スポンサーリンク

セナ [Netflix]

冬休みを利用して観たかった配信動画を視聴完了しました。

セナ [Netflix]

SENNA

今や伝説となった F1 ドライバー、アイルトン・セナの伝記ドラマです。セナの伝記映像としては 14 年前のドキュメンタリー映画がありましたが、あれは単純に実写映像のアーカイブを再編集したものでした。今回はセナを始め同時代を生きた実在のドライバーやチーム関係者に俳優をあててドラマとして仕立てたものです。だから多少の脚色は入っているでしょうが、少なくとも私が見た限りではかなり正確に史実に即した内容に見えました。

ドラマは各約 1 時間×全 6 話。セナの人生の全てを語るには短いけれど要所を押さえる程度ならばじっくり見せられる尺感です。セナが「ベコ」という幼名で呼ばれカートに初めて乗った日から「アイルトン・ダ・シルバ」名義でフォーミュラ・フォード~F3 を戦っていた時代、それからトールマンで F1 にステップアップしてロータス→マクラーレンで王座に上りつめるまで、そしてウィリアムズに移籍して事故が起きたあの日まで。
レースは F1 初優勝をプロストとバレストル(当時の FIA 会長)に奪われた 1984 年の雨のモナコ、同じく大雨の中で初優勝を掴んだ 1985 年ポルトガル、1988 年で唯一マクラーレン・ホンダが勝てなかったイタリアとセナが大逆転で初戴冠を決めた鈴鹿、プロストとの接触でタイトルを奪われた 1989 年の鈴鹿、そしてセナというドライバーの暗黒面が出た 1990 年の鈴鹿、母国初優勝を果たした 1991 年ブラジル、セナの最後のレースとなった 1994 年のイモラ…重要なところはきっちり、しかもレース映画として迫力たっぷりに見せてくれます。
またそれと同時にレースに対して貪欲なセナという人間が、チームメイトやスタッフ、ライバル、妻リリアン(後に離婚)や恋人シューシャとどう向き合ったかという側面についてもしっかり描かれます。妻や恋人よりも自分のレースを優先する生粋のドライバーだったこと、そしてただ勝てば良いというのではなく常に自分のドライビングの限界を追求したスタイルがストイックなまでに描かれ、改めてこういうのを見せられると「もうちょっと周りの人々を大事にしようよ」と思うけど、でもそういう人種こそが真のレーシングドライバーとして成功するんだよなあ。

映像面ではやはり当時の F1 マシンの再現度とレースのスピード感や緊迫感の表現が抜きん出ています。F1 マシンについては実走可能な F1 カーのレプリカを 22 台も用意したとのことで、それ自体に感心してしまうわけですがクルマの再現度も目を見張るものがあります。同じマクラーレンでも年式ごとに異なるディテールがちゃんと表現されているし、現代ではお目にかかることも少ないタバコロゴ(Marlbolo、Rothmans、CAMEL、John Player Special、MILD SEVEN 等)まで誤魔化さずに入れてくれたのが何より素晴らしい。唯一、マクラーレンのノーズにあったはずの週刊少年ジャンプのロゴが省略されていることを私は見逃しませんでしたが(笑。
またキャスト面でも見た目や髪型などを実在の人物にかなり寄せているのも良かった。中でもセナとの関わりが強いプロスト、ニキ・ラウダ、ロン・デニス、フランク・ウィリアムズ、バレストル FIA 会長といったキーパーソンの寄せ具合には感心させられました。肝心のセナ本人はやや線の細さが足りないし笑顔も溌剌としすぎていてちょっと違うなと思いましたが、ふとした瞬間に見せる表情がセナ本人に見えてドキッとすることもしばしば。そういう意味では良いキャスティングだったのだと思います。

個人的には、ホンダとの関わりに関するエピソードが薄め(特に第二期撤退のくだりは描いてほしかった)だったり伝説の 1992 年モナコ GP が触れられずじまいだったり、見たかった話がいくつか飛ばされていたのは残念でした。でも『音速の彼方に』も同じような構成だったからセナの人生を振り返る観点では省かれがちということなのかもしれません。

とはいえ正直なところここまで考証を含めちゃんとしたドラマに仕立ててくれるとは思っていなかったので、期待以上に良いドラマでした。セナファンならば一ヶ月限定で Netflix に課金する価値がある作品だと思います。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました