ネタバレを避けたかったから初日の初回で行ってきました。IMAX 上映です。
機動戦士 Gundam GQuuuuuuX -Beginning-
これを語るのにネタバレを避けるのは難しい。ということでここからはネタバレありで行きます。これから観に行く、という方は後日改めて閲覧推奨。観に行くならできるだけ早い方が良いです。
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『水星の魔女』のようなアナザーガンダムと見せかけて、なんと宇宙世紀モノでした。しかも冒頭はあの「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀」のナレーションとあのカットからのオープニング。
実は事前に公式サイト(イタリア)のリーク事故によるネタバレを喰らっていたから「おそらく宇宙世紀モノのパラレルワールドまたは if ストーリーなのは間違いないだろう」とは想像していたのですが、そのまんまファーストガンダムの 1 話冒頭から始まるとは思っていなかったからサンライズのモーションロゴから実映像に切り替わった瞬間に笑ってしまいました。
ただし現代の作画で、モビルスーツや戦艦のデザインは山下いくと氏によるリファイン版。この違和感が「単なるリメイクではないパラレルもの」であることを示唆しています。
そこから繰り広げられたのは、昔からよくネタで語られる「もしガンダム第 1 話でジーンが命令を無視しなかったら ~機動戦士ガンダム 完~」を公式がそのまんま映像化したようなアニメでした(笑。富野由悠季の小説版ガンダムもアニメとは全く異なる展開でしたが、本作はそもそもジーンが暴走しないからアムロの出る幕がない。そして「ジオンが鹵獲したガンダムにシャアが乗ったら」というギレンの野望のようなストーリーに。ガンダムにはサイコミュ搭載の改修が施され、シャア率いるニュータイプ部隊の活躍により一年戦争はジオンの勝利で終結。しかし終戦間際のソロモン戦でガンダムがサイコミュの暴走事故を起こし、ガンダムはシャアとともに行方不明に。
そしてジオンの独立確定から 5 年後、U.C.0085 年のサイド 6――というところでようやく本編に引き継がれます。
これはネタバレは踏みたくなかったなー。映画館で初めて種明かしを見て驚きたかったです。まあある程度予想が付いていても、今まで何十回と観たファーストガンダムが観たことのない展開で進んでいくのはドキドキしましたが。大河原デザインではないモビルスーツが画面狭しと飛び回るのもそれに拍車をかけていました。
パンフ情報によると冒頭の一年戦争編はほぼ庵野さんが脚本を書いたらしいですね。どおりで富野節っぽい台詞回しに違和感がないし、ファーストガンダムの if として細部までよく練られた脚本だったわけだ。個人的にはシャアの CV はがんばっているのは感じてもまだ違和感が拭えなかったけど、もう池田秀一氏にやらせるのも難しいし仕方ありません。さておき、90 分弱の上映時間のうち半分以上を一年戦争編に費やしていたと思いますが、このままもう少し膨らませて『シン・機動戦士ガンダム』として映画化できそうなクオリティーでした。
これまでの「シン」シリーズに出てくるマニアックな引用ネタは、今回は「キケロガ」でしたね。富野メモに登場するジオングのプロトタイプ的な機体の名前をブラウ・ブロに与えるとは。でもそれ以外にマニアでもないと知らないネタはなかったように思うので、今回はやや控えたということでしょうか。
なお本作における一年戦争編は「仮想戦記」という位置づけで書かれているとのこと。要するに史実ではなく後の歴史で書かれた創作、ということですね。現実でも NHK 大河や『SHOGUN』のようなドラマは史実を元にしたフィクションですが、もっと大胆に戦争の結末が違ったら…という発想で書かれたフィクションのことです。サンライズが公式としている宇宙世紀モノには影響を与えずに if ストーリーを生み出す、まったくうまいやり方を思いついたものです。これでガンダム世界には「宇宙世紀シリーズ」と「アナザーガンダム」に加えて「宇宙世紀の仮想戦記」という広げ方もできるようになったわけですから。制作時期から推測すると『THE ORIGIN』が一年戦争編を映像化しないまま終了したのは、GQuuuuuuX で一年戦争を掘り返すアイデアがあったから(そっちの方が新規顧客開拓に繋がりそう)ではないかと思ったりします。
さんざん一年戦争編の話ばかりしてしまいましたが、本編の U.C.0085 編は 30 分強(体感)の尺で主人公マチュがジークアクスと出合い、初めてのクランバトルを経験するまでが描かれます。今春(?)に放送されるテレビシリーズが一年戦争編から入るのかこの U.C.0085 から始まるのかは分かりませんが、おそらくこれが本来の第 1 話に相当するエピソードだと思われます。一年戦争編はかなり安彦タッチで描かれていた人物が 0085 では大胆にタッチが変わって驚きました。が、キャラデザだけを見たときよりも実際に映像として動くとそれほど違和感ないですね。キャラの造形にどことなく往年のタツノコプロっぽい雰囲気があるから、時代背景的にガンダム世界との相性が良いのかもしれません。
0085 編はモビルスーツ戦はスピード感があって良かったし、0079 編から続く謎解きもあるから面白そうではあるけどまだ判断保留。クランバトルはちょっと『水星』の決闘の二番煎じ感あるし、ストーリーが最終的にどちらに向いていくのか次第ですね。一年戦争のあの結末から続く物語なら、きっとニュータイプ論に真正面から取り組んでいく話になりそうではあります。でもそれはそれで『UC』とどう違う結論に導くのかという問題もあります。カラーがやることだから「刻が見える」=他の平行宇宙と繋がる、ということで本作も実は仮想戦記ではなくガンダムマルチバースの一つだった…というオチもあると思っています。
いろいろと書きましたが、とにかく公開初日の夜にこんな長文を書きなぐってしまうくらいに面白かったということです!この続きも楽しみにしています。ムビチケはもう一枚あるから、今日観たものを少しの間脳内で反芻してからもう一度観に行こうと思います。
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