昨秋の劇場公開時に話題になっていた映画を、Blu-ray にて鑑賞しました。
ある意味王道のスパイ映画。国家や企業に所属せず、世界の秩序と平和を守るために存在する極秘組織「キングスマン」を描いた物語です。
サミュエル・L・ジャクソン演じる、超大手 IT 企業のカリスマ経営者、リッチモンド・ヴァレンタインが「地球を存続させるために人類を粛清する」ことを目的に、世界中にある時限装置を仕掛けます。その企みを阻止するために「キングスマン」が動く、というお話。
アーサー王物語の「円卓の騎士」になぞらえられた「キングスマン」は、各人が究極の紳士でなければならず、行動の一つ一つがスタイリッシュ。でありながら、ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントも顔負けのアクションを見せてくれ、スパイ・アクションとして非常に見応えのある映像にしあがっています。スパイ映画になくてはならないスパイ道具類も凝っていて、現代の映画らしいところでいえば AR を駆使した映像的演出もあって、非常にカッコイイ。ただ、途中で「名探偵コナンかよ!」とツッコミを入れたくなるベタベタのスパイ道具もあったりして、これが単なるシリアス一辺倒のスパイ映画とは一線を画す作品であることが示されています。
モブキャラまで含めかなり多くの登場人物が死ぬ映画なので、目を背けたくなる死亡シーンも随所にありますが、できるだけ残虐一辺倒にならないよう、映像や音楽を含めた演出で緩和されているのが印象的でした。クライマックスに出てくる、ヴァレンタインの賛同者や部下たちが一斉に死んでいくシーンでは、(不謹慎な話に聞こえるかもしれませんが)むしろ爆笑せざるを得なかったほど(笑。表現手法としては B 級スレスレの演出ですが、製作サイドの「これはエンタテインメントである」という意図の表れと感じました。
シナリオとしても「え、ここでこの人が退場しちゃうのか!」とか「こいつが裏切るとは思わなかった!」とか、裏をかかれる展開が多く、最後まで手に汗を握りっぱなし。最後までジェットコースターにでも乗っているような感覚で楽しめました。
ちょっと方向性は違うけど、どこか『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に通じる馬鹿っぽさ溢れるアクション映画でした。こういう映画も、たまにはいいですね。
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