発売を待ちながらも動向が怪しくて最近状況を注視している Anker 336 Charger の件。春に発表された新製品リストを改めて見たところ、いつの間にか記載内容が変わっていることに気づきました。
336 Charger が「販路限定品」という扱いになり、オンライン販売モデルとして先日登場した「Anker Charger」が掲載されました。Anker Japan 公式 X(旧 Twitter)によると 336 Charger は量販店および Anker 公式サイトで販売されるとのことで、Amazon では Anker Charger の方が販売される模様。
Anker はこれまでも実質的な同等品を微妙な仕様や外装違いでオンラインと家電量販店で売り分けているケースがあるため、これ自体に違和感はありません。でも 336 Charger が発売中止ではなく販路限定になること、およびバタバタっと別モデルが用意されて Web サイトがサイレント修正されたことを考えると、336 Charger の生産に必要な部材が供給不足に陥ってたくさん作れない=数の出る販路では売れなくなったということではないでしょうか。Amazon に比べると家電量販店や Anker ストアでの販売数はたかが知れているはずです。最近また半導体不足のニュースを目にする機会が増えたので、Anker にも影響が出ていても不思議はありません。
私は Anker には良い製品が多いと思っていますが、一度発表した商品への変更にはもうちょっと責任をもってほしい…このダイナミズムが良くも悪くも中国・深セン系のメーカーだなあと思ってしまうところです。
…と思っていたら、今日になってまた別の新製品が発表されました。
Anker、コンパクトなのに100W出力が可能な3ポート充電器など – PC Watch
この中で「Prime Wall Charger (67W, 3-port, GaN)」というのが 67W の 3 ポートチャージャーということで、336 Charger や Anker Charger とほぼ同じ仕様。キューブ型でコンパクトだし、デザインラインや「GaNPrime」のロゴが入っていることを考えると、この新型が 735 Charger の実質的な後継モデルだと思われます。よーく見ると Prime Wall Charger と 735 Charger は PowerIQ 4.0 対応なのに 336 Charger と Anker Charger は PowerIQ 3.0 止まりだし、後者二つは Anker の中では下位機種と位置づけられているのが判ります。USB PD 規格が普及した今、Anker 独自の PowerIQ 規格のバージョン差にどれだけ意味があるかは分かりませんが…。
結果的に今および近いうちに買える 65~67W 3 ポートチャージャーが 4 機種になったので、改めてスペックを比べてみました。
モデル | キューブ型 | スティック型 | ||
---|---|---|---|---|
Prime Wall Charger (67W, 3-port, GaN) | Anker 336 Charger | Anker 735 Charger | Anker Charger (67W, 3-Port) | |
ポート | USB-C×2 USB-A×1 | USB-C×2 USB-A×1 | USB-C×2 USB-A×1 | USB-C×2 USB-A×1 |
合計出力 | 67W | 67W | 65W | 67W |
PowerIQ | 4.0 | 3.0 | 4.0 | 3.0 |
外形寸法 | 39×40×50mm | 39×45×54mm | 29×38×66mm | 32×43×72mm |
78,000mm3 | 94,770mm3 | 72,732mm3 | 99,072mm3 | |
重量 | 144g | 132g | 132g | 145g |
価格 | ¥8,490 | ¥5,690 | ¥7,990 | ¥5,690 |
こうして見ると Prime と 735 Charger が一回りコンパクト、336 と Anker Charger は少し大きい代わりに安い、となっていることがよく分かります。でも重さはどれも大差なし。形状の好みと予算に応じてというところですが、在庫限りっぽい 735 Charger に Amazon で 1,200 円引クーポンがついて実売 ¥6,790(さらにポイント還元あり)というバランスが際立って見えますね。
それにしても似たような製品が乱立してこちらが混乱してしまいます。でも Anker は 67W に限らず 20~30W クラスのチャージャーでも短期間に似たような製品を乱発しているんですよね。製品ロードマップの存在を感じないレベルでどんどん出てくる。今回の 67W チャージャーで上位/下位がハッキリ判るような製品を同時期に出してきたことから推測するに、現在の Anker には付加価値モデルを開発するチームと廉価モデルを開発するチームが存在し、それぞれが別々の EMS(製造受託企業)に発注しているのではないでしょうか。それがお互いに調整せずに新製品を作っていくから社内競合のようなことが起きる。ラインアップの整合性よりもどんどん新製品を投入して成長することを良しとするのは中国メーカーによくあるスタンスです。それ自体が悪いとは言いませんが、そのうちどこかで事故りそうな気がします。
春先に 336 Charger が発表された時点では出たらすぐに買う気満々だったのですが、なんかここまでの経緯を見ているうちに冷めてきてしまいました。私自身は今すぐに 67W 級のチャージャーを必要としているわけでもないし、しばらく様子を見ることにしよう…。
コメント
[…] ます。bさんが分かりやすくまとめてくださっているので、そちらをみると一目瞭然。 […]