久しぶりに「みんぽす」でレビュー用機材をお借りしました。今回試用するのは、BenQ のフル HD プロジェクタ「W1080ST+」です。
我が家の AV 環境は、DVD の最盛期だった 2002~2004 年に一揃い集めた機材の一部がまだ現役で稼動中。プロジェクタは 12 年も前に買った「VPL-HS10」で、当時は十分な性能でしたが、今やフル HD ではないし HDMI 端子も付いていないし、スペック的にはすっかり陳腐化してしまいました。それでもたまに大画面で観たくなって、引っ張り出してきて使っています。
その後 10 年余りの間に市場はすっかり変わってしまって、地デジ化で多くの家庭に 40inch 以上の液晶テレビが安価に導入された結果、映像を大画面で楽しみたいからプロジェクタを…という人は以前よりもさらに少なくなってしまった印象。プロジェクタも各メーカー、ビデオ用は高級機のほうに主軸を移してしまったらしく、10 万円前後でフル HD、というとエプソンか BenQ くらいしか選択肢がなくなってしまいました。あとは 30 万円クラスの LCOS プロジェクタか 5~6 万円の WXGA(1,280×800)モデルかビジネス用のデータプロジェクタか、という状況。お金に糸目をつける AV 好きには寒い時代ですが、嘆いてもしょうがない。
そんな中、ちょうど良さそうなフル HD プロジェクタとして W1080ST+ を試用する機会をいただいたので、買い換えも視野に入れつつ試してみたいと思います。
この W1080ST+ はちょうど 1 ヶ月前に発売されたばかりの新製品。製品名に「+」がついていることからも分かるとおり、前機種「W1080ST」のリファインモデルという位置づけです。W1080ST からの変化点は、横方向の台形補正に対応したこと、MHL(スマホやタブレットの MHL 端子との HDMI 接続)に対応したこと、内蔵スピーカの音質向上、の 3 点。プロジェクタとして見たときに重要な画質周りの変更点は台形補正くらいなので、それが必要なければ価格の下がっている旧機種の流通在庫を当たってみても良いかもしれません。
フットプリントは 13inch クラスのノート PC と同程度。よく会議室に置いてあるデータプロジェクタと同じくらいのサイズ感なので、ビデオプロジェクタとしてはコンパクトな方ではないでしょうか。ビジネス用としても違和感のないサイズ/デザインで、超短焦点という使い勝手の良さもあるので、個人事業主系の方であれば昼間は打ち合わせに使い、夜や休日はプライベートに使う、という使い方をすればコストパフォーマンスが高そう。
電源や操作ボタンは本体天面のパネルに集約されています。
通常、プロジェクタは天吊りだったりスクリーンから話して設置する必要があるので、操作はリモコン中心で本体側のボタンはほとんど使わなかったりしますが、(詳細は別途エントリーしますが)このプロジェクタはリビングのローテーブルに設置するくらいがちょうどいい投写距離なので、ここに操作系が集まっているのは意外と便利。
背面の入出力端子には、HDMI IN×2(うち片方は MHL 対応)、RS-232C(PC 用アナログ RGB)入力×1、アナログコンポーネント入力×1、アナログビデオ入力×1、ステレオ音声入力×1、ステレオミニ音声入力×1、同出力×1 が備えられています。USB Type-A 端子は別売のワイヤレス HD 転送キットへの給電用とのことですが、これは国内では未発売のもよう。
入出力端子として足りないものがあるとしたら S 端子くらいでしょうが、今さら S 端子で繋ぎたい人もまずいないでしょうから、必要にして十分な端子が揃っていると思います。ステレオミニの音声出力があるので、2ch ステレオで良ければアクティブスピーカやヘッドホンを繋いでお手軽にパーソナルシアター環境を構築できそう。
底面は 3 本の脚で前後・左右方向にチルト可能(左右方向は水平を整える程度)。
天吊り金具用のネジ穴も一応ついていますが、超短焦点なので天吊りよりも床置きがメインになるでしょう。
前面…はこれといって特徴もありませんが、強いて挙げるならば超短焦点プロジェクタなのにリモコン受光部が前面にあるのは、兄弟モデルの長焦点プロジェクタ「W1070+」と筐体を共用しているためでしょう。リモコン受光部は天面(操作パネル内)にも配置されているため、後ろ側からのリモコン操作にも対応はしています。
この製品のキモでもある、このレンズ。前玉が大きく湾曲したレンズで、見るからに広角です。
カメラ用のレンズだと、超広角レンズでは周縁部に歪曲が出やすかったり像が流れやすかったり、通常の焦点域よりも画質的に不利になりやすいもの。プロジェクタといえど光学製品なので、その法則からは逃れられないはずです。実際の画質がどの程度のものかについては、追ってチェックしていく予定。
レンズのズームとフォーカスは手動式ですが、超単焦点ならばスクリーンを見ながらの調整も難しくないので、これで十分です。オートフォーカスがあるとさらに嬉しかったですが、それは贅沢というものでしょうか。
むしろ、超短焦点で下からあおるような投写になるので、画面の上下でピント面がずれそうなのがやや気になるところ。
付属のリモコン。これといって特筆すべきこともありません。再生/停止や早送り/戻しボタンがついているので HDMI-CEC で BD プレイヤーの操作ができるのかと思ったら、これは MHL 接続したスマートデバイスの操作用とのことで、ちょっと残念。VOD がもっと普及してくれば、スマホやタブレットをプロジェクタに直接繋いで映画鑑賞、というのも一般化するかもしれませんが…。
リモコン上の「LIGHT」ボタンを押すと、ボタンが赤く自発光するようになっています。プロジェクタのリモコンとしては一般的な仕様ですが、これがないと照明を落としたシアタールームでプロジェクタを操作するのにも一苦労するので、重要なんですよね。
そんなわけで、これから 1 ヶ月ほどかけてレビューしていきます。この際だから、今までテレビでしか鑑賞できてない BD ライブラリをできるだけプロジェクタで観返してやろうかな(笑。
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