「なんとか無事に、小樽に戻って来れた」
『孤独のグルメ 2022 大晦日スペシャル』の聖地巡礼もついにゴール地点の小樽へと辿り着きました。
井之頭五郎が東京からミニではるばるカニを運んできた小林旅館は通称「にしん御殿」と呼ばれる小樽貴賓館がロケ地でした。我々は余市蒸留所に寄り道してきたら貴賓館に到着した時点で既に閉館時刻を過ぎていて外観を眺めるしかできませんでしたが、はるばる苫小牧からのクルマ旅を完遂することができてこの上ない達成感。
というわけで空港から乗ってきたレンタカーを小樽駅近くの営業所で乗り捨てたら、ホテルに荷物を置いてそのままお店へ。小樽の中心街から少し外れたあたりの路地を入ったところに、そのお店はひっそりと待ってくれていました。
はつ花…おでん屋さんだ。
雪の積もる小樽で静かに営む佇まい、この画は劇中のカット以上にこの店の良さが出てるんじゃないでしょうか。
あらかじめ予約して行ったところ、電話した際にどこから来るのか訪ねられたから東京と答えたらマスターから「楽しみにしています」という一言をいただけて嬉しかったです。ドラマに出るまでは常連さん中心のお店で予約の電話が鳴ることも滅多になかったということのようですが。
マスターとおかみさんのお二人が出迎えてくださいました。
小上がりも空いていたけど、せっかくだからカウンターに着席。
しぶい店だなあ…。何十年も前からずっとそのままそこにある、という感じ。
木簡に書かれたお品書きが何とも言えない味わい。
左側に並んでいる値段のついてないやつはその日の刺身のネタということでしょう。「八角」というのは香辛料じゃなくて本州ではまずお目にかかれない北海道ならではの魚。十年前に小樽に来たときに刺身で食べました。
カウンター上に並んでいる達筆のメニュー、放送を見たときから気になっていたのですが、おかみさんによるとこれは亡くなった先代(マスターのお母さん)が書いたもので、筆文字が美しいからコピーを取った上でラミネート加工して使い続けているとのこと。
そういえば、七年前に行った旭川の聖地もメニューが達筆だったなあ。自分の中で、北海道のいい店=達筆メニューというイメージが確立してしまった。
ちなみに壁に掛かっている素敵な油絵も美大で絵を学んだ先代が描いたものだとか。先代おかみ、きっと素敵な人だったんだろうなあ。そしてこれらを大事にし続けている当代マスターとおかみさんも素敵です。
まあ、何はともあれ生ビールですよ!
ここまでの長旅、お疲れさまでした。といっても一日で往復できる距離を二日かけて来たゆったり旅だったけど、無事全店巡ってゴールできたのはとにかくめでたい。
お通し。なんと札幌の焼肉店に続いてここでも海老がお通し(笑
お昼にも石狩でボタンエビの握りを食べたところだし、今回の北海道旅はなんだか海老づいてる。
そしてカウンターの奥でゆっくり煮込まれているこのおでん。
おでん屋で四角いおでん鍋を覗き込みながらどれを食べようか…とやってる瞬間って、なんか幸せですよね。
でも大晦日スペシャルの放送直後はお客さんが次々とおでんを注文するから味がしみなくて大変だった!とはおかみさんの弁。
今は一段落したそうですが、年始あたりは北海道帰省のついでに巡礼していくお客さんが多くて忙しかったそうです。
迷った挙げ句選んだのはおでんの定番である大根と、しらたき、竹の子(ささたけ)、あと北海道に来たらやっぱり昆布でしょう。
そういえば劇中では五郎が「竹の子は すすたけ ですか?」と富山で学んだおでん知識をさっそく応用しているのがなんかかわいかった(笑。
この店の雰囲気がそのまんまおでんになったような、やさしーーーい味…。
そのやさしさに包まれて、身体から旅の疲れが抜けていくのを感じる。
そしてたこザンギ。
プリップリのタコをちょっと濃いめの味付けで、厚めの衣でカラッと揚げてあるのがおいしい!
こいつはビールのつまみに最高のやつだ。
そーなると小樽の地ビールで北海道のタコを迎え撃たなくてはなりません。
旅先に来たら地のものを味わいたい、というのはこういうお酒に関しても大事だと思う。
それからアスパラバター炒め。
オーソドックスな一品だけど、バター多めで炒められているのがいい。そういえばアスパラもバターも北海道の名産、相性が悪いわけがない。
つづいて、ホッケの焼魚。
劇中ではお通しにホッケスティックが出てきたけど、この日は違ったから改めて焼魚でいただいてみました。
それにしても、『孤独のグルメ』のドラマとして記念すべき十周年の大晦日スペシャルにSeason1 第 1 話に登場したホッケスティックを持って来るとは番組スタッフも粋なことをする。おかみさんによると、今回の大晦日スペシャルではホッケスティックがあったことが店選びの決め手になったとか。
さておき、このホッケがとにかくデカイ。東京の居酒屋で食べられるホッケが小魚に思えるほど(←言い過ぎ
大きいだけじゃなく肉厚、脂乗りも良くて食べ応えがある。お酒も良いけど白米が欲しくなるうまさ。本場のホッケ、堪能いたしました。
こういううまい魚を目の前にしたら、日本酒が欲しくなるもの。
ということで熱燗を一本つけていただきました。
小樽のおでん屋で、熱燗飲ってる俺。今さらながらなんかすごく渋いことをしている気がする。
熱燗をクイッとやったらおでんの第二弾を迎えたくなるのが人のサガというやつです。
玉子、がんも、フキ。どれもこのやさしい味の出汁がしみてておいしかった~…。
ではそろそろ〆に移っていくわけですが…ゴローが食べていたおにぎりは、我々の前のお客さんで終わってしまったとのこと。
もともとご飯物をメインに出すお店じゃないからお米はあまりたくさん炊いていないらしい。
では、代わりにちょっと気になっていたカレーそばをいただこうじゃないですか。
カレーそば、いかにもおでん屋らしい出汁の利いたカレーが蕎麦に合っててすごく良い。
寒いさなかでもあったまるし、これはいい飲みの〆を発見した。
そして本命の「とりめん」。
鶏肉のちょっと入ったにゅうめん(温かい素麺)です。本州だと素麺は夏に冷たいのを食べるイメージが強いけど、北海道だとにゅうめんのほうがポピュラーなのか、他のお店でも見かけました。
はぁ~、ホッとする。
甘めのつゆ。味しっかりでおいしいなあ。それににゅうめんのサラサラと入っていく感じもいい。
やっぱり最近は飲みの〆にはラーメンよりもこういう蕎麦とかにゅうめんとかの方が好きだな。
染みた~。とりめん、最高。
この二日間、冬の北海道走って食べて、楽しかった。
それをしみじみと思い出して語って旅を締め括れる、いい店だった。
我々の他には常連さんがお一人しかいなかったこともあって、常連さんも交えながらマスターやおかみさんとゆっくりお話することができました。
ドラマ収録の裏話はもちろんのこと、マスターとおかみさんのなれ初め話とか、先代のマスターとおかみさん(つまりマスターのご両親)のなれ初めまで話が及ぶとは思いませんでしたが(笑。実に温かく、落ち着けるお店でした。
「75 歳になったら店は閉めようと思ってる」という話だったので(あと三年くらい?)、それまでにまた小樽に来る機会があれば良いなあ。
ということで、『孤独のグルメ 2022 大晦日スペシャル』の聖地巡礼を完走しました。二日間で北海道のいろいろを凝縮的に堪能できて大満足。
来年度も、元気でモリモリ食べられる、幸せな一年でありますように。
ごちそうさまでした。
■ドラマ『孤独のグルメ 2022 大晦日スペシャル』聖地巡礼エントリーまとめ
1. 北海道苫小牧市のカレーもやしラーメン定食
2. 北海道千歳市の北海道ミルクジェラート
3. 北海道札幌市の塩成吉思汗と牛トロ
4. 北海道石狩市のさばガリ巻と石狩鍋
5. 北海道小樽市のとりめん
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