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F1 ロシア GP 2021

F1ロシアGP決勝:ハミルトンが前人未到の100勝目! レース大半をリードしたノリスは雨に泣く。角田17位

ダニエル・リカルドが優勝した前戦イタリアに続いてロシア GP も波乱含みの面白いレースになりました。
予選から決勝に至るまで雨が演出したグランプリで、予選では Q3 のウェットからドライに変わっていくシチュエーションでソフトタイヤの投入タイミングがうまく決まったドライバーが上位を占めました。ノリス/サインツ/ラッセルという顔ぶれはとても新鮮で、また来年以降の F1 がどういう勢力図になっていくかを予想させるものであったと思います。特に最近 Q3 の常連となりつつあるラッセルは真っ先にソフトタイヤに賭けてそれを成功させたという点で素晴らしい。来シーズン、ハミルトンの最大の脅威になるのはラッセルかもしれません。

決勝はスタートこそサインツに出し抜かれたもののその後はノリスが終盤までレースを支配。ハイペースで走りながらもミディアムタイヤをうまくもたせ、雨が降ってくるまではハミルトンからポジションを守り切りました。
予選とは打って変わって終盤の降雨が順位をシャッフルする展開となり、ノリスは残り 3 周をドライタイヤで走り切るギャンブルを選択したものの不発。インターミディエイトに履き替えたハミルトンが逆転勝利を飾りました。ハミルトンは例によってレース全体を俯瞰したストラテジーを確実に実行して最後にはノリスを捉えましたが、最後のタイヤ交換は勝つことよりも「コース上に留まって 2 位以上をキープする」という選択の結果ノリスが自滅してくれたように見えました。いずれにせよ史上初の通算 100 勝は素晴らしい。
ノリスは本当に惜しかったですね。あそこでタイヤを換えてもポジションを守りきれた可能性は十分あるし、チームとしてはもう少し強硬にピットに呼び寄せても良かったのにとは思います。が、3 周ならドライビングで何とかしてみせようとした姿勢自体はナイストライ、気持ちはよく解ります。今のマクラーレンならば今シーズン中にあと一回くらい勝つチャンスが訪れてもおかしくないし、ノリスにはそのときに勝つ能力と資格があると思います。

■マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

モンツァでの接触に対するペナルティで決勝 3 グリッドダウン、それを逆手に取って 4 基目の PU を投入し最後尾スタート。ハードタイヤで序盤は抜きまくり一気に入賞圏まで上がってきたは良かったですが、ハミルトンに呼応するようなタイミングでタイヤ交換したのは良くない判断でした。ミディアムに履き替えた後も上位を猛追しますが DRS トレインに阻まれて抜きあぐねているうちにタイヤが終わってしまい、一度抜いたアロンソに抜き返される状況。そのまま 7 位あたりでゴールしても 20 位スタートからすればよくやったか…と思っていたら、終盤の雨でピットインしたタイミングが絶妙だったようで気がつけば 2 位。20 位から 2 位であればダメージリミテーションとしては最善で、ハミルトンにはチャンピオンシップで再逆転を許したものの 2 点差はないに等しい。もともとソチがメルセデス向きのサーキットであったことも考えると、PU 交換のペナルティを実質的にチャラにできたと言って良いでしょう。今後は逆にハミルトンに PU 交換ペナルティが発生する可能性が高く、フェルスタッペンにとっては悪くない形勢で終盤戦に突入できる状況になりました。

■セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

フェルスタッペンが下位スタートになる以上はペレスがメルセデスに対する蓋役にならなくてはならなかったレース。予選はタイヤ交換のタイミングを外して 9 番グリッドというのはいただけない。他のドライバーがハミルトンの前に行ってくれたことや決勝スタートでハミルトンが出遅れたことで結果的にハミルトンの直後からプレッシャーをかける状況にはなりましたが、本来なら意図的にそういう状況を作るのがセカンドドライバーの仕事なわけで、後半戦のペレスはやはり頼りない。
その後も終盤まで表彰台を争う位置にいたのが、雨に伴うピットイン後に 9 番手に沈んでしまったのも残念。ここ数戦感じていましたが、このペレスの体たらくは本人よりもチームのペレス担当エンジニアがイマイチなんじゃないでしょうか?

■ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

ガスリーは予選・決勝ともに良いところがありませんでした。どちらもタイヤ戦略の誤りで上位進出のチャンスを失い、予選では Q2 敗退、決勝でも降雨時にステイアウトを選択したことで下位に沈んでしまいました。いずれも本人に非はなくチームのミス。モンツァではメカニカルなミスでほとんど走れず、今回は戦略のミスで…シーズン序盤の勢いは完全に失われてしまいました。このチームはトロロッソ時代から定期的にこういう理解不能なタイヤギャンブルをするんですよねえ…。

■角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

クルマとコースの習熟が重要な角田にとって、雨で土曜日のフリー走行が中止になってしまったのは痛手でした。それでも FP1 から安全に経験を積み、予選では Q2 敗退したもののガスリーの隣のグリッドにつけたのは悪くない。
しかし決勝ではオープニングラップで最下位に落ち(コースアウトした?)、そこからもペースが上がらず 17~18 位をウロウロするだけのレースでした。最後は雨が降っているのにソフトタイヤを履かされるという、ガスリー以上に意味不明なギャンブル…なんなんだこのストラテジーは。

後半戦の角田はクラッシュすることこそなくなりましたが持ち前の速さが完全に消えてしまったのが気になる。これは本当に正しい成長のステップを踏めているのでしょうか。

全体的に見て、フェルスタッペンにとっては望外に良いレースになりましたが、残りの三人にとっては戦略の失敗に翻弄されただけの週末でした。マックスのドライバーズチャンピオンの可能性が十分に残っていることを希望に、二週間後のトルコ GP へ気持ちを切り替えていきたいところです。

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