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ENTRY GRADE RX-78-2 ガンダム

新しいガンプラがガンダムベース東京で先行販売開始されたと聞いて、週末出かけたついでにお台場に寄り道してきました。

発売されたのは「ENTRY GRADE ガンダム」。エントリーグレードというのはバンダイがガンプラに限らずキャラクターモデルを初心者にも楽しめるように開発した新ブランドで、先行して発売された仮面ライダーゼロワンやドラえもんのキットが軒並み評判が良く、私はガンダムのリリースを楽しみにしていました。

ガンダムベース東京ではガンプラに登場した新シリーズということで平積みどころか山積みでの販売。しかも「一人五個まで」という買い占め転売には微妙だけどお土産需要にはちょうど良い個数制限で販売されており、実際に複数個買っている人が多数見受けられました。

エントリーグレード(EG)の利点は「とにかく簡単」「塗装もシールも不要」「それでいてよく動く」の三点。従来のガンプラも、組み立ての簡単さはさておき塗装なしでも十分色分けされていてよく動くことを目指して開発されたキットがほとんどですから、EG はある意味「究極のガンプラ」の一形態と言って差し支えないのではないでしょうか。

というわけで私も早速ひとつだけ買ってきました。

ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム

パッケージからして既存のガンプラとは明らかに異なります。従来の HG、MG、RG といったキットが MS の格好良さを前面に出したパッケージデザインだったのに対して、EG は逆にプラモ、おもちゃであることに開き直った感じのベタなデザイン。逆にこれが潔いじゃないですか。取説にも見開きに「ガンプラって何?」「ガンダムとは?」から始まっていてそこからかよ!と突っ込みたくなると同時に、バンダイが従来とは異なる層を開拓しようとしているのがひしひしと伝わってきます。

ランナーは 4 枚。といっても通常の MG や RG サイズのランナーを半分に割った状態で入っている(さらに半分に割れる構造にもなっている)ので、実質的には通常のガンプラのランナー 2 枚分に相当します。A1~4 番ランナーはガンダムのカラーパーツをイロプラで成型したもの。

そして B1~4 番ランナーは全てホワイトの外装パーツ。そもそもパーツ点数が少ないのに加えて同工程で使うパーツがランナー上の近い位置に配置されており、めちゃくちゃ組みやすい。

ちなみに今日この EG ガンダムの一般発売が発表されたようですが、武器パーツを省略したうえ箱ではなく袋パッケージにすることで ¥550 で発売するという思い切った内容でした。そういうのも視野に入れたランナー構成等も含め、企画段階からよく考えられたキットで感心してしまいます。

なおランナーは「ゲートが存在しない」作りになっています。ゲートがなくランナーの枝から直接パーツが成型されており、組み立て時にはニッパーを使わなくてもパーツが手で「もぐ」だけで、比較的キレイに外せるという驚異のメカニズム。ガンプラって塗装を除くと作業の大半はゲート処理の時間だったりするので、これは組み立ての時短にメチャ効いてきます。

これがランナーから手で「もいだ」状態のパーツ。ゲート跡が皆無とは言いませんがあまり気にならないレベルに収まっていて、美しく仕上げることよりもワシワシ組んで形が出来上がる過程と完成後に遊ぶ過程を楽しむならこれで十分と言えます。私は試してみたこのパーツ以外はさすがに薄刃ニッパーで切り出してちょっとだけゲート処理もしましたが、ゲート処理の時間そのものが通常のガンプラより少なくて済むし、外装等で隠れてしまう部分なら手でもいじゃっても問題ありません。これはラクだし、なんなら他のグレードでも内部フレームのランナーだけこれにしてほしいくらい。

また関節のパーツは基本的に各部位のパーツを組み立てた跡に「後ハメ」で接合する構造になっていて、これが目から鱗。通常は関節のパーツを外装やフレームのパーツで挟み込むように組み立てるもので、これの手順を間違えると手戻りが発生して面倒なもの。しかしこの方法ならそういう難しさがないのと、とにかく完成形が分かるパーツをどんどん作って最後にそれを組み合わせるという手順が組み立てのモチベーションを持続させますね。高難易度のキットだと内部フレーム系はある程度組み上がるまで自分でも構造が理解できないことも少なくなく、途中で気持ちが萎えてくることがあるので。

というわけでサクッと完成。本当にパーツを手でもいで組んでいくだけなら 30 分ほどで仕上がってしまうという話もありますが、私は一応ゲート処理をして最小限のスミ入れをして、という作り方で 60 分ほどで完成しました。ファーストガンダムのテレビシリーズを観ながらでも第 3 話「敵の補給艦を叩け!」の途中で組み上がる計算になり、これは私のガンプラ史上最も早い。

いつもならばデカール貼ってトップコートかけて仕上げるところ、EG はそれをやるのも邪道という気がしたので本当に素組み(+スミ入れ)のみで完成としました。アレンジしたのは額の V 字アンテナの安全用フラッグを切り落としてシャープ化したことくらい。

プロポーションはほぼ HGUC ガンダム(REVIVE 版)準拠という感じでしょうか。独自解釈やアレンジが加えられることの多い近年のガンダムにしては珍しくアニメ版のオーソドックスな印象をそのまま立体化した感じで、これぞガンダムというスタイル。ホワイトがごく淡いグリーンがかった色合いなのもアニメ風で、非常に見ていてしっくりくるデザインです。

この EG ガンダムのすごいところのひとつが、頭部のデュアルアイセンサー周囲の黒い部分がただの空洞になっているところ。黒縁はパーツでもシールでもなくパーツから落ちる影によって黒を表現しています。こうやってマクロレンズで近づいて撮るとさすがに空洞なのが判りますが、肉眼で見る限りはわざと正面からライトを当てでもしない限り黒にしか見えません。こんなに安くて簡単なキットなのに、たくさんの驚きが隠されています。

それでいて本当によく動く。腕や脚は一本あたり 5 分くらいの勢いで組み立てたのに HG や RG に負けない可動域を誇っています。今まで苦労して組み立てていた RG はなんだったんだと言いたくなるレベル。

先日作った BEYOND GLOBAL 版ガンダムと。RX-78-2 ガンダムのリファレンスデザイン的な EG と比べると、BEYOND GLOBAL は悪く言えば「ガンダムもどき」的な、強くアレンジが加えられた形状であることが改めて分かります。プラモとしての組む楽しみ的なものは BEYOND GLOBAL のほうが高いですが、こうやって並べてみると値段も組み立て時間も三倍違うキットだとはちょっと思えませんね。

ロボットらしさあふれる EG と、むしろ人間っぽいプロポーションの BEYOND GLOBAL。同じ時期に発売された RX-78-2 ガンダムのキットでもここまで違うとは。また BEYOND GLOBAL が新機軸を求めたガンプラなのに対して、EG のスタンダードなスタイルはガンプラの入り口としてガンダムのあるべき姿を正しく示す必要があった、ということなのかもしれません。

近年のガンプラは新技術を付加価値に転化してガノタからお布施を搾り取る手段と化していたきらいがあり、さすがの私でもちょっとヒくところがなくもなかった(笑。しかしこのエントリーグレードは最新の技術、新しい発想や企画をユーザーの裾野を広げることに遠慮なく使った感があって素晴らしいじゃないですか。ハイエンドとエントリーの両方に最先端の技術を惜しみなく投入してこそ「ものづくり」。このキットを通じて、私も自分のガンプラとの向き合い方が少し変わったような気がしました。

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