「下北ってのは道が蜘蛛の巣みたいで、すぐわからなくなる」
まだ道路脇に大雪の跡が残る 2 月某日。コミック『孤独のグルメ』単行本未収録の第 23 話「下北沢路地裏のピザ」編の聖地巡礼に、下北沢までやってきました。下北沢なんて普段用事がないので、2 年前に聖地巡礼でお好み焼きを食べに来て以来じゃないでしょうか。
目指すお店は、下北沢のごちゃっとした商店街から一本脇に入った路地裏にある、このお店。
なんだか古そうな店だけど…こんなコバラベリーには案外、ちょうどいいかもしれぬ。
今時のワカモノの店とは全然違う、案外いいんじゃないか逆に。
休日のちょうどお昼に来たにも関わらず、お店は貸し切り状態でした。食べてる間に他のお客さんも入ってきたけど。
すごく歴史を感じさせるメニュー。
プレーンなピザに自分で具を選んでのせる方式です。
トッピングの種類は、最近の宅配ピザに比べるとオーソドックスだけど、なかなか多彩。「ピザにミートボールは出っぱりすぎじゃないか?」「シーフードもいいな、アサリか。そこにナスをぶつける」何を食べるか、想像するだけでオモシロイ。
ピザのサイズは、原作によると L が直径 28cm、M が 23cm。宅配ピザだと L は一人で食べるには多すぎるけど、こういうところのはちょうどいいくらいでしょう。
ランチのサラダ。シンプルな野菜サラダですが、白ワインビネガーとオリーブオイルかな?酸味の強いドレッシング加えられたセロリの風味が、懐かしさを醸し出します。
そして、ピザのご登場。
ほう、これは外連味のないピザだ。ゴローちゃんはサラミ、トマト、ピーマン、アンチョビというトッピングを選んだけど、私はもう少しシンプルにまとめたかったので、ピーマン抜きで。
味付けはトマトソースと胡椒のみ、というシンプルさ。これこれ、これですよ。
変に衒わずに、チーズとトッピングそのものの味のハーモニーを楽しむ。これがこの店の流儀だろう。
最近じゃイタリアンのお店でピザ用の窯を持っているところも多く、もっと本場っぽいピザをいただけるお店がずいぶん増えましたが、逆にこういう昔懐かしいピザを出すお店がすっかりなくなっちゃいました。この店は、クラストの種類こそ違えど大井町の「オリガノ」にならぶ「日本のピザ屋」という形容が相応しい。
うん、アンチョビの塩味も効いているじゃないか。うまい、古くさい味じゃない、若々しいピザだ。
ここのクラストは、縁の部分がふっくら、表面だけカリッと焼いたパンピザ系。でも中央部は薄くて、チーズの重みを支えるのにさえ頼りない感じ。原作で店員さんが「トマトとしめじじゃ水っぽくなっちゃう」とアドバイスしていたのも、これなら頷けます。
テーブルにはかなり大きなサイズのタバスコが。辛味好きとしては、半分ほど食べたら残りはこのタバスコをビシビシかけていただきます。
独りピザ、ってちょっと寂しい気もするけど、お洒落なイタリア料理店じゃなくてこういう昔ながらの喫茶店風なお店なら、アリだな。
食後にはコーヒーで一息。
ううっぷ、ピザ M 追加しなくて正解。L、腹の中で膨れてきた。これでちょうどいい。
ふう、ごちそうさまでした。
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