『劇映画 孤独のグルメ』発表

いつか来る…というより、Season10 までやったならそろそろ来るだろうと思っていた『孤独のグルメ』の映画化が正式発表されました。なんか去年の大晦日スペシャルあたりからそんな気配があるなあと思っていたら、本当に来てしまった。

劇場版ということでいつものテレビシリーズとは制作体制が異なり、主演に加えて監督・脚本まで松重さんが手がけるとのこと（脚本はいつもの田口佳宏氏との共作）。映画とドラマでは撮り方も変わるしいつもの共テレでは撮りきれないのも分かります。そこに来て松重さんの初監督作品がこれになるとはね…そういえば少し前のラジオで改めて映像の制作側を勉強しているとか仰っていたような。まあ、映画だからといってこれまでのシリーズに全然関係ない監督が出てくるよりは松重さん自身が監督を務めるほうがファンとしても安心感があるというものです。

映画のストーリーはまだ公表されていませんが、少なくともパリでのロケが行われたことは明らかになっています。まさか岸部露伴に続いて井之頭五郎までルーヴル（？）へ行くとは。まあ輸入雑貨商としてフランスでの仕事があるのは設定上自然だし、原作コミック 5 話でゴローがかつて元恋人・小雪とパリで過ごしていたというくだりもあります。映画には「ラブストーリーもある」という話なので、もしかするとパリでの小雪との生活にまつわるエピソードがあったりするのでしょうか。

そういえば原作の最終話もパリが舞台だったし、そういう意味でもシリーズの集大成としてフランスロケというのは因縁を感じます。ちなみにパリの映像化は Season1 の静岡おでん回で浦安の街並みをバックにパリだと言い張った実績がありますが（笑）、それが巡り巡って本当にパリで撮影する作品にまで成長するとは。

また映画化と同時に 10 月クールで新ドラマ『それぞれの孤独のグルメ』の放送も発表されました。こちらは井之頭五郎も登場するけど別の誰かを主人公に据えたオムニバスドラマとのこと。これはちょっとイヤな予感がします。孤独のグルメで言えばいつもと違うスタイルを採った配信オリジナル版は雰囲気が随分変わっちゃってたし、松重さんが主演の一人を務めたドラマ『バイプレイヤーズ』もメインキャストの登場シーンがグッと減った 3 期目は散漫な内容だったし…。とりあえず観ますが、期待値は下げておこうと思います。

ちょっと引っかかっているのが、松重さんのインタビューの中で「長寿シリーズ化でスタッフが大きく入れ替わったので立て直す必要がある」と仰っていること。Wikipedia を見るとメインスタッフもそれなりに入れ替わっていますが、出入りの激しいテレビ業界のことだから若手スタッフはもっと入れ替わっていると想像します。あとは最初期からドラマとしての「型」を作ってきた溝口憲司監督が Season7 を最後に鬼籍に入られたことの影響も大きかったろうなあ。
私はしばらく前からドラマとしての『孤独のグルメ』はそろそろレギュラーシーズンを終えて、せいぜい年末年始にやるスペシャルドラマだけの展開になっていくんじゃないかと思っていました。スタッフの入れ替わりもそうだけど松重さんの年齢、および他の映画やドラマに引っ張りだこな状況からするとやむを得ないし、ついにそのときが来たのかもしれません。劇場版が原作の最終話と同じパリを舞台とする、というあたりも示唆的じゃないですか。仮にこれが最後になるとしても、それはそれとして見届けようと思います。