先日のドイツ出張の帰り、フライトの都合で半日程度の空き時間があったのですが、ちょうどシュツットガルト周辺にいたので付近の観光スポットであるメルセデス・ミュージアムに行ってきました。
開館直後に行ったらまだそれほど混んでいなかったのですが、お昼頃には入場待ち行列ができるほどの人気で驚きました。本当にこの界隈の人気スポットなんですね。
※写真は全てソニー RX100 III にて撮影。
Mercedes-Benz Museum • Stuttgart.
このミュージアム、建物の作りからしてめちゃくちゃカッコイイ。超広角レンズを持って来れば良かったと思いました。
エントランスはこんな感じの近未来空間で、入場後はエレベーター(これも未来的でカッコイイ)で最上階に上がった後、螺旋状の構造になっているビル内を順繰りに下りながら観覧していく形式になっています。
入場(有料)すると追加料金なしで音声ガイダンスが借りられます。もちろん各国語対応。
この音声ガイダンスは展示物の近くに行くと現在地を認識して自動的に解説がスタートする仕組み。しかも返却時にはここについている Mercedes-Benz Museum のロゴ入りネックストラップをお土産にもらえるおまけつき。おもてなし感が強くてメルセデスのファンになってしまいそう。
最初の展示物が「馬」で笑ってしまいました。まさに馬から自動車への歴史を作ってきたのがメルセデス。以前豊田産業技術記念館も見に行きましたが、自動車メーカーとしての歴史の重みが違います。
メルセデス(当時のダイムラー・ベンツ)草創期のクルマ。初期の自動車はあくまで馬車をベースに動力を変更したものであったことが分かります。三輪だし単気筒だしチェーンだし、当然ながら原始的。しかも初期のテストドライバーは創始者カール・ベンツの妻ベルタだというから驚きます。
このあたりの略歴はメルセデスの公式サイトでも分かりやすく解説されています。
HISTORY|Mercedes-Benz LIVE!(メルセデス・ベンツ ライブ)
このミュージアム、全体の物量がすごすぎてとてもじゃないけど写真を全部載せきれないのですが、その中でも草創期の展示品の割合が多い。なかなか現代のクルマの形に辿り着かないのですが(笑)、しばらく行ってようやくこのくらいの時代↑になりました。
これでも日本でいうと大正~昭和初期というところですが、無骨な中にも加飾が凝っていてエレガンスを感じます。
いわゆる「はたらくくるま」的なコーナーもあって楽しい。これは昔のロンドンバスだと思われますが、カラフルでポップな広告があしらわれていて洒落ています。ディズニーランドみを感じてしまうのは現代人のセンスなんだろうなあ。
だいぶすっ飛ばしてようやく見慣れた感じのクルマになってきました。こちらはメルセデス・ベンツの歴史の中でも有名な 300SL。「ガルウイング」の別名で知られる名車ですね。私もグランツーリスモで知ってました(笑
1950 年代のクルマですが、保存状態が良いことに加えて照明が良くてキラキラ輝いて見えます。
真っ赤な革張りの内装も豪華。スポーツカーでありながらステータスの象徴であったことがよく分かります。
これ私もリアルタイムだったら憧れたに違いない。
この 500SL クーペはイギリスのダイアナ妃が結婚当初に乗っていたものとのこと。ダイアナ妃本人がいたく気に入っていたらしいのですが、「イギリスの皇太子妃なのにイギリス車に乗らないのはけしからん」という世論に負けてドイツに返還されたそうです。イギリス国民…と思うけど日本でも似たようなことは起こりかねないのであまり悪く言えません(笑。でもそのおかげでその実車をこうやって鑑賞することができるわけです。
ちなみにこの近くにかつて日本の昭和天皇の御料車として納められた車両も展示されていたらしいのですが、見落としました(泣
これはよく知ってるやつ。2002 年頃の F1 のメディカルカーですね。FIA の旧ロゴが懐かしい。
さすがに 20 年も経つから今ではもう見かけませんが、以前はこれの市販車もよく街中を走っていたし、グランツーリスモでもよく乗りました(笑
そして展示フロアの最下層にようやくレースカーの展示コーナーが!これが見たかった。
F1 だけでなくさまざまなカテゴリーのウィニングマシンが並べられています。この展示方法は圧巻。
近代 F1 でのメルセデス最初の成功例になったのが、1990 年代後半のマクラーレンとのジョイント。マールボロの赤白がトレードマークだったマクラーレンが West をメインスポンサーにメルセデスのシルバーアロー・カラーに塗り替えられ、ミカ・ハッキネンのドライブでミハエル・シューマッハーを破り二度のワールドチャンピオンに輝いたわけです。これはその一度目のチャンピオンを獲得した 1998 年の MP4-13。
その 10 年後。デビュー二年目のルイス・ハミルトンとともにドライバーズチャンピオンを獲得したのが MP4-23 でした。最終戦ブラジル GP のファイナルラップでチャンピオンが確定した熾烈なシーズンでしたね。
クロームシルバーに vodafone の蛍光レッドはとにかく目立つ。そして当時のテクニカルレギュレーションの都合でタイヤが溝付きだったり、車体にやたらゴテゴテと空力付加物がつけられているのが特徴的。今見るとあまり美しくはないなあ。
そしてメルセデスが猛威を振るったパワーユニット時代。ドライバーズ 7 連覇、コンストラクターズ 8 連覇を築いた中でもこれは 2016 年の W07、ニコ・ロズベルグ車ですね。ロズベルグが唯一ハミルトンを破ってチャンピオンに輝き、そのまま電撃引退した年のマシン。メルセデスの F1 チャンピオンといえばハミルトンの印象が強いですが、あえてロズベルグ車なのはドイツ人ドライバーだからですかね(笑。
これも今見るとフロントウイングはやたら低く幅広で、リヤウイングは狭く背が高くて、あまりカッコ良くない時代でした。F1 は翌 2017 年からまた大きく形が変わっていくことになります。
レースで実際に使用されたレーシングスーツも展示されていました。が、なぜかヘルメットはハミルトンなのにスーツやグローブはロズベルグというちゃんぽん展示(笑
ハッキネンの二度目のチャンピオンマシン MP4-14 の半分解展示もありました。これまたカッコイイ。
F1 マシンってイベント等で展示される機会があっても中身まで見せないことのほうが普通なので、これは貴重。写真撮りまくってきました。
こちらは 1954-55 年にファンジオが乗った W196。MP4-14 との約 45 年間の進化の度合いを示すようにこちらも半分解展示されていました。
さらに古い 1920~30 年代の F1 マシンも展示。当初のメルセデスはドイツの(スポーツにおける)ナショナルカラーであるホワイトを纏っていました。それが 1934 年に重量制限で車検落ちし、1kg でも軽量化するために塗装を剥がしたのが今日に続く「シルバーアロー」の始まり。その歴史を実車を見ながら追体験できるのはさすが、メルセデスのお膝元ミュージアムです。
滞在 2 時間、という感じでしたがそれでもかなり駆け足で回ってこの時間。それぞれの展示物をじっくり見たらそれこそ丸一日かかることでしょう。もしまた来る機会があれば今度はもっとゆっくり見て回りたいし、同じシュツットガルトにあるポルシェミュージアムの方も見に行ってみたいところです。
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