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EOS M5 レビュー (7):動体撮影性能を試す

キヤノン EOS M5 のレビューですが、今回は以前から気になっていた動体撮影性能について検証してみました。

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イベント時のハンズオンでも動く被写体は用意されていましたが、被写体がちょっと小さすぎ/距離が近すぎでうまく撮るのが難しく、もう少し現実的なシチュエーションでの動体撮影で試してみたいと思っていました。

というわけで、条件を揃えて他のカメラとも比較してみることに。
比較対象は EOS 7D Mark II とソニー α6000。どちらも本気の動体撮影性能をアピールしている機種で、EOS M5 と比較するのはちょっと申し訳ない気もします。本来は 80D や Kiss、M3 あたりと比較するのが良いんでしょうが持っていないので、あえて上位クラスのボディとガチンコ比較。

被写体は駅のホームに入線してくる電車です。速度を落としながら向かってくる被写体なので本気のスポーツ撮影に比べればぬるめですが、なかなか同条件で比較できる動体の被写体ってないもので。
撮影設定はシャッター速度優先 AE・サーボ AF(AF-C)・速度優先連写・シャッタースピード 1/500sec.・ISO AUTO・画角 72mm 相当・RAW+JPEG 記録で揃えました(後述する一部例外を除く)。運行に迷惑のかからない場所で手持ち撮影なので、少しずつ構図がずれているのはご容赦を。

■EOS M5+EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM

まずは EOS M5 とキットレンズにあたる EF-M15-45mm。少しは苦戦するかと思ったら、いきなり全コマしっかりピントが合ってきました。これには少し驚いた。
RAW+JPEG 記録だとサーボ AF 使用時で 7 コマ/秒、16~17 コマでバッファが詰まってしまい 2 秒程度しか連写できないので、動く被写体を追いかけたいときは JPEG 記録に割り切った方が良いかもしれませんが、それにしても十分使い物になるレベルです。

また、タッチ&ドラッグ AF は動体撮影に使うと改めて素晴らしさを実感できます。追尾 AF 機能を有効にしておけば、被写体が登場した際にタッチ&ドラッグで被写体をダイレクト選択すれば、あとはカメラが被写体をオブジェクト認識してオートで追いかけてくれる。これは従来の一眼レフで方向キーを使ってチマチマ AF フレームを動かしたり、自動選択 AF でカメラの被写体認識に頼るのとは次元の違う快適さ。このまま像面位相差センサの性能が向上し、専用位相差センサの性能と同等以上になった暁には、一眼レフよりも動体撮影に適したカメラに進化できるに違いありません。

■EOS M5+EF24-70mm F4L IS USM

ではマウントアダプタ経由の USM レンズだとどうか?ということで、EF24-70mm F4L でも試してみました。一般的にミラーレスカメラにマウントアダプタをかますと AF 機能に何らかのエクスキューズが出がちですが、少なくとも EF/EF-M アダプタでキヤノン製の USM レンズを使っている限りでは、EF-M レンズと遜色ない AF 性能が出ています。
先日の記事で「USM レンズをつけるとデフォルト設定のコンティニュアス AF の動作が不快」とは書きましたが、自分自身が意図して AF を使いたい場面では USM の動作による振動はさほど気になりません。


■EOS 7D Mark II+EF24-70mm F4L IS USM(位相差 AF)

続いて比較対象の EOS 7D Mark II。位相差 AF(光学ファインダ使用時)で速度優先連写を使うと、RAW+JPEG 記録でも秒間 10 コマ連写で最大 24 コマの記録が可能(公称スペックを上回っていますが、SanDisk Extreme CF 120MB/s メディア使用時の実測値)という暴力的な性能に頼れます。
さすがにクラスの違うボディ、圧倒的な性能ですが、EOS M5 と比べてみて気がついたのは、AF ポイントが位相差センサの配置に依存するのは、今となってはやや扱いづらいということ。M5 のデュアルピクセル CMOS AF は撮像素子のほぼ全面で AF が可能なため、被写体が画面上のどこにいても追えるのに対して、7D2 の位相差 AF は位相差センサの範囲外に被写体があるときは AF が合わせられません。65 点自動選択 AF かラージゾーン AF を使ってカメラ任せにするのが定石ですが、こういう背景と前景がごちゃっとした構図だと、自動認識では狙ったところに AF が合ってくれないことも多いんですよね。そもそも全面で AF が可能で被写体をタッチで直接選択できる M5 の操作性を味わってしまうと、最初の AF の食いつきの時点でまどろっこしさを感じてしまいます。

7D2 のモータースポーツや野鳥レベルの動きにも追随できる AF 性能や多彩な AF プログラム、AF フレーム切り替え機能などはスポーツ撮影には最適なのですが、これにタッチ AF が加わってほしくなりますね。光学ファインダの仕組み上、まず無理だとは思いますが…。

■EOS 7D Mark II+EF24-70mm F4L IS USM(デュアルピクセル CMOS AF)

デュアルピクセル CMOS AF は 7D2 にも搭載されているので、同条件で撮影してみました。デュアルピクセル CMOS AF を使うと少し連写性能が犠牲になるのか 20 コマでバッファが切れてしまいましたが(それでも公称スペックは RAW+JPEG 時で最大 18 コマなので十分)、EOS M5 よりも多く記録することができます。
AF の効き具合としては M5 の DPCMOS AF と遜色ない感じ。ただ AF フレームの選択はカーソル操作になるので、M5 のタッチ&ドラッグ AF に比べると瞬間的に被写体に AF を合わせる速さは比べものになりません。やはり 7D2 の DPCMOS AF はライブビューのためというよりは EOS MOVIE のためにある、という印象。

■α6000+E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS

最後は α6000。ミドルクラスの APS-C ミラーレスということで、M5 と比較対象になりそうなのはこの α6000 か α6300 でしょう。
ひとつ言い訳をすると、他のカメラではシャッタースピード 1/500 で固定していたのが、これだけ私の誤操作で 1/400 の設定になっていました。そのため微妙に被写体ブレがあり、電車にビシッとピントが合っている感がやや欠けています。あと標準ズームレンズの解像感は EF-M に比べると劣りますね…PZ16-50 じゃなくてツァイス銘の 16-70mm を使えば良かったかも。

さておき、ミラーレスでありながら連写性能は EOS 7D2 に匹敵するレベルにあるというのが改めてすごい。動体への AF の食いつきという点では 7D2 にはさすがに劣りますが、それでも運動会レベルなら十分以上な性能はありますからね。
この電車でのテスト撮影では M5 との差はあまり感じられませんでしたが、AF 追随で秒間 11 コマという連写性能を活かしてベストショットが撮れる可能性を高められるのが α6000 シリーズの武器だと思います。

というわけで今回の比較テストでは、AF の追随性という部分ではそれほど大きな差は出ませんでしたが、連写速度と連続撮影枚数ではけっこうな差がつきました。逆に言えば、動体 AF 性能だけで言えば数年前とは違い、ミラーレスでも今は十分に動体撮影に堪える(少なくともちょっとしたスポーツレベルでは)ことは間違いないと思います。
それから、タッチ&ドラッグ AF のおかげで、今回テストしたカメラの中では被写体に最初に AF を食いつかせる操作は EOS M5 が最も快適だったことは改めて書き添えておきたいと思います。静物やポートレートはともかく、動体撮影がタッチ&ドラッグ AF でここまで快適になるとは思っていませんでした。この機能はこのカメラだけに留めておくのは非常にもったいない。一日も早く他社も含む全てのカメラに搭載してほしいと思える、新世代の操作性だと感じます。

キヤノン / EOS M5

■関連リンク
EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編
EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ
EOS M5 レビュー (5):ボディとレンズのバランスを見る
EOS M5 レビュー (6):スナップ撮影に持ち出してみる

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