『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の新作外伝が昨日から劇場公開されたので、チネチッタへ観に行ってきました。封切り二日目朝の上映回にも関わらず既に先着特典は全数終了済み…あんな事件の後で注目が高まっているとはいえ、人気のほどが窺えます。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 –
「外伝」というだけあって、テレビシリーズの後日譚ではなくメインエピソードの合間に挟まる感じのストーリー。時系列的には 6 話(天文台)の後くらいでしょうか。主人公ヴァイオレットが自動手記人形(代筆屋)としてある程度成長したタイミングでの物語です。
貴族からの依頼を会社が断り切れず、代筆屋でありながら貴族の令嬢の家庭教師として三ヶ月働くことになったヴァイオレット。今回の顧客であるイザベラとの交流を通じて、ヴァイオレットは初めて「友達」と呼べる関係を知り、イザベラは閉ざしていた心を開いて本当に大切な人に向けた手紙を書く――基本的にはテレビ版と同様のフォーマットですが、そこは劇場公開作品。二人の関係性の描写はテレビ版よりも丁寧だし、画作りもただでさえ緻密だったテレビ版を上回る美しさ。しかし、この仕事に関する尺は予想していたよりもあっさり終了し、あれ?もう 100 分経ったっけ?とつい腕時計を覗き込んでしまいました。
イザベラ編はあくまで本作の前半戦に過ぎず、この物語には続きがありました。後半ではライデンの会社に戻ったヴァイオレットのもとに「テイラー」と名乗る少女が訪ねてきます。これが前半のストーリーと繋がっていくわけですが…ここでようやくこのエピソードが劇場上映作品として作られた理由を理解しました。テレビシリーズでは基本的に一話完結型の作りだったのが、本作ではテレビアニメ四話分くらいの時間を使って大きな物語をじっくり描かれています。
このテイラーの芝居がちょっと神がかっていて…キャストを確認してみると悠木碧さん。同じ京アニ作品の『聲の形』でも素晴らしい演技を聴かせてくれましたが、今回も喜怒哀楽がハッキリしながらも強い芯を持った少女の声に圧倒されました。
テレビシリーズは各回二十分あまりの尺の中で強烈にこちらを泣かせに来るような高い熱量を感じましたが、今回はそういうのではなく(途中途中にジーンと来るシーンはあったけど)心に染み込んでくるような物語と演出でした。とにかく溜めて溜めて最後に衝いてくるような感じで、二人のゲストキャラの結末に対する感動だけでなく、手紙によって繋がれる人と人の想いを通じてそれを代筆し、運ぶ人々さえも報われるかのような、シリーズ全体を包括するテーマが込められていたように感じました。
それから、本作に関して外せないのがこれ。
本当にこの通りで、もし未見であればあらかじめこの曲を何度か聴き、詩の内容を頭に入れた上で映画館に足を運ぶのをお勧めします。これ自体もドラマチックで良い曲だと思いますが、エンドロールで聴くことで初めてこの詩が言いたかったことやタイトルの真の意味が解る。川崎に行く前にこのツイートを読んでおいて良かったです(笑。
劇場公開は三週間限定ということで、興味のある方はお早めにどうぞ。
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