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ヒアラブルデバイスと「音の AR」

ここ最近、ソニーから興味深いイヤホン系製品が立て続けに出てきました。

ソニーモバイルコミュニケーションズ / Xperia Ear Duo XEA20icon

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まずは一番面白いのが「Xperia Ear Duo」。過去にあった「Xperia Ear」は片耳用で、あくまで Bluetooth ヘッドセットの延長線上にあるヒアラブルデバイスでしたが、後継機(上位機?)である Duo では両耳でステレオ音楽再生に対応しつつ、耳を塞がないデザインで外音も聞こえるというタイプ。しかも左右独立型ワイヤレスイヤホンでもあります。耳の下から掛けるという珍しいスタイルは眼鏡使用者でも装着できるし、大きめのユニットは(あくまで見た目の印象では)左右間の音切れにも強そう。音楽メインではなく音声アシスタントと通話用ヘッドセット目的、音楽はそこそこの音で BGM 的に楽しめればいい向きにはかなり便利そう。近年、仕事で電話することが多い人で BT ヘッドセットではなく首掛け式の BT イヤホンを仕事中も掛けっぱなしにしている人も珍しくありませんが、そういう人にはうってつけのデバイスだと思います。

ambie / wireless earcuffs AMBT-01

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続いて ambie wireless earcuffs。ソニー製品という括りではありませんが、ソニーが出資した会社でソニーが製造しているという意味では近いものと言えます。これ自体には音声アシスタント機能は搭載されていませんが、日中つけっぱなしにして環境音と音楽を一緒に聴ける、そして音声通話にも使えるという点で Xperia Ear Duo と似たところを狙っていると言えます。違いは左右独立型か否か、そして音声アシスタントに直接対応しているか否かの違い(これはソフトウェア次第でどうにでもなりそうな気がする)と言って良いでしょう。

以前、初代 ambie sound earcuffs を使ってみたときに、せっかく外音と音楽を一緒に聴ける開放感が得られるデバイスなのにイヤホンケーブルに縛られているのがもったいないなあ…と思っていたら、案の定出てきた Bluetooth モデル。ただ先代は私の耳型にどうしても合わず、つけていると痛くなるのですぐに手放してしまった経緯があります。だから今回もちょっと使うのは無理だろうなあ…と思いつつ、外音と音楽、あるいは情報としての音を重ねて聞かせてくれる Xperia Ear Duo や ambie のようなアプローチはとても面白い。


一方で、技術的には真逆のアプローチをしてきた製品がこちら。

ソニー / WF-SP700Nicon

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左右独立型ワイヤレスイヤホン WF-1000X のスポーツ版という感じのモデルです。こちらは音楽を聴くことが主目的のデバイスながら、ハンズフリー通話や音声アシスタント操作にも対応し、かつノイズキャンセリング機能の応用である「アンビエントモード」によって外音の取り込みも可能という、いわば Xperia Ear Duo とは反対側からのアプローチで結果的に似たような特徴を持った製品と言えます。
個人的には、Xperia Ear Duo や ambie のようなオープンイヤー型のイヤホンよりも、マイクから取り込んだ音を加工して聞かせるアンビエントモードのほうに可能性を感じています。というのも、アンビエントモードは外音のうちノイズと判断される音域をカットして聞きたい音域だけ聞くことができる(例えば電車の走行音を消して人の話し声だけ聞ける)という点で優れており、今後音声アシスタントが進化して様々な情報が耳から入ってくる時代に適しているから。まあ、耳を塞ぐタイプのイヤホン/ヘッドホンは対面で人と話すときに相手から「こいつちゃんと聞いて/聞こえてないんじゃないか」という印象を持たれるデメリットがあるので、仕事中も使うならばオープンイヤータイプのほうが何かと問題にはなりにくいでしょうが。

スマートスピーカのブームもすっかり一段落という感覚の今ですが、音声アシスタントはむしろ個人が使うイヤホン(ヒアラブルデバイス)でこそ花咲く技術でしょうし、近い将来スマホに次ぐ規模の市場になるはず。過去にも何度か書いていますが、外音に音声アシスタントや音楽、あるいは通話が重なるのはいわば「音の AR」であり、技術的に難易度の高い視覚の AR よりも先に普及するでしょう。そうなれば歩きスマホも半減するし、個人的には早く一般化してほしい技術です。
スマホの Xperia はここ二年ほど完全に保守路線で技術的には周回遅れもいいとこですが、一方でスマホの次の世代に向けた仕込みはひとつイイ感じに実を結んできたなあ…という印象です(だからスマホはコンサバでいいとは言っていない)。左右独立型ワイヤレスイヤホンは実際使ってみるとイマイチという声も聞こえてきますが、競争が激しい領域でもあるし二、三世代のうちに完成度は高まってくるのではないでしょうか。私もそろそろ自分で手を出すつもりで物色してみようと思います。

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