キヤノン、積層CMOS搭載のミラーレス「EOS R3」を11月下旬発売。74.8万円 – デジカメ Watch
開発発表から 5 ヶ月、ついにキヤノンの(現時点での)フラッグシップ機である EOS R3 が正式発表されました。とはいえ基幹スペックは開発発表時点で明かされていたし、東京オリンピックでは既に一部実戦投入されていたらしいのでそれほど目新しさはありません。
私は RF マウント以降の EOS には手を出していないので、このカメラについては実際に R5 や R6 を使っている方々のエントリーのほうが参考になる点は多いに違いありません(という丸投げ)。
直前まで伏せられてきたセンサー解像度は 2,410 万画素でした。2021 年のフラッグシップ機としてはギリギリ最低限の画素数という印象。ライバルにあたる α1 の 5,010 万画素に比べて見劣りしますが、ソニーとキヤノンのイメージセンサー開発は 1~2 世代相当の差があるという話も聞いたことがあるので α9 世代相当の裏面照射積層型センサーと考えれば妥当なところでしょう。しかしこの新型センサーと DIGIC X の連携で 3,000 万画素級のカメラを凌ぐ解像性能をもつという、まるで Foveon X3 センサーのような謳い文句(笑)が非常に気になります。
動体撮影に全振りしたスペックの多くは α1 でも見たことがあって驚きはありませんが(それでも EOS-1D 譲りのボディによる操作性で α1 よりも使いやすそうではある)、文字通り注目なのは AF システムです。視線入力がまさかの EOS 7 と原理自体は同じ!視線検出センサーの高精細化とプロセッサーの処理能力向上でようやく実用に足る性能に達した、ということでしょう。被写体を注視してボタン操作するとその時点でロックオンされるというのはめちゃくちゃ使いやすそう。ただ、使用環境によっては再キャリブレーションが必要…というのはおそらく瞳孔の開き具合が異なる昼間と夜でキャリブレーションを取り直す必要があるということですよね?仕組みとしては理解できるけど、それはどうなんだ…。まあいずれにしても一度じっくり触ってみたいですね。
動画は 6K60p/4K120p。EOS R5 で 8K30p 撮影が可能だったのに比べるとインパクトは弱いですが、今回は動画のいわゆる「30 分制限」が撤廃されて最大 6 時間までの 6K60p 映像が撮影できるようになりました。このあたりは α7S III のときに書いたのと同様、R5 はあくまで東京オリンピック合わせで 8K 動画を何らかの形で撮れるようにするのがミッションであり、R3 ではそれよりも実用性やワークフロー重視に振った結果なのでしょう。
そもそも私のようなユーザーはターゲットではないカメラでしょうが、技術的な興味は尽きません。久々に実機を触りたい製品です。
キヤノン、RFマウント初の手頃な超望遠ズーム「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」。手ブレ補正内蔵・エクステンダー対応。約9万円 – デジカメ Watch
キヤノン、約4万円の超広角レンズ「RF16mm F2.8 STM」。“RF50mm F1.8 STM同等のサイズ感” – デジカメ Watch
同時発表のレンズは二本。100-400 と 16/F2.8 という、とても R3 には似つかわしくないレンズです(笑。まあキヤノンは特に EOS R 以降はボディとレンズの開発サイクルが半周くらいずれていて、エントリー寄りのボディと L レンズを同時期に出したりハイエンドボディと廉価版レンズを一緒に出したりしがち。今回のレンズはどちらかというと EOS R6 や RP 向けと言えそうです。
RF100-400/F5.6-8 は「暗いけど安くて軽い」という RF 廉価版望遠レンズの設計思想そのままのレンズ。RF500/600mm F11 同様に「シャッタースピードは ISO 感度で稼ぐことができるから安くて軽い方がいいよね!」という割り切りは個人的には好き。ボディ側は最近機能を盛っていく方向の機種ばかりですが、こういうレンズに似合う EOS RP のようなボディをもう一つくらい出してみてほしい…と思えてきます。
RF16mm は RF50mm F1.8 同等のサイズ感で比較的安い超広角単焦点、ということで 50mm ほどではありませんが「RF の超広角撒き餌レンズ」と言って良いのかもしれません。つい先日も GR IIIx や I Series のエントリーで書いたところですが、スマホカメラの超広角化で従来のレンズよりも 16~24mm くらいの画角を当たり前に使う感覚になってきたことが、カメラメーカーのレンズ戦略を変えつつあることを実感します。
カメラ業界はここ数年ずっと逆風が吹いていて厳しそうだな…と思っていましたが、この数日の各メーカーの発表を見る限りまだけっこう元気があるんですかね?なんだか触発されて、私も何か買いたくなってきてしまいました。
コメント