例年荒れたレースになりがちなオーストラリア GP、今年もけっこうな荒れ模様でした。とはいってもルクレール／アルボン／ラッセル／マグヌッセンのリタイヤはそれぞれマシントラブルか単独クラッシュで、個別には問題なく処理されていました。問題はマグヌッセンのクラッシュに伴うレースコントロールで、レース再終盤に赤旗中断を挟んだ結果ラスト数周でソフトタイヤによる超スプリントレース＆スタンディングスタートとなり、そこから多重クラッシュが発生。その後また赤旗中断からセーフティカーランのままチェッカー、という何とも締まりのないレースでした。それによって最終リザルトに大きな影響を受けたドライバーは多く、今回のレース運営は（に限らずこの三年くらいのレース運営が、だけど）特にグダグダだったなあ…という印象。だって残り数周で赤旗からのスタンディングスタートって事故るのが素人目にも明らかじゃないですか。いくらなんでもひどい。
■レッドブル
今回もフェルスタッペンの独壇場でした。スタート直後にメルセデスに先行されるという予想外はあったものの、クルマの速さで危なげなくトップを取り戻してからは半クルージング状態。終盤の赤旗中断からのリスタートでポジションを脅かされそうだったのが唯一のリスクと言って良いレースだったと思います。
一方のペレスはフリー走行中からマシンの不安定さを訴え、予選 Q1 でコースアウトからまさかのタイム記録なしで最後尾スタート。最終的に 5 位まで戻してくることはできましたが、前戦でフェルスタッペンとの対決姿勢を見せた直後にこういうことが起きてしまうのがペレスの「持ってなさ」なんですよね…。今季のチャンピオンシップでフェルスタッペンに対峙できそうなのはペレスだけだから、改めて立て直してほしいところ。まあ夏休み前までには趨勢は決していそうな気がしていますが。
■メルセデス
ハミルトンが今季初表彰台を獲得。特に中盤までのアロンソとの駆け引きには痺れたなあ…。チームラジオでの「このタイヤ最後までもたないと思うんだけど？」っていう泣き言（他チームに対するブラフの可能性あり）も含め全盛期のハミルトンが戻ってきたようで楽しかったです。ラッセルの PU トラブルがなければメルセデスの 2-3 フィニッシュもあり得たというくらい、今回のメルセデスは速かった（速すぎるフェルスタッペンを除く）。
ただ心配なのは、現行マシン W14 の失敗を認めてコンセプトを変更しようとしていたところに結果を出してしまったことで、メルセデスの開発に迷いが出てしまうのではないかということです（笑。去年も終盤に向けてパフォーマンスが上がっていったことが結果的に今季の失敗に繋がったと思っているので、これに気を良くしないで（←）クルマを作り直してほしいところ。やっぱりメルセデスが速い方がレースが面白いので。
■アストンマーチン
アロンソが今回も 3 位表彰台。開幕から 3 戦連続 3 位、この安定感は驚異的です。僚友ストロールも（サインツやガスリーが赤旗のゴタゴタで脱落したとはいえ）4 位につけているあたり、アストンマーチンのパフォーマンスが高いことを証明しています。四十歳を超えてなおハミルトンとバチバチにやり合えるアロンソには惚れる。フェラーリの存在感がない今季、アロンソがチャンピオンは無理としてもどこまでやれるかが完全に見どころの一つになっています。
■アルファタウリ
角田今季初入賞おめでとう！！！
走らないマシンで予選 12 位は大健闘。そこから決勝でもうまいブロックラインを見せてかなりの時間を入賞圏で争っていました。しかし周囲とのペース差は歴然としていて、ジワジワと順位を落とし続けて一時は完全に入賞圏外に。しかし上位勢がリタイヤする中をうまく生き残り、最後はサインツの 5 秒ペナルティーもあって 10 位入賞。終盤の赤旗リスタートでは 5 位までジャンプアップを果たし（結局それは再度の赤旗でリセットされましたが）、もう少しで大量得点を果たすところまで行っていました。第 1～2 戦は連続 11 位で悔し涙を飲んだけど、常に入賞圏争いを繰り広げていればこういうときに運が回ってくるもの。今年の角田は落ち着いているし安定感もあるし、与えられた環境下では最大限の仕事をしているのではないでしょうか。これが 2024 年、あるいは 2025 年のレッドブル昇格に繋がっていってくれることを願っています。仮に 2026 年にホンダが正式復帰することになったときにホンダとレッドブルとの間で角田を取り合うような状況になってほしいところ。
次のレースは三週間空いて今月末のアゼルバイジャン。夏休みでもないのにこんなに間が空いてしまうとレースのない週末が寂しくて仕方ないのですが、この間に（特にアルファタウリの）マシン開発が進むことに期待しましょう。
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