アルファタウリが正ドライバーの一人をニック・デフリースからダニエル・リカルドに入れ替えることを発表しました。しかも来週末のハンガリー GP から。
デフリースの更迭はもう既定路線だと思われていましたが、遅くて今季末、早くても夏休み明けだと予想していたのでこのタイミングには驚きました。イギリス GP 後にシルバーストンで実施されたタイヤテストにリカルドが RB19 で参加して、その結果を見て即決定ということだったと思われます。
デフリースは F2 や FE での実績や昨年ウィリアムズから代役として急遽デビューして入賞というポテンシャルを買われての起用で、ここまで結果らしい結果が出せていないのは事実ですが、クルマがボロボロな今年のアルファタウリでのフルシーズンデビューというのは不運でしたね…わずか 10 レースでの判断にはちょっと同情したくなります。でもレッドブルの育成枠でなく即戦力として呼ばれて年齢的にも若くないし、見切りの早いレッドブルグループとあっては仕方のない結果であるとも思います。来季以降は他のカテゴリーでがんばってほしい。
一方でリカルド。下位チームからの F1 復帰を望んでいなかったことは周知の事実なので、紛れもない最下位チームでの出走にはそれなりの条件が提示されたとみるべきでしょう。具体的には残りのレースで角田に圧勝できたら来季のレッドブル復帰が約束された、とか。そうでもない限り、キャリアに泥を塗る可能性の高いチームでの出走を呑むとは思えません。
一方でアルファタウリがリカルドを乗せる理由は、チームとしての成績向上ももちろんありますが、角田のベンチマークに使うためとみて間違いないでしょう。タイヤテストを経て「RB19 に乗ったリカルド」のデータ(フェルスタッペンやペレスとの比較も含む)が取れたことで、間接的にではあるけど角田との比較もできるようになります。2025 年、あるいは 2024 年から角田をレッドブルに昇格させるのに相応しいかの試金石がリカルドというわけです。ヨーロッパラウンド以降のペレスの低迷もあり、来季のレッドブルの二番目のシートはどう転んでもおかしくない状況にあります。
角田の立場でいえば、チームメイトが誰であろうとやることは変わりません。シンプルに、チームメイトに勝ち続けるだけ。F1 で生き残って行くにはそれしかないし、最盛期を過ぎたとはいえトップクラスのドライバーと比較してレッドブルへの昇格試験の機会を与えられる程度には期待されていることは事実だと思います。将来的なホンダの動向とは関係なく、レッドブルに昇格してグランプリウィナーになることだけを目指すのが当面の目標。2026 年以降の F1 の勢力図がどう変わるか判らない今、現行レギュレーションのうちに勝てるチームに行って実績を残しておくことができれば 2026 年以降も角田のほうに選択権がある状況を作ることもできるでしょう。今季大半のレースで底辺のマシンを入賞圏付近まで持って来ることができている角田ならば、リカルドに勝てる可能性も十分にあるはずです。
個人的に、今シーズンはチャンピオンシップよりも角田のレース内容に注目していましたが、後半戦に向けてそれがさらに過熱してきました。来週末のハンガロリンクが今から楽しみで仕方ありません。
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