モナコやカナダといった特殊なコースとは違うパーマネントサーキットで、過去の走行データがあるぶんマシン性能の優劣がはっきり見えるというスペイン GP。一昔前までならヨーロッパラウンドの幕開けとして開催されていましたが、今年はもう 10 戦目ということで各チームの中間評価的なレースになりました。
■レッドブル
優勝したのは例によってマックス・フェルスタッペン。ですが、PP はノリスに奪われレースペースでも必ずしも最速ではなく、R20 に以前のような圧倒的優位はもうないことが改めて確認されたグランプリだったと言えます。それでもフェルスタッペンが勝ったのは彼とチームのレース運びの強さでしょう。展開次第ではノリスに負けていたレースでしたが、タイヤ交換タイミングを間違えず、レースペースとタイヤをコントロールし、必要に応じて後続の追い上げに対抗するラップタイムを刻める。これが今のフェルスタッペンの強さの源泉と言えます。これで 10 レース中 7 勝目、二番手以下が潰し合ってくれるおかげでドライバーズチャンピオンシップは安泰。まあ当のマックスはポイントを計算するよりもそれぞれのレースを楽しんでいるように見えますが。
3 レースぶりのポイントを獲得したペレスは、もうどう頑張っても 8 位が精一杯という感じになっちゃいましたね。上位 4 チームが拮抗してくるともう割って入ることができない。なんかもうセカンドドライバーだった頃のガスリーやアルボンよりも駄目なんじゃないでしょうか…。
■マクラーレン
ノリスは勝てていたはずのレースでした。スタート直後にラッセルに先行を許した時点でノリスのプランは崩れていた可能性がありますが、その後のピット戦略も謎でした。フェルスタッペンに対してアンダーカットを仕掛けていれば逆転できていた可能性もあったのに、逆にタイヤを引っ張ってタイムを失ったのが敗因でしょう。とはいえマイアミ以降で安定して速いことには変わりなく、マシン的にも RB20 と同等以上のポテンシャルがあることが判明した以上、今後のレースで何勝かする可能性は十分にあります。2 勝目を挙げて勝ち方を憶え、フェルスタッペンとバチバチにやり合うノリスが見たい。
僚友ピアストリはノリスに比べると目立たないレースでした。とはいえデビュー二年目でモナコ表彰台獲得、現時点で選手権 6 位というのは普通じゃないんですが、ノリスと同等以上の逸材だと思っているのでもっとノリスの近くで走る姿を見たい。課題はレースペース(タイヤ管理)ですね。
■入賞争い
メルセデスがカナダに続いて今回も 3-4 フィニッシュ。スペインで速いということはクルマの速さは本物と見て良いでしょう。やはりメルセデスやマクラーレンが表彰台争いに絡んでくるとレースが面白くなります。
対照的にフェラーリは上位よりもチームメイトと争うようなレースでした。フェラーリもメルセデスも片方のドライバーの離脱が既に決まっていることもあり、チームメイト同士の関係が微妙なのがレースに影響を与え始めています。
あとはアルピーヌが二戦連続でダブル入賞しているのも見逃せません。クルマの軽量化に成功して速くなってきたということでしょうか。RB はそろそろコンストラクターズのことを考えるとハースよりもアルピーヌの前でレースをすることを意識した方が良さそうです。
■RB
0.2 秒速くなるという大規模アップデートを持ち込むということで期待したのですが、RB にとっては今季ワーストレースでした。まず新型のリヤウイングにトラブルが発生して旧型に戻し、でも他のパーツは新型のまま走行。そうすると当然空力バランスが当初想定から変わってくるからセットアップもままならず、予選はあっさり Q1 敗退。決勝でも角田車でソフトタイヤよりもハードタイヤの方が速いような状況で、さらにデフ関連のトラブルまで出て…目も当てられない状況。まるで昨年以前に戻ってしまったかのように見えました。
気を取り直して次に行きたいところですが、スペイン~オーストリア~イギリスは三連戦であまりクルマをいじっている暇がないのが辛いところ。とりあえず旧パッケージに戻すという話もあるようですが、とにかくマトモに走るクルマ、お願いします…。
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