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THE FIRST SLAM DUNK [LIVE ZOUND] @チネチッタ

観てきました。

THE FIRST SLAM DUNK

THE FIRST SLAM DUNK

私はちょうど中学~高校時代がまるまる『SLAM DUNK』が週刊少年ジャンプで連載していたリアルタイム世代で、当然のように単行本も全巻揃えていました。バスケ部じゃなかったけどバッシュは二足買ったし、昼休みには体育館でシュート練習してました(笑。この作品を通じてバスケットシューズに興味を持ったこと(と、その直後に来るエアマックスブーム)が今のスニーカー好きに繋がっています。でも当時やってたアニメはほとんど観ていませんでした。

本作は映画化の報を聞いて以来興味を持っていたのですが、公開直前になってもほとんど情報が出てこず、どちらかというとネガティブな話題の方を多く目にしていたので、あえて公開初日は避けていました(笑。でもどうやら評判が良いらしいということで考え直して映画館へ。

本作はどうやってもネタバレを避けることが難しいので今後観に行く予定のある方は本エントリーを一旦閉じた方が良いと思います。でも端的に感想を書くと、期待していた以上に良かった!

■インターハイ二回戦、対山王工業戦が舞台

事前情報があまりに少なかったためどの場面が映画化されるのかは封切りまで分かりませんでした。「THE FIRST」というタイトルからガンダム THE ORIGIN のように再構成したストーリーを最初からやり直すのか、とも思っていましたが、蓋を開けてみれば原作コミック最後のクライマックスである山王戦でした。1990 年代にやっていたテレビアニメ版では確かインターハイ前までしか描かれなかったので、その続きと考えれば違和感はありません(何が「THE FIRST」なんだ?という疑問は残るけど)。
原作でも最も盛り上がった試合の一つである山王戦の 40 分間を 2 時間という映画の尺を使って丁寧に描写しています。といっても前半は飛ばし気味で、試合に大きな動きのある後半が中心。基本的には昔からのファン向けの作りで「これまでのあらすじ」的な説明もなく本筋に突入していきます。

■実質的な主人公は宮城リョータ

驚いたのが、今回の映画では本来の主人公である桜木花道ではなくチームメイトである宮城リョータが実質的な主人公として扱われています。映画化にあたって初めて明かされたリョータの過去や家族の話を絡めて山王戦が描かれています。他の湘北メンバーの過去もそれぞれ回想でフォローしてはいるけど、物語の軸はリョータ。確かに山王戦のキーマンは宮城リョータだったし花道はむしろこのゲームではジョーカーだから、山王戦一本で映画を作るならこのアプローチは間違ってはいない。ただしヒューマンドラマの面ではリョータ以外のくだりが大胆にカットされているため、人によっては不満が残るかもしれません。

■構成は良くも悪くも『SLAM DUNK』っぽくない

山王戦の試合中にリョータの回想として過去の話が断片的にカットインする構成になっています。バスケットボールの試合の流れという点ではテンポが悪く感じる部分ではありました。リョータも原作に比べて闇が深いキャラとして描かれているし、これは SLAM DUNK の皮を被った『リアル』なのでは?という感覚。原作者の井上雄彦先生が脚本・監督も務めているので、今の井上雄彦が作るとこうなるということなのでしょう。原作コミックのほうは「バスケの面白さ、楽しさ、カッコ良さを伝えたい」という想いが強く感じられる作風だったのに比べると本作はあまり SLAM DUNK っぽくない。まあ当時の読者層が三十年の歳を重ねて観に来ることを考慮すると少年マンガをそのまま映像化するのでは足りないとなったのかもしれません。

■声の違和感はそんなになかった

事前情報ではテレビアニメ版からキャストが総取っ替えになることに対してネガティブな反応が多いように見えました。まあ私はあれから三十年経つわけだし全員そのままとはいかないよね…と思っていたし、テレビアニメ版をあまり観ていなかったので個人的には完璧とは言わないまでも大きな違和感はなかったかな。

■フル CG で描かれるバスケットボールゲーム

映像は全編 CG ベース。手描き風のフィルターを介して表現されているため最初はちょっと違和感があったのですが、物語が進んでいくうちに気にならなくなりました。それよりもバスケットボールの試合を全て手描きでアニメ化するのは非現実的だし、CG で映像化することでコート上で起きていることが把握しやすい!マンガだとカットで繋ぐから見えていなかった部分も映像だと「このときこの選手がこう動いている一方で別の選手はこう動いていた」というのが解りやすく、まるで本当のバスケの試合を見ている感覚がありました。マンガを描いているときから井上先生の脳内ではこの空間で起きていることが見えていたんだろうなあ。
また本作では各選手が履いているバッシュも見どころなのですが、ちゃんとナイキ/コンバース/アシックスの協力のもとバッシュが忠実に表現されているのも嬉しかった。ちなみにコンバースは今や(国内では)もう競技仕様のバッシュを販売していないので尚更胸が熱くなりました。バッシュ欲しくなりましたね…。

あと、自分が SLAM DUNK のマンガを最後に読んでからもう 25 年くらい経っててディテールは忘れてしまっているつもりでいたのに、いざ映画を見始めてみると試合展開とか名台詞とか今でも鮮明に覚えていたことに驚きました。当時はそれくらい熟読したからなあ。

そんな感じで、期待値を下げて観には行きましたが、それを差し引いても面白かったです。山王戦を映像化してしまったからには続編を期待するのは難しいでしょうが、もうちょっと観たいと思ってしまいました。

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