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オートフォーカスアイウェア「ViXion01」を見てきました

クラウドファンディングで資金調達中の「ViXion01」を見に行ってきました。

ViXion / オートフォーカスアイウェア ViXion01

ViXion は光学レンズメーカーの HOYA からスピンオフしたベンチャー企業で、レンズ側で自動的にフォーカス調整することで近視・遠視・老眼などに幅広く対応可能なメガネ型のウェアラブルデバイスです。
私はコンタクトレンズ使用者だし老眼もまだ来ていないので当面こういうものは必要としていないのですが、デバイス側でピントを自動調整してくれるアイウェアってどういうモノか?という技術的興味を惹かれて二子玉川にある蔦屋家電まで足を運びました。なぜ蔦屋家電なのかと思ったら、このクラファンを運営している GREEN FUNDING が CCC(TSUTAYA)傘下だからということですね。

展示機は二台、一台は外観展示用でもう一台がデモ機でした。説明員は ViXion の開発者ではなく蔦屋家電あるいは GREEN FUNDING のスタッフのようで突っ込んだ質問は難しそうでしたがこちらの反応やコメントは開発元にフィードバックしてくれそうな雰囲気。
試用するなら裸眼じゃないと意味がないだろうと思ってあえてコンタクトではなく眼鏡をかけて出掛けました(私が眼鏡で外出するのは超レア)。

ハイテクサングラス然とした ViXion01 の外観は MARVEL のサイクロプスかシン・エヴァの碇ゲンドウか、という感じ(笑。公衆の面前で装着するのには気恥ずかしさがありますが、現時点ではまだ視野角などの理由によりこれをつけて出歩くまでは想定されておらず、屋内で座った状態などでの利用ならまあ許容範囲ですかね。ただレンズ部分がサングラスに白黒反転させた眼が浮かんでいるように見えて、ちょっと怖さがあります。

眉間の部分に測距センサー(詳細不明だけど赤外線系ですかね)が搭載されていて、それで使用者が見ようとしているものとの距離を計測します。とはいえ視線を検出しているわけではないのであくまで「センサーが向いている方向にあるものとの距離」を測るだけ。例えば本を読みながら視線の動きだけで本の向こう側にあるものを視ようとしても AF が作動せず、顔の向きを動かして AF を合わせるといった使い方になります。

デザインと装着方法はメガネを模しています。ツルの形状が左右非対称なのが面白い。
メガネ型とはいえメガネよりは重さがあって、装着感はエプソンの HMD「MOVERIO」あたりと似たような感じ。長時間つけっぱなしは厳しく、せいぜい何かの作業や読書などに 1~2 時間集中して使うというのが現状の製品では限度でしょう。

瞳孔間距離(IPD)はレンズユニットを物理的に左右にスライドさせることで調整します。で、ピントは右端にあるダイヤルを回すと右側が、左上のボタンを押しながら右端のダイヤルを回すと左側が調節されます。いったんピントを合わせたらあとは AF してくれるので調整は最初だけで OK。

実際にかけてみましたが私は IPD が一般よりも広いようで、最大まで広げてもちょっと足りない…という感じでした。そういう状態だったので、かけた状態でも手で保持してやらないとうまくレンズを覗き込むことができませんでした。

この製品の最大のキモであるレンズ。内部にポリマー(ゲル状のやつ?)が充填されていて、その厚みを増減させることで焦点距離を変化させます。カメラ用レンズで昔から夢の技術と言われている「液体レンズ」と同じ考え方ですが、これがついに実用域に達したということですね。

レンズはかなり小さく、カメラのファインダーよりもさらに小さい穴を覗き込んでいる感覚。視野角はとても狭いです。現状だとこれをかけて生活するというよりはやはり作業などの補助のために一時的に使う、という感じ。
フォーカスはまるでカメラの AF のごとくスッ、スッと合ってくれるのが気持ち良い。人間の眼ほどのスピードはないけどカメラの AF の感覚だと思えば許容範囲です。

しかし私の感想としてはレンズは視野角の狭さもさることながらレンズ自体の透過率が低いのか、なんか玩具のカメラのファインダーを覗いているような感覚でクリアに見えないのがストレスに感じました。メガネに比べるとシャープさが足りていないのと、薄く曇って見えるんですよね。素材的に光学レンズのような透過率を得るのは難しいのかもしれませんが、将来的には解決されるものなのでしょうか。

私が試用できたのはせいぜい 10~15 分といったところだったのでインプレッションとしても限定的ですが、AV Watch に掲載されていた西田宗千佳氏の記事が非常に詳しかったので掲載しておきます。

世界初“オートフォーカス”アイウェア「ViXion01」を試す【西田宗千佳のRandomTracking】
様々な事情によって、多くの人が「視力矯正」をしながら生活している。補正も一段階で済むならいい。近いところと遠いところで見え方が異なる場合などに、複数のメガネを使い分ける場合もあるだろう。

個人的には、技術的にはとても興味深いしこういうチャレンジは素晴らしいと思うけど、まだちょっと実用するレベルにはないかなというのが率直な感想です。現時点でこれが実用になるのは肉眼のピント調整能力に難のある人か近眼かつ老眼で遠近の両方が辛い人か、のどちらかではないでしょうか。でも眼鏡やコンタクトレンズでは救えなかった人が救える可能性がある、ということには意味があると思います。

最大の課題はレンズの大きさでしょうが、技術的にはレンズを大きくする余地はあるとのことなのでまずはそれが解決されてからですかね。この技術が当初の目的のまま実用化されていくのか、それとも AR/VR HMD と技術的に統合されていくのかは分かりませんが、いずれにしても今後の可能性には期待したいと思います。

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