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劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ @TOHO シネマズ川崎

『マクロス Δ』の劇場版を観に行ってきました。

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ

サブタイトルは『激情のワルキューレ』。劇場版だから激情、って駄洒落もいいところですが(笑)、このサブタイトルのとおり主役はハヤテ・インメルマンではなくワルキューレだったと言って良いでしょう。まあ、テレビ版の頃から BD/DVD の売上はさほど振るわなかったけどワルキューレの楽曲やライヴチケットは売れていたと聞くので、こういう展開になった理由は肯けます。

ストーリーはマクロスシリーズにおける劇場版の例に漏れず、テレビ版を再構成したもの。しかし前作である劇場版マクロス F が内容を大きく改変したリメイクだったのに比べると、今回はストーリー自体は変えずに物語の構成を大胆にいじることで、同じ物語でも見え方が変わっていました。テレビ版は、前半こそいい感じに盛り上がったものの、後半、特に最終話でガックリ来てしまい、なんだか残念なアニメだったな…という印象を受けたものですが、劇場版では最後に向けてちゃんと盛り上げてしっかり締められていました。テレビ版で一番良かったくだりをそこに持ってくるかー、という驚きはありましたが、これはあくまで尺の短い劇場版向けに圧縮したからこそ成り立った手法であって、逆に放送期間の長いテレビ版ではこの構成は取れなかったでしょう。
そんな感じで 2 クール分のアニメ作品を 2 時間に収めてあるので、時系列は組み変わっているし、いろいろ省略もされています。特にテレビ版の放送時にキーワードとされていた三角関係要素はほとんどないし、ミラージュは戦闘シーンでの見せ場こそあったもののジーナス家出身という設定はほとんど活かせていないし、かなり割り切られています。ボリューム的には F 同様に前後編二部作になってもおかしくないのをここまで圧縮したのは、相当限られた予算の中で映画化する必要があったからではないか、とパンフレットを読んで感じました。

どれくらい割り切っているかというと本作の戦争の原因(ウィンダミアが新統合政府に対して宣戦布告した理由)が曖昧なままだし、本来の主人公だったハヤテも存在感が薄い。映画というよりもストーリーつきのライヴ映像という感覚で、この映画自体がワルキューレのステージパフォーマンスを軸に、それ以外の要素は PV として破綻しない程度に取捨選択して組み立てられたのでは?と思えるくらい大胆な作り。映像と音の濃さだけで言えば濃縮果汁を還元せずそのまま飲んでいるような感覚(笑。それでも終幕後の後味がテレビ版よりも全然スッキリしているんだから、あのテレビ版の脚本は何だったんだと言いたくもなります(ぉ

そんなワルキューレのステージの中でも圧巻は、制作費の大半を賭けたのではないかと思える序盤のライヴシーン。新曲『チェンジ!!!!!』を全編フル CG で映像化していて、テレビ版では絶対にできなかった劇場版ならではの映像表現に圧倒されました。これが観れただけでも映画館まで足を運んだ甲斐があったというものです。三曲あった劇場版向けの新曲はどれも効果的に使われていて、良いところで盛り上げてくれました。
メカ的にもサプライズが三つほどあったし、2 時間という尺の中ではかなりお腹いっぱい感のある映像と音で満足感高し。特に音響面では映画館のサラウンドでもライヴハウスのような音が出るように調整してあって驚きました。これは音の良い映画館で観るべき映画だと思います。不満があるとすれば、やっぱりクライマックスは『F』のラストのようにメドレーでたたみ掛けてきてほしかったということくらいでしょうか。
本当はこういう映画こそシネマシティの極爆上映やチネチッタの LIVE ZOUND で観たいところだけど、上映館がほぼ東宝系に限られてしまっているのが残念。まあ、前述の通り普通の劇場音響でも十分雰囲気は出ていますが…。

そういえばパンフレットでいろんな人が「今後の展開は今回の反響次第」と言っているのが気になりました。現場としては続編をやりたいけど、やれるかどうかは映画の興収と BD/DVD(あとスマホゲーム)の売上次第というところなのでしょう。最近ではガンダム THE ORIGIN でも関係者がよくそんなことを言っていますし、世知辛い世の中ではあります。好きなコンテンツが継続して作られるためにはファンは積極的に課金するしかないということですが、この濃密な音と映像の体験は繰り返し味わう価値がある。上映期間中にもう一度くらい観に行ってもいいかも、と思っています。

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