青山一丁目の LUMIX BASE にてパナソニックの LUMIX S9 の先行展示機を触ってきました。
発表以来いろんなところで炎上気味の LUMIX S9。端から見ている限りではマーケティング関連のリソース(人員と予算)不足が原因っぽい様相だから製品には罪はないはず(と思いたい)。小型のフルサイズミラーレスカメラならば私の琴線に触れないわけもなく、一度実機を見てみたいと思いました。
展示機には 26mm F8、20-60mm F3.5-5.6、28-200mm F4-7.1 の三本のレンズが交換可能な状態で展示されていました。が、↑の写真で装着されている 28-200mm はもちろんのこと一回り小さな 20-60mm であっても S9 のボディに対してはアンバランス。このボディでズームレンズを使いたければ開発発表されている 18-40mm F4.5-6.3 を待つのが賢明でしょう。それまでの間はシグマの I Series かマウントアダプター経由で M マウントレンズを使うユーザー層のおもちゃ、という印象。
パナソニックが提供するエクステリア張り替えサービスによるカラーバリエーション品も展示されていました(ブラックベースのみ)。公式サイトの画像だけ見ていたときにはブラック×ダークオリーブめっちゃいいじゃん、と思っていたのですが実物の質感はなんか期待したほどではありませんでした。たぶんブラックのプロット塗装の目が細かいのが好みじゃないのと、グリップのレザーも薄いように感じたのがイメージと違ったんだと思います。
こちらはナイトブルー。
26mm のパンケーキレンズ、薄くていいじゃんと思ったらこれよく見ると F8 固定かつ MF なんですね。これだと狙ってボケを作るには工夫が必要で、スマホからのステップアップユーザーが使ってもあまり楽しくないんじゃないでしょうか。分かってる人がボディキャップ代わりにつけるレンズとしては面白いと思うけど。
クリムゾンレッド。
このエクステリア張り替えの三色、ボディやパンケーキレンズのデザインも相まってなんだかコンセプトモックっぽく見えてしまいました。マイクロフォーサーズ版オリンパス PEN のコンセプトモックがまさにこんな感じでしたよね…。
対照的に想像していたよりもずっと良かったのがシルバー。公式画像ではフジ X-E シリーズと見分けがつかないようなクラシカルなシルバーでしたが、実物は(ショールームの照明の具合もあるかもしれませんが)チタン寄りのシルバー。ブラックのプロット塗装とは異なりシルバーはシルキーな質感に仕上がっていて、もし自分が買うならこのシルバーでグリップは張り替えせずブラックのままがいいかな、と感じました。動画撮影ボタンのメタリックレッドも高級感に一役買っていると思います。
なおボディはデザインの妙で薄く見えていますが、実際には軍艦部よりも後ろに少し出っ張っているから厚みはそれなりにあります。コンパクトな単焦点レンズを使う限りはホールド感はまあ十分だけど、ズームレンズを使うならもう少し指掛かりが欲しくなります。
ちなみにショールームには SmallRig 製の L 型グリップ(底面の三脚穴を使って固定するタイプ)も展示されていました。これを使えば 28-200mm でもなんとかホールドできる感じ。発売時点からサードパーティーの協力を取り付けているのは良いと思いますが、むしろ純正で用意されていてもいいくらいじゃないですかね。
注目のリアルタイム LUT。機能的にはフォトスタイルの自由度を高めつつ静止画/動画の両方に適用できるようにしたものという理解で、LUT と呼んでしまうのが動画に強い LUMIX らしいし今っぽい呼び方でもあります。ただ残念なのはプリセットで、Vlog 用の「Vlog_709」というプリセット以外は「Sample LUT1」のようなやる気のないネーミング。カメラに最初から入っているのはあくまでサンプルで、いろいろ楽しい LUT がたくさんアプリ経由でダウンロードできるからそっち使ってね、と誘導したい狙いはあるにせよ、目玉機能ならメーカーのおすすめとして代表的な二、三種類の LUT にちゃんと名前をつけて入れておくべきでは。
総じてこのカメラ、良いところもイマイチなところも同じくらいあるというのが私の感想です。ちょうど良いレンズの揃ってなさもあってメーカーの想定とは違い実際には(特に日本では)分かってる人のおもちゃになる予感。発売から時間が経っているシグマ fp よりこっちの方が良い部分もあると思うので、発売されたら店頭で両機種を触り比べてみたいところです。あとはこのカメラに刺激を受けて S/C/N の三社からも割り切ったコンパクトなフルサイズミラーレスが出てきてくれるともっと面白くなるのですが。
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