「ここはまるで、俺の胃袋の実家だ」
ドラマ『孤独のグルメ Season7』、昨夜放送されたばかりの経堂の聖地に早くも行ってきました。小さいお店で、放送されたらかなり混むことが予想されたので、今回は放送前に訪問。
今回は川崎の一人焼肉、両国の一人ちゃんこ、西巣鴨の一人すき焼きに続く「一人バイキング」回。私は聖地巡礼には誰かを誘って行くことも少なくありませんが、サブタイトルに「一人○○」と入れられたら、一人で行くしかないじゃないですか(;´Д`)。というわけで、今回はあえての一人巡礼。
それにしてもこのあたり、思いっきり世田谷の住宅街。とてもお店がありそうには思えない閑静な街並みに溶け込むように、お店が存在していました。
え、これ、店?
普通の一軒家じゃないのか。
ママチャリが何台も駐まっていて、普通の民家でママ友のお茶会でも開かれている、そんな雰囲気。
でも、塀の中を覗き込むと、
かなり控えめに、看板。
これは知ってる人じゃないと気づかないんじゃないかな~。
一軒家で、バイキング一択の、マッシーナ メッシーナ。
謎すぎる。でも俺の空腹な好奇心が、入っちまえと言っている。
おおお、なんだこの人ん家感は。
いきなり友達の実家に呼ばれた気分。
玄関扉を開けると、中から優しそうな黒人のマスターが出てきました。ドラマには登場しませんでしたが、ギニア人の「マッシーナ」さん。
「今ちょうど料理がだいたいなくなっちゃったところで、次できるまでちょっと時間がかかりますけど、いいですか?」とのこと。
大丈夫ですよと告げて、まるで親戚か友達の家にでも上がり込むように、中に通されます。
うわあ…この家具や調度品の実家感。
座敷席では、まさにママ友会っぽい集まりが催されていました。
きっとここ、昔から世田谷の主婦たちの憩いの場だったんだろうな。
テーブル席側はこんな感じ。
初めて来たはずなのに、この懐かしさはどこから思い出されるんだろう?
まだじいちゃんばあちゃんが健在だった頃の実家って、こんな茶色の家具で満たされてたよなあ。
バイキングの料理はこんな感じで並んでいました。
あそこにあるのを選んで取るわけだな。
どれ…と思ったけど、確かに言われたとおり主菜っぽい皿は軒並み空っぽ。
厨房ではおかみさんが忙しそうに、次々に料理を作っています。
ま、バイキングは浮き足立ったら崩壊する。ここは慌てず出来上がりを待とうじゃないか。
まずは落ち着いて控えめに、残っている料理を集めていくとしよう。
というわけで、バイキング第一弾。
メインどころの料理がなかったからおばんざい盛り合わせみたいになっちゃったけど、チョイスも盛り付けもイイ感じにできた。
我ながらなかなかの好采配なんじゃないの?
上から時計回りに、枝豆豆腐、ブロッコリーサラダ(カニカマ入りなのが嬉しい)、焼き鯖、きんぴらごぼう、白菜の浅漬け、玉子焼き、豚しゃぶ、そして中央がキュウリとトマトの塩麹和え。
バイキングって欲張ってたくさん取っちゃいがちだけど、あえて少量ずつにしていろいろ楽しむ。これが真のバイキンガーの嗜みですよ。
ほんのり枝豆が香る豆腐にわさび塩、それに素朴な甘い味付けの玉子焼き。ごはんのお供としては焼き鯖や豚しゃぶも王道のおいしさ。
そして個人的にはこのきんぴらに驚いた。このちょいカレー味が新たな食欲を引きずり出す。
決して派手な料理ではないけれど、どのおかずも手間をかけているのが分かる。
一つ一つに心を込めているのが、よく分かる。
ようし、ギニアいってみよう。
この雑穀米にかかっているのがギニアの家庭料理「マフェ」。
中に入っていた手羽元は、柔らかすぎて早くも鍋の中で骨から外れかかっていたほど。
しっかり辛くてカレーっぽいけど、カレーじゃない。
いろんな野菜をじっくり煮込んだ奥行きのある味わい。
これは特筆すべき家庭料理だ。
お味噌汁も…おっと、しっかりいりこだし。
何気なく掬ってみたらお椀に煮干しが入っていて驚きました。
まさに昔ながらの家庭の味。こんな味噌汁、久しぶりに飲んだ気がする。
一巡目を食べている間に、追加の料理のほうが出来上がってきました。
そう、バイキングは運じゃない。諦めずに自ら道を切り開く強い心が大事なんだ。
でも、出来上がってくるたびにお客さんがわっと集まって料理を取っていくから、冷める暇がない感じ。
そして料理を取りに行くたびに厨房のおかみさんと目が合って「お待たせしてごめんなさいね」「もうちょっとでできますから、待っててくださいね」とにこやかに声をかけていただく。
ああ、この店の暖かさや包容感は、このおかみさんの人柄から来ているんだなあ。
そんなわけで、バイキング第二弾。
今度は冷やし中華サラダ、タラモサラダ、マカロニグラタン、それにゴローちゃんが食べ損ねたドリア。
ドリアはもう見るからに美味しそうで小皿の容量だと食べ足りないだろうと思えたので、別皿にもしっかり盛ってみました。
さらに、マフェライスは実はこれが三杯目(笑)完全に気に入ってしまった。
今回もどれも美味しいけど、中でも特にタラモサラダは大当たりおかずだ。
こんなオーソドックスなおかずなのに、今まで食べたどんなタラモサラダよりもおいしい。中に入ってる海苔の風味が効いてるんだろうけど、それだけじゃない深みがある。
ドリアは雑穀米とカレーベースの上にたっぷりチーズがかかっていて、想像通りのうまさ。
マフェライスといいどちらもおいしくて、炭水化物を採りすぎてしまう。
でも雑穀米ならばその罪悪感も半分でいいはず(ぉ
そういえば、劇中のゴローちゃん同様にアスパラの塩焼きの最後の一本を取ってきたわけですが、あまりの長さにこのお皿に載りきらず、私としたことがつい写真を撮り忘れてそのまま食べてしまいました(汗
ああ、おいしかった。予想通り、バイキングは 100% 食べ過ぎちまうな。
おかみさんの長年の手料理に加えて旦那さんのギニアの味、珍しくも暖かい和洋幾折衷料理だった。
外食したというより、やっぱり親戚か友達の家に招かれてお腹いっぱい振る舞ってもらった、そんな感覚。
経堂の住宅街の中の一軒家バイキング、いいものを知った。
うまい家庭の味が恋しくなったら、この家に帰ってこよう。
ごちそうさまでした。
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