スポンサーリンク

耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」が気になる

先日発売された新コンセプトのヘッドホンが気になったので秋葉原の e イヤホンへ試聴しに行ってきました。

NTT ソノリティ / nwm ONE オープンイヤー型 オーバーヘッド耳スピーカー

二年前に「耳を塞がない」イヤホンタイプの MWE001 / MBE001 を発売した NTT ソノリティからヘッドホンタイプのモデルが出てきたというわけです。NTT は通信や通話のために音響の研究を長年行っていますが、近年はそれをオーディオ製品に積極的に応用しようという姿勢が強まっていますね。しかも他社とのガチ競合ではなく独自性を前面に出してきているのが面白い。

耳を塞がないヘッドホンというコンセプトは 17 年前にソニーのパーソナルフィールドスピーカー PFR-V1 がありましたが、評判は良かったものの残念ながら一世代限りでした。nwm ONE は似たようなコンセプトながら「ヘッドホンをつけっぱなしで長い時間を過ごす」という時代性、Bluetooth によるワイヤレス接続に加えて NTT の独自技術を組み合わせた現代ならではのヘッドホンに仕上がっていると思います。

nwm ONE はオープンエアー型のヘッドホンとして象徴的なデザインをしています。AKG のオープンエアーヘッドホンにちょっと似てますが、ドライバーユニットの周囲がメッシュではなく完全に空洞というのはなかなかのインパクト。

カラーバリエーションはダークグレイとライトグレイの二種で、展示機はライトグレイでしたが色味はほぼオフホワイトといった感じ。

内側はメッシュグリルが印象的。これが構造的にはヘッドホンではなく「耳の至近に配置するスピーカー」であることが分かります。またイヤーパッドも単にこのスピーカーユニットを側頭部に固定するためだけに存在するからシンプルなシリコン製というのが興味深い。
ちなみに耳の近くといってもスピーカーユニットと耳は一定の距離をとる必要があるようで、ハウジングは一般的なヘッドホンに比べると頭の横側にそれなりにはみ出します。たまたま店内でこれ(購入したもの)を使っている人を見かけたのですが、見慣れないとちょっとインパクトがある見た目になります。

なおイヤーパッド自体はスイングせず側頭部に固定させ、スピーカーユニットのほうをスイングさせて最も良く聞こえる位置に調整するようになっています。人の耳って実は個人差がかなり大きくて、ちゃんと鼓膜に音が届いているかがヘッドホンやイヤホンの聞こえ方に影響するからここを調整できるのはけっこう重要そう。

左チャンネルの側面に電源ボタンと音量ボタン。その隣に空いているスリットは再生音の逆位相の音を鳴らすためのユニットで、スピーカーユニットから漏れ出てくる音を逆位相の音で打ち消すことで外部への音漏れを抑える仕組みになっています。一般的にノイズキャンセリングヘッドホンって外部の雑音を逆位相の音で打ち消すことでクリアな音を聴かせてくれるものですが、nwm ONE のノイキャンは音漏れを防ぐために使うという逆転の発想。オープンエアーヘッドホンの外部の音が聞こえることによる安心感や生活のしやすさ、音ヌケや定位の良さといったメリットを活かしつつ、音漏れという最大の欠点を補うことが nwm ONE のコンセプトということですね。

密閉型ヘッドホンと違って開けた空間に対するノイキャンは効果が限定的で、ヘッドホンから 20~30cm の距離まで近づくと「何か音楽が鳴っている」ことが漏れ聞こえます。でも一般的なオープンエアーヘッドホンだと外からほぼ丸聞こえなので、nwm ONE くらいの音漏れならば都心の朝のギュウギュウ詰めの電車でもない限り周囲に迷惑をかけずに使えるレベルではないでしょうか。オープンエアータイプのアクティブノイキャンでここまで音漏れが抑えられているというのはかなりすごい。

e イヤホンにはダークグレイの展示品は見かけなかったのですが、近くのヨドバシには置いてありました。ダークグレイというけどほぼブラックですね。個人的にはライトグレイのほうがオープンエアーらしい軽快感があって好きかな。

もちろん試聴もしてみました。ヨドバシ店内の騒音でまともな試聴ができると思えなかったのでわざわざ e イヤホンまで行ったのでした。
まず驚いたのが軽さ。Bluetooth ワイヤレスだからバッテリーやアンプ、BT モジュール等も内蔵しているはずなのに 185g しかありません。これって私が使っている有線ヘッドホン MDR-M1ST(ケーブル抜きで 215g)よりも軽いんですね。物理的な軽さに加えて開放感の高いつけ心地のおかげで本当に軽く感じます。ずっとかけていても苦にならなさそうなので、音楽再生用だけでなくリモートワーク時のヘッドセットとして使っても良さそう。
音質に関しても、高音のヌケ、ヴォーカルをはじめとする中域の響き、低域のパワー感いずれも良くてどんな音源でも不得手なく鳴らしてくれる印象。まあ Bluetooth コーデックが SBC/AAC/LC3 にしか対応しないので WH-1000XM5 あたりと比べると繊細さが欠ける感覚はありますが、音の開放感はその弱点を補って余りある利点だと思います。ヘッドホンというよりは「首を振っても動き回っても自分の耳についてくるスピーカー」という感じで、音楽と自然に共存する環境が得られそう。私だったら外に持ち出すよりは自宅にいるときにつけっぱなしにして使いたいですね。

ただ課題は ¥39,600 という価格で、購入するにはちょっと気合いが必要になります。でも今リモートワーク時に使ってる BlackShark V2 Pro よりもこの季節に使うなら快適そうなんだよなあ。音質も装着感も及第点と感じただけに、ちょっと悩みます。

コメント

スポンサーリンク