「この醤油ダレ、日常の奇跡かもしれない」
ドラマ『孤独のグルメ Season9』も早くも折り返しの第 6 話まで来てしまいました。私はもちろん今回も事前に聖地巡礼してきていますので、早速そのレポートをお届けします。
今回の舞台は落合南長崎から西武線東長崎周辺のエリア。東長崎は Season1 の第 10 話で取り上げられて以来 9 年ぶりの登場になります。私も当時の「せきざわ食堂」に食べに来て以来、9 年ぶりの東長崎。
当時は東長崎の駅で初めて降りたのでした。そして今回が二回目。池袋のすぐ近くなのに、来る用事がまずない場所です。それもそのはず、見事な住宅街ですからね。
劇中でもゴローちゃんが立ち寄っていたように私も Season1 の聖地に来てみましたが、せきざわ食堂は跡形もなくなっており、その場所にはマンションが建っていました。
せきざわ食堂は 2014 年に閉店し、代替わりした上で茨城県鹿嶋市に移転して現在は「キッチン SALA」として営業しているとのこと。井之頭五郎が食べたしょうが焼目玉丼も出しているそうです。鹿嶋ってサッカー観戦の目的でもない限り行く機会がありませんが、一度行ってみたい。
せきざわ食堂の向かい、当時ゴローが最後まで迷っていた洋食店「キッチン長崎」のほうは健在。Season9 で東長崎が再登場するらしいと聞いたときには直感でこの店に来るんじゃないかと思いましたが、実際にドラマに登場したのは別のお店でした。
というわけで、今回の目的地は駅の反対側(南口)にある商店街の外れにある定食屋。
南口には今回初めて降りましたが、北口よりも活気があって本来はこっちが東長崎の正面なのでしょう。
池袋からたった二駅なのに良い意味で生活感があって、お店もチェーン系と個店が入り乱れた良い雰囲気。山手線の北側で働いていたなら、こういう場所がきっと住みやすいに違いない。
というようなことをとりとめもなく考えながら歩いていると、お店が目に入ってきました。
おおお…渋い店。
いかにもこの場所で長年やってきた、地元密着型の定食屋という感じ。
だからこそ外様にはちょっと入りづらいような、普段だったらスルーしてしまいそうな店構え。
ショーウィンドウに定食の食品サンプルやビール瓶、徳利…いかにも昔ながらのローカルな定食屋の佇まい。
この生活感ある感じ、いいじゃないか。
KP でも TS でもなく、割烹、定食。
今の俺が求めてるのは、まさにこの店だ。
店内はこんな雰囲気で、普段使いの飾り気なさを感じる。
先客は工事現場とか整備工場といった肉体労働系の男性多し。
見るからに、ガッツリ働く力をくれるパワーランチを提供してくれそうな期待感。
カウンターの向こう側には厳しそうな大将、対照的に控えめに見える女将さん、それに溌剌とした声で注文を取ってくれる若旦那さんの三人。家族経営なんだろう。
短冊メニューには二品書かれた定食メニューがズラリと並んでいます。え、メイン二品なのか。それでいて安い。
しかも料理の方向性は肉系魚系に揚げ物、麺類まで揃っている。この時点で底知れぬ懐の深さを感じる。
お品書きを開くと、さらなる定食バリエーションが待ち構えていました。
これはちょっと目がチカチカする。多すぎて決められん。大杉漣。
俺は一体どれを食べるべきなんだ…?
それでも気を取り直して、これだと思うものを注文。
というわけでまずは、肉とナスの醤油炒め定食。
おお、ご飯がどんぶりに入って出てきた。
それに、予想以上の肉量。ご飯が多いから相対的に少なく見えるけど、おかずも大盛り。
ようし、いただきます。
おいしい…これだ、この味付け。家で食べる炒め物とはひと味違う濃いめのタレ。
そして茄子がうまい。噛むほどにうまみが染み出てくるな。
うん、こうこう。こうでなくちゃ。
身体がこういう定食を渇望していた。
ここで唐揚げ。揚げたて。
メニューには単品の鶏唐は載ってなかったけど、試しに聞いてみたら当然のように「できますよ!」とのこと。
劇中では一旦断られていたので、ランチタイムに単品が頼めるかどうかは混雑状況によるのでしょう。
唐揚げというよりもちょっと竜田揚げ寄りの、サクサク衣の鶏唐揚げ。
実家の鶏唐がこんな感じだったから、ついおふくろの味を思い出す。
じんわり、しみじみとうまい。懐かしさを武器に、俺の味覚を虜にする。
ご飯ちょっと多いんじゃないかと思ったけど、なんのなんの、軽く完食してしまった。
それくらいにおかずの攻撃力が高い。
ハッタリなし、小賢しさなし。これぞ真っ当、真っ当な飯のありよう。
続いてはこちら。ハムエッグ・ショウガ焼肉定食。
劇中には出てきませんでしたが、東長崎に来てショウガ焼腹になった五郎がせきざわ食堂にフラれたなら、別の店でショウガ焼を食べるに違いないと予想していたのでした。
で、この店のメニューに目玉焼とショウガ焼のセットがあったら頼まざるを得ないというもの。
ショウガ焼肉はかなり大ぶりな豚バラの大盤振る舞い。豚のアブラスキーとしては、この豚バラを腹一杯食べられるだけで幸せだ。
しかもタレが濃い!豚バラのうまみにタレの味が絡み合って、うまさのゴン攻めを仕掛けてくる。これはヤバい。白飯がビッタビタに進みまくる。
ハムエッグ、味の濃いショウガ焼肉の合間に挟むとちょうど良い休憩所という感じ。
でもただのハムエッグじゃなく、大判のハムが二枚。こっちでも容赦なくタンパク質を摂取させようというのか。
ハムとショウガ焼の肉二刀流に、胃袋大熱狂。
味はオーソドックスなハムエッグだけど、だからこそ嬉しい。
ハムエッグの下にはナポリタンが付け合わせを超えた分量で入っていました。
しかしこれがまた、昔ながらのナポリタンな味付けでなかなかどうしておいしい。
ハムエッグってお昼というより朝食のイメージだったけど、このボリュームなら単品でもランチとして確かに成立しそう。
そしてハムエッグとショウガ焼肉をそれぞれ半分くらい食べたところで、
オリジナルのミニしょうが焼目玉丼を自作!(笑
これまでの井之頭五郎の素行から考えて、これは絶対やるに違いないと思ったんだけどなあ。
ショウガ焼、目玉焼、ご飯。全部俺の大好物だ。
パワフルなショウガ焼肉を目玉焼とご飯と一緒に食べると、別々に食べるのとはまた格別なうまさ。丼に口をつけてかっ込みたくなる。
これほどガツガツが似合うどんぶり、ないぞ。
さらにもう一食、らーめんと半まぐろ漬け丼定食。
ゴローちゃんは冷やし中華を食べていたけど、他のお客さんの多くが頼んでいたらーめんがどうしても気になったので。
半チャーではなく半漬け丼にしたのは、これまた他のお客さんが刺身系を頼んでいたのがうまそうだったから。
と思ったら、「ふらっと QUSUMI」で久住さんがまさにこのセットを食べていましたね。
ラーチャンセットは普通だけど、こんな組み合わせのセット定食は見たことない。
まさに組み合わせ自由自在、この店の象徴のような構図だ。
半まぐろ漬け丼、分厚いまぐろが五切れも載っていて驚いた。
しかも赤身と呼ぶにはおこがましいほど脂も乗っている。
この漬け丼、期待以上にうまいじゃないか。他のお客さんで刺身系を頼む人が多いのも頷ける。
半丼でこのボリュームだったら、フルサイズ丼はどんなことになっちゃうんだろう?
そしてらーめん。
見るからに、奇をてらわない昔ながらの中華そば。私の大好きなタイプ。
スープは優しい薄味ながらもコクがあって、そんじょそこらの町中華を軽く凌駕するおいしさ。
海苔が一枚載っかってるのもいいじゃないの。
ああ…この感じ、なんだろう?
子どもの頃、ばあちゃんちに遊びに行ったときに出前で取ってくれたラーメンの味を唐突に思い出した。
あのラーメン、大好きだったんだよなあ…そういう心のふるさとを呼び起こすような、懐かしい味。どんな御馳走よりもこういう味が幸せに繋がっているんだろう。
あ~、どれもこれもおいしかった。
好きなものを好きなように組み合わせて、ガツガツ食べる。
俺にとっての夢の店はこんな店ですよ。
南長崎ランチマラソン、またエントリーしよう。
ごちそうさまでした。
コメント
いつも孤独のグルメの聖地巡礼記事、楽しみに見ています。
当方は地方在住なので聖地巡礼が出来ず・・・!
今後もコロナに気を付けて聖地巡礼、頑張ってください!
ありがとうございます!コメントいただけると励みになります。
Season9 の後半戦は夜営業のみの店や遠方が続いていてこのご時世ちょっと巡礼しづらいのですが、
ワクチン接種が済んだら改めて行けるよう計画中です。お楽しみに!