銀座ソニーパーク(ソニービル跡地)で開催中のウォークマン 40 周年記念イベントを見に行ってきました。
Ginza Sony Park | Program | #009 WALKMAN IN THE PARK
そういえばここがソニーパークになってからちゃんと来たのはこれが初めて。最後に来たのはソニービル閉館直前の「It’s a Sony 展」だったから実に二年ぶりですか。
地上のパークエリアに展示されている巨大モックアップは初代スポーツウォークマン「WM-F5」。そこは元祖 TPS-L2 じゃないの?とも思いましたが、屋外展示だから防水ウォークマンというのはそれはそれで正しい気がします。外装自体がペリカンケースのような構造になっていて、ポップなデザインも相まって今見てもカッコイイ。
イベントのメイン展示はこのモックアップの脇にある階段を下っていくと出てきます。
このパーク自体がソニービル時代の構造や建材を流用したまま作られているので、床下にあたる部分に配管の跡が見られたりしてなかなかに生々しい。
会場内は電気製品の展示というよりはモダンアートのギャラリーっぽくなっていて、イメージしていたのとはちょっと違いました。時系列ではなくややランダム気味に並べられたスペースの中にそれぞれのウォークマンが販売された時代のキーワードを並べ、各製品が活躍した当時の文化を振り返るという趣。しかも展示品はほぼ全て試聴可能というのが熱い!ウォークマンそのものではなく、40 年という時間をかけてウォークマンが創ってきた時代が展示されているように感じました。
初代ウォークマン「TPS-L2」。実物を見るのはずいぶん久しぶり(たぶん It’s a Sony 展以来)。改めてみると初代機はずいぶん大きく、カセットテープのジュエルケースより二回りくらい大きいサイズ。一番最初の「WALKMAN」ロゴがシール貼りされているのも当時の経緯を表しています(当初「ウォークマン」は英語圏では意味が通じない和製英語だったため、海外では「Soundabout」「Stowaway」などの別名で販売されていた)。
初代機の特徴である二つのヘッドホンジャック。「GUYS & DOLLS」という刻印はカップルが一緒に聴けるように…という配慮らしいですが余計なお世話だわ(;´Д`)
オレンジ色の「HOT LINE」ボタンはその二人がヘッドホンをしていてもウォークマン本体の内蔵マイクを通じて会話ができるという機能のためのものです。もともとは再生専用機ではなく、記者用のテープレコーダーとして開発した「プレスマン」を転用して設計されたというウォークマンの成り立ちを象徴する機能だと思います。
二代目ウォークマン「WM-2」。「WALKMAN II」という今だったらまずつけられることのないロゴが刻まれています。
テープレコーダとの共通設計だった初代のヒットを受けて専用設計で作られた機種らしく、二世代目にして一気に小型化されました。以後「二世代目で一気に小型化」は CD や MD の世代になっても受け継がれるジンクスになっていきます。
ここに展示されているウォークマン、私もいくつか試聴してみましたが本当に懐かしい。音質で言えば現代の機器のほうがよほど良いはずですが、このウォームな音が当時を思い出させてジーンと来ます。また再生ボタンの感触とか、テープが回り始める瞬間のガチッというショックとか、メモリ内蔵+タッチ操作が当たり前になった今では失われてしまった感覚が甦ってきます。
こちらはワイヤレスウォークマン「WM-WE01」。ウォークマン 20 周年記念モデルのひとつです。
私は WM-805 くらいの世代からずっとワイヤレスウォークマンに憧れていたんですが、この機種が出た頃にはもう完全に MD/CD 派になっていたため WE01 にはさすがに手を出さずじまいでした。その 20 年後にポータブルオーディオは Bluetooth 伝送するのが当たり前の時代が来ているとは、さすがに想像していなかったなあ。
それにしても、せっかくのワイヤレスウォークマンなのに有線ヘッドホンで試聴させているというのが涙を誘います…。
初代ポータブル CD プレイヤー「D-50」。まだウォークマンファミリーとして位置づけられる前のモデルですが、紛れもなくこれが後の CD ウォークマンの元祖となる製品です(マイナーチェンジモデルである D-50MkII から「ディスクマン」と呼ばれるようになる)。
それなりに厚みがあるとはいえ、初代機からいきなり CD ジャケットサイズで出てきたというのはすごいことです。ソニーが最初に出した CD 据置機 CDP-101 からわずか二年後にこれですからね。
「D-145」。ポータブル CD プレイヤーは長らくウォークマンではなく「ディスクマン」ブランドでした。外で聴くだけでなく、車に装着するアタッチメントやカセットアダプタを使ってカーオーディオとして使われることも多かった時代。我が家も自家用車のカーオーディオは長い間カセットだけだったからカセットアダプタは持ってたなあ。
「ディスクマン」から「CD ウォークマン」へと正式に変更されたのが 1997 年。その二年後にウォークマン 20 周年記念モデルとして発売されたのが前述の WM-WE01 とこの「D-E01」でした。先日も書いたけどこの機種は本当に好きだったなあ…。30 周年のときには記念モデルは発売されていないので、このモデルは絶対に展示してあるだろうと思っていました(笑。
そして 1992 年の初代 MD ウォークマン「MZ-1」。例によって初号機は大きく重く、二代目から一気に小型化される法則の初号機がこれ。
最初に MD が出たときの「個人で気軽に光ディスク(正確には録再メディアは光磁気ディスク)にデジタル録音ができる」という点には心躍ったなあ。当時中学~高校生だったにも関わらず、頑張って一年くらいお金を貯めて機材買いました(当時はケンウッド製品だったけど)。私が最も貪欲に音楽を聴いていた時代は MD と共にあったと言って良い。
それにしても今回のイベントでは MD 関連がこの MZ-1 以外ほぼ展示されていなかったのが残念です。まるでソニー公式にも完全に「Goodbyle, MD」されてしまったかのようで、MD 世代としてはとても淋しい。
そういえば DAT ウォークマンもあったんでした。これはその初号機「TCD-D3」。
私はカセットテープから MD に移行して以来テープメディアには興味を失っていたんですが、大学時代に音楽をやっていた頃は DAT を愛用している同僚はけっこういましたね。
DAT ウォークマンといえば実物よりも『エヴァ』で架空の製品 S-DAT ウォークマンを見たことのある人のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか(笑。
地下 4 階には壁一面に歴代のウォークマンが展示されているコーナーが存在します。これだけ並んでいても全製品のごく一部に過ぎない、というのが 40 年の歴史の重み。
上階の試聴展示以上に多くの製品を見ることができるのがこの壁面です。私がこのコーナーに見入っている間にも、引退したかつてのウォークマン開発者と思われる方がここに来てお連れの方と昔話をされていて、悪いと思いつつつい聞き耳を立ててしまいました(笑。
これは何も書かれていなかったので詳細不明ながら、TPS-L2 のスペシャルモデルと思われるもの。外装がチタンっぽい質感になっています。何かを記念して作られた非売品ですかね。
私が初めて使ったウォークマン「WM-101」も展示されていました。私が持っていたのはブラックでしたが。これ壁面展示じゃなくて改めて試聴したかったなあ…。
と、このへんの展示を眺めていて、今まで完全に忘れていたけど WM-101 の後に WM-701C(だったと思う)もかつて使っていたことを思い出しました。これも確か叔父から分捕ったやつだったような…(笑
こちらはウォークマン 15 周年を記念して作られた「WM-EX1」のゴールドモデル。20 周年くらいまでは節目節目に記念モデル的なものが用意されていたようですが、2000 年代以降にそういう機運がなくなっていったのはおそらく iPod に市場が席巻されてしまったことと無縁ではないでしょう。iPod も初代モデルが登場してから既に 18 年が経とうとしています。
出た!ウォークマンの歴史の中でも変態オブ変態(誉め言葉)、ポケットディスクマン「D-88」です。
8cm CD に最適化されたサイズで 12cm CD をかける際にはこのように本体からディスクが飛び出す仕様。そのためにディスクを受ける軸がスライドするギミックも仕込まれています。こういうバランス悪くてもぶっ飛んだ機種が個人的にはすごい好き。
本イベントでは会場内を巡るスタンプラリーも実施されています。とはいえかなり簡単なスタンプラリーで、合計四つのスタンプをあまり探すこともなく見つけることができてしまいます。
コンプリートするともらえるのがこれ。一見カセットテープに見えますが、音楽を再生することはできません。
これはカセットテープサイズの歴代ウォークマンカタログです。ちゃんとジュエルケースに入っているのが嬉しい。冊子にはけっこう厚みもあって、これが無料でもらえてしまうのはちょっと申し訳ないと感じるほど。
コンテンツは歴代モデルの本体写真と簡単な解説だけですが、イベントのほうでは製品に関する蘊蓄的なものはほとんどなかったので、こっちで補完する形になります。ページ隅に描かれている 40th ロゴがパラパラマンガとして歩いていくのも楽しい。
正直なところ内容的には 30 周年の際に発刊された『Walkman Chronicle』のほうが充実していますが、40 年を記念するコレクターズアイテムとしてはこのカセットテープサイズがいい感じ。
懐かしさに浸れるイベントでした。近いうちに発表される(されるよね?)40 周年記念モデルにも期待しています。
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