「同じ波は一つもない、人生といっしょ。海風が心地いい」
冬休みを利用して『孤独のグルメ Season8』の聖地巡礼を加速させています。今回訪れたのは第 7 話の舞台、鎌倉市由比ガ浜。鎌倉へは写真を撮りに何度か来ていますが、ここがこどグルの舞台になる日が来ようとは。
由比ヶ浜駅は鎌倉から江の電で二駅の場所。まあ鎌倉駅から歩いても 10 分ほどの距離です。
お店はランチタイムの開店時刻に予約したから、まだちょっと時間がある。
せっかく来たからにはちょっと海でも見てくるか。海は…こっちか。
駅から少し歩くと、そこはもう湘南の海。真冬にも関わらずちょっと暑さを感じるほどのいい天気。しかも賑わっていて、サーフィンに興じる人も少なくない。
自分にとって冬の海といえば日本海だけど、この穏やかな太平洋には心が癒されるようだ。何もせず、ただぼんやりと海を眺めるのもいいものだ。
海の向こうに見える江ノ島、あそこで江ノ島丼食べたなあ。あれ、何年前だろう?
…そうこうするうちに開店時刻になった。お店の方に行ってみよう。
今回の聖地「シーキャッスル」はまさに由比ガ浜の海岸沿いにあります。
開店時刻を過ぎているのに店内には灯りも点らず、営業してるんだかどうだかよく判らない。でも電話でちゃんと 12 時からの予約はしたはずだ。少し不安だけど、意を決してドアを開けてみよう。すいませーん。
すると、それを待っていたかのようにおかみさん(ドイツ人のおばあちゃん)が迎え入れてくれました。
独特の空気が漂う店内。劇中同様、我々が入店してようやく電灯が点けられる勢いで、ちょっと薄暗い。
うーん、アウェイ感ハンパない店だが…鎌倉で城攻め、いざ勝負。
壁面には私が生まれる前の雑誌がズラリと額装されていました。
うわあ…まるで五十年前にタイムスリップしてきたかのようだ。伊達に六十年以上続いている店じゃない。これらそのものがこの店の歴史に違いない。
通されたテーブルで内向きの席に着いて店内を見回していたところ、後ろからおかみさんが肩をぽん、と叩いてきて、
「そっちじゃなくてこっちの席に座りなさいな」
素直にその言葉に従ってみると、
おお、窓の外には鎌倉の海が!
まさか自分がゴローちゃんと同じような状況になるとは想像していなかった。
窓際のこの席、陽の光が差してきてとても明るい。確かにこれなら電灯を点ける必要はないのかも。
これ以外にも、こちらの一挙手一投足に対しておかみさんのツッコミが入る入る。ドラマでのおかみさん役・かたせ梨乃の演技のインパクトがあまりに強かったせいもあり(笑)、こちらとしては入店前からずっと微妙な緊張感(汗。
ふう、完全に主導権を握られてる。手も足も出ない。…さて、何を頼もう。
メニューには無事「スペアリブ」の表記が。劇中ではこれメニューにないことになっていたけど、放送後に正式に追加されたということなのか。
最悪の場合は「今日はスペアリブはないわよ」と言われてしまうことも覚悟していただけに、これは嬉しい誤算。
まずは「本日のスープ」からいただきます。
刻み野菜がたっぷり入った、優しくて深い味。俺の舌にもしっくり馴染む。
レストランというよりもドイツのホストファミリーに食事に招かれたかのような、ほっとする感じ…これ、しみじみおいしいです。
そしてメイン料理がワゴンでガラガラ押されて到着しました。
一品目は久住さんが食べていたカレーブラートヴルスト(カレー風味のソーセージ)。
みっちりとボリュームのあるソーセージに、ほんのりカレー味が食欲をそそる、パンチある一品。
そうそうこんなソーセージが食べたかったんだよ!と言いたくなる、期待通りのうまさ。やっぱりドイツレストランに来たらソーセージは押さえておかないと。
これがサバの燻製。名前だけ聞くと和食かと思いそうなところだけど、見た目は日本とは全然違う、面白い。
味のほうも、よく知っている日本のさばくんと似ているようでいて、やっぱり違う。脂の乗ったサバのしっとり感を残しつつ、日本のものとは少し違うタイプの燻製の香ばしさ。ドイツ風さばくん、いいじゃないか。
一発で好きになったなあ。これは毎日食える。
ポテトと一緒に食べると…ああ、合う!すごく合う。この組み合わせ、この発想はなかった…なぜ日本人は思いつかなかったんだろう。
このポテト自体、表面がカリッと香ばしくなるまで炒められてて、めちゃくちゃうまい。やはり芋が主食なドイツ、マッシュやフライドだけじゃない、ポテトの楽しみ方の懐が深い。
さらにスペアリブ。この迫力ある肉の塊感!トマトソースの赤もいい。
付け合わせはザワークラウトとマッシュポテト、ドイツ的王道トリオ。リブにザワー、マッシュの三連星。
期待を上回る、ガツンと来るうまさ。肉の衝撃、ジャーマンスープレックス。
食べ応えのある肉なのに、脂抜きしてあるから全然胃に重くない。このスペアリブなら永遠に食べ続けていられそうな気がする。
トマトソースとリブでシンプルに食べても良いし、マッシュやザワーと一緒に食べるとまた味が変わって楽しめる。このジェットストリームアタック、最高じゃないですか。
食後はアップルパイとコーヒー。
アップルパイ自体もいい色をしているけど、このホイップクリームのトロトロ感が見るからに幸せ。
林檎がちゃんとたっぷり入ったしっとりしたアップルパイ。ホイップクリームをたっぷりつけていただくと、完璧な甘さ。この大人味のアップルパイは、シーキャッスルの隠し財宝だ。
本当においしいです。心の中で、Danke schön。
由比ガ浜に、素晴らしきドイツの古城あり。おそれいりました。
おかみさんにツッコミを受けないように緊張しっぱなしだったけど、おかみさんの表情をよく見てみると、本当はとても優しい目をしていらっしゃる。無愛想なように見えても、ちょいちょい話しかけてきたりツッコミを入れに来るのはきっとお客への愛情表現、歓迎の表明なんだろうなあ。そう思うととてもありがたく感じてきました。
ごちそうさまでした。ドイツ料理の素晴らしさを知ることができて、本当に良かった。
すっかりお腹いっぱいになったけど、他にも食べてみたい料理がいろいろあったし、また来る機会を作りたいところ。
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