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グッバイ、ドン・グリーズ! [LIVE ZOUND] @チネチッタ

これもまた楽しみにしていた映画のひとつ。

グッバイ、ドン・グリーズ!

グッバイ、ドン・グリーズ!

四年前に観た『宇宙よりも遠い場所』(よりもい)のスタッフが再集結したアニメーション映画ということで以前からかなり期待していました。よりもいは自分内感動アニメランキングで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と双璧を成す名作だと思っています。
よりもいは四人の女子高生が主人公だったのに対して、本作は男子高校生三人組。彼らが冒険を通じて「何か」を見つけに行く青春物語という点でよりもいとの共通性があります。ただしテレビシリーズではなく 100 分強の映画一本という尺でどこまで表現できるか?という不安も少しありました。

※以下、ネタバレを含むので未見の方は閲覧注意。

高校進学を機に別々の道を歩んだ親友同士が夏休みに再会、そこに少し謎めいた三人目の少年が加わって森の中へと大事なものを探しに行く、というのが物語の根幹。ある種『スタンド・バイ・ミー』を下敷きにしたような話です。「さあ、宝物を見つけにいこう。」というキャッチコピーに代表されるように、少年が抱く将来に対する漠然とした期待と不安を表現した青春映画。

三人の主人公を演じるのは私でも名を知っているレベルの有名声優で、会話劇のような聴き心地の良さでテンポ良く話が進んでいきます。しかし他作品での声の印象が強すぎるせいで、私は最初の 30 分くらいは竈門炭治郎と西片がわちゃわちゃ遊んでるように聞こえてしまったのが没入感を削いでしまっていました。
あとは時間的な都合でキャラクターの掘り下げが足りないまま話だけがどんどん進んでいくことと、「宝物」みたいなふわっとした言葉が飛び交うために自分自身があまり作品に入り込めず。外側から状況を傍観する第三者的な感覚がずっと続いていました。このあたりはもしかすると私の年齢的な問題で、この作品が主に狙っているであろう十代の少年少女であれば共感して没入できるのかもしれません。不治の病と友人(あるいは恋人)の生死を軸に進んでいく脚本は若者向けの青春映画にありがちな構成だけに、そういうのはもういいですと思っている大人目線では残念でした。

しかしいずれにしても尺は足りておらず、冒険がいったん終わったと思ったら残り 20 分くらいで「後編」に相当する話が始まり、しかもそれもダイジェスト的に見せただけで話が畳まれてしまいます。後半の映像は「よりもい」を超える美しさがありましたが、そういう構造がなおさら置いてけぼり感を助長していたように思います。
後半部分だけでも二時間映画として成立するポテンシャルはあっただろうし、子どもらしい向こう見ずな性格に見えてすごく達観したところのある謎めいた少年:ドロップとか、主に回想シーンにだけ登場するロウマの片想いの相手:チボリといったいいキャラもいるのに、全体的に掘り下げられていないもったいなさばかりが気になりました。これテレビシリーズで 1 クールやったら全然違う評価になったんじゃないですかね。「よりもい」との違いはいしづかあつこ監督自身が脚本まで手がけているということで、映像表現や演出はいいけど脚本がイマイチ…と感じたのはそこもあるのかもしれません。

ところで重要な小道具のひとつとして登場するニコン D200 が「お父さんの古いカメラ」と言われていたのが、同世代の EOS 30D を使っていた身としてはちょっと複雑でした。確かに今 30D を使うかといえば使わないのですが、今やもうデジタル一眼レフが「古いカメラ」扱いになる時代なんですね…。

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