シグマ APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM のレビュー、まとめ編をお送りします。
このレンズ、写りはいいし使用感もなかなか良かったのですが、いかんせん作例を撮りに行く余裕がなく。レンズはもう返却してしまい、追加撮影ができないのですが、そういえば以前のイベントで撮影した未公開ショットがたくさんあったなと思い、NAS をひっくり返して(いや、ひっくり返したら壊れかねないので、言葉のアヤですが)みました。
そしたら、以前はほぼ JPEG 撮って出しに近い状態で掲載していたんですが、改めて RAW 現像してみたら以前よりも満足いく写真になったじゃないですか。しかも、今回借用して撮った写真よりもよく撮れてるものが多い(笑)。スタジオ撮りだったとかカメラとレンズの個体同士の相性とかいろいろ理由は考えられますが、今まで掲載した作例よりもこっちのほうがレンズの真の性能を表しているかもしれません(^^;;
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
80mm(128mm 相当)、F5.6、1/10 秒、ISO160
モデルは紗々さん。最近私の周囲で人気が高まってきているので、今回の作例は彼女で行きます。別にページビューを狙っているわけではありません(ぉ
しかし 1 年ちょっとの間にグッと大人っぽくなりましたね・・・、と先日の横浜で撮影した写真と見比べて気がつきました。
これは当時も掲載したカットですが、JPEG 撮って出しだとけっこう盛大に白飛びしていたのが、改めて RAW 現像してやるとずっと良くなりました。風景などの場合はコントラスト高めに現像することが多いですが、最近、ポートレート系の現像はコントラストをピクチャースタイルのポートレートモードよりもさらに 1~2 段下げたくらいの画質が好みです。
肌の滑らかな階調表現も良いですが、髪の毛や睫毛の繊細な描写の仕方がこのレンズらしいところかな、と一通りのレビューをしてみた今改めて思います。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
80mm(128mm 相当)、F5.6、1/20 秒、ISO200
こういう描写を見るとやっぱりこのレンズは風景よりもポートレートに向いているんじゃないか、という気がしますね。シャープなんだけれど線が細くて柔らかい。色乗りはやや淡泊ですが、そのへんはカメラ側の設定や現像でどうにでもなるので、このくらいのレンズを買おうと思う人であればあまり問題にならないレベルだと思います。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
91mm(145mm 相当)、F2.8、1/40 秒、ISO100
絞り開放で、手前側の睫毛にピントを合わせてみた写真。浅めのピント面から外れて行くに従ってなだらかにボケていく、クセのないボケ味です。
ちなみにここに掲載している作例は、基本的にピクチャースタイル「ポートレート」から 1~2 段アンシャープマスクを強めにかけて、あとは露出とコントラストを適宜補正して現像したものです。ポートレートモードに少しシャープネス強め、コントラスト低めの設定で現像することが多かったので、EOS でこのレンズを使ってポートレートを撮るなら、あらかじめカスタムピクチャースタイルを用意しておいても良いかな、と思いました。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
76mm(121mm 相当)、F2.8、1/13 秒、ISO800
最初にこのレンズを触ったときの印象は「絞り開放から安心してズバッと撮れてしまうレンズ」というものでした。借用したレンズが開放ではピントが合いきらないことが多かったのは、レンズの個体差もあるかもしれませんが、野鳥や風景など静止していない被写体だったというのもありそうですね・・・。線が細いぶん、等倍で見たときに微妙なピンずれが気になるというのもあるかもしれません。でもピントが合った写真のゾクゾクするような立体感は、さすがナナニッパ。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
91mm(145mm 相当)、F2.8、1/60 秒、ISO100
えっと、だんだん作例を意識してというよりも自分が気に入った写真を現像しているだけになってきました(ぉ。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
157mm(251mm 相当)、F2.8、1/320 秒、ISO100
描写も良いんですが、やはり F2.8 のレンズはファインダを覗いているだけで楽しいもので、撮った写真を眺めていると、これを撮ったときのファインダの見え方を思い出してまた撮りたくなってくる魔力を秘めていると思います。F4 にはなかった、ファインダの中に主題がグッと浮き出てくる感覚。APS-C のボディでも十分感じられるくらいなので、このレンズをフルサイズで使ったらどんな感じなんだろうか?と想像せずにはいられません。あ、5D Mark III は少なくとも当面は買いませんよ(ぉ
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]
86mm(137mm 相当)、F2.8、1/250 秒、ISO100
ということで、今 EF70-200mm F4L を持っていなかったとして、手元に 10 万円あったなら、私はこっちのナナニッパを買っていたかもしれません。スペック的にはキヤノンの EF70-200mm F2.8L IS II USM と比較すべきかもしれませんが、そういうレビューはあちこちにあるでしょうし、おそらく私のように「純正のナナニッパには手が出ないけど、レンズメーカーのものなら何とか。で純正の 70-200 F4 とどっちがいいか」という人は多いのではないでしょうか。性格の違うレンズなので一概にどちらを買うべき、という結論にはなりませんが、描写の傾向がハッキリと違うので、主に何をどう撮りたいかで自ずと答えは出るでしょう。
キヤノンにしろニコンにしろ 25 万円出せるなら迷わず純正の新型ナナニッパを買っておいた方が何かと後悔はしないでしょうが、そうでないならば、十分に検討に値するレンズです。シャープさや発色の傾向、全体的な扱いやすさまで含め、まさに「今のシグマを代表するレンズ」と呼べるのではないかと思います。
シグマ / APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM (キヤノン用)
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