからこのままバトンに勝ってほしい(笑。
そのバトンが快調に飛ばし、ヴェッテルとのギャップを広げて 2 回目のピット作業を終えた直後、トンネル内でマッサがクラッシュ。このレースで初めて、かつ今季初めてのセーフティカーが導入されます。
運が悪かったのはバトン。せっかくタイヤを交換してペースを上げ、下位とのギャップを広げていこうと思った矢先に SC で隊列を組まされ、交換したてのタイヤもこれで冷え冷えに。自分はあとプライムタイヤしか残っていないのに対して、前を行くヴェッテルはオプションを残した状態。これではコース上でヴェッテルを交わす以外に、勝つための手段は事実上ありません。
しかしここからのバトンがすごかった。SC 後のオプションタイヤでも、その後 3 回目のピットストップでプライムタイヤに換えてから素晴らしいラップを連発し、まだ 1 ストップしかしておらずタイヤのヘタったヴェッテルを猛追。3 回目のピットストップ直後は 20 秒以上あったヴェッテル、アロンソとのギャップを、残り 15 周でほぼテールトゥノーズの状態まで詰めました。
が、ここで多重クラッシュが発生。トップ 3 が周回遅れをパスしようとしている目前で発生した事故で、危うく 3 台ともが巻き込まれてしまいかねない冷や汗ものの状況でしたが、すんでのところで回避。しかし、ここでレースが赤旗中断になってしまいます。
レース距離の 75% を走り終えているタイミングだったので、このままレース終了か・・・と思われたのですが、現在はその規定がなくなっているらしく、事故処理の後にレースは再開。しかし、中断の間に皆タイヤ交換を済ませていたため(しかも、ヴェッテルとアロンソはオプション、バトンはプライム)バトンの追撃もここまで。結局、ヴェッテル-アロンソ-バトンのオーダーでレースが終了しました。
個人的には今回は久々にバトンに勝たせたかったということもあり、最後の赤旗は非常に残念でしたが、今回のトップ 3 はいずれもチャンピオン経験者。しかもアロンソが乗っていたのは必ずしもレッドブルやマクラーレンと競えるマシンとは言えないので、それを考えると F1 随一のドライバーズサーキットらしいレース、リザルトだったと言えるでしょう。ハミルトンは接触やペナルティで下位に沈みましたが、(ちょっとやんちゃがあったとはいえ)ハミルトンらしいファイトを見せてくれ、とても満足度の高いレースでした。
それにしてもバトンは不運でしたね。あれだけ良い走りをしたにも関わらず、前半に築いたギャップをセーフティカーで台無しにされ、終盤の追い上げであと一歩というところで赤旗に邪魔されて、約一年ぶりの優勝を失いました。逆に勝ったヴェッテルはピット作業のミスや実質的な 1 ストップ(赤旗中断時のタイヤ交換を除けば)という厳しいタイヤの状態というハンディを背負いながらも勝ってしまいました。勢いに乗っているときのドライバーには運さえも味方するという良い例ですが、これが今年のヴェッテルなんですね・・・まあ、プライムタイヤで 61 周の超ロングランをこなした走りは賞賛されるべきだとは思いますが。
さて、我らが可夢偉。彼は今回自己最高となる 5 位でフィニッシュしました!ヴェッテルと同じく実質的な 1 ストップ作戦でしたが、戦闘力に劣るマシンで終盤の大詰めまでウェバーとハミルトンを抑える力走。しかも赤旗中断→SC 先導によるローリングスタートがなければウェバーを最後まで抑えきっていた可能性も高く、それだけに最後の赤旗が悔やまれます。むしろ、4 位走行中に起きた多重クラッシュで、このまま上位 3 台が巻き込まれてくれれば・・・と不謹慎なことを考えた日本人は 130,000,000 人くらいいたのではないでしょうか(笑。
この 5 位は今シーズンのザウバーチームとしてはもちろん最高位で、決勝を欠場したペレスの穴を補って余りある結果だと思います。また、可夢偉自身の最高位であると同時に、モナコ GP における日本人最高位も記録。ウェバーにこそ抜かれましたが、これは可夢偉自身にとっても望外のリザルトではないでしょうか。今回は上位チームの脱落もあったので今後ずっとこういう結果が望めるわけではありませんが、アクシデントがあれば表彰台が狙えるポジションにいるのは事実。これからも果敢に狙っていってほしいですねー。で、上位チームの目にとまってくれることを期待します。
結果だけ見るとモナコはヴェッテルの優勝、6 戦中 5 勝+2 位 1 回、という圧倒的な状況は変わっていないのですが、それでも今年はとてもエキサイティングなレースが続いています。次は北米に舞台を移してカナダ GP。ライブ視聴が辛い時間帯になりますが、がんばります(^^;;
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