先日、池袋で無性に海老フライが食べたくなり、おいしそうな店を探して行ってみました。
西口を出てすぐの飲食店がひしめいているあたりにある昔ながらの洋食レストラン。お昼前に着いたにも関わらず行列ができていました。かなりの人気店じゃないですか。
実はここ、初めて行ったところすごく気に入ったからあと 2~3 回行っていろいろ食べてみてからエントリーしよう…と思っていたのですが再訪のタイミングを見計らっているうちに先週の土曜日(7 月 27 日)に唐突に閉店してしまったようです。絶対また食べに行こうと思っていたからすごく残念だけど、このおいしさの思い出を記録するためにエントリーしておきます。
このホワイトボードの文字!
そうそう、昭和の洋食屋ってこんな感じだったよなあ。1980 年代を強く感じます。
ガラスケース内の食品サンプルもめちゃくちゃおいしそう。
海老フライへの強い想いを抱いてここまで来たけど、ポークカツレツもビーフシチューもペッパーステーキもおいしそうすぎて死ねる。行列に並んでる人がみんなこのショーケースを見ながら「何食べる?」と話し合ってる声が聞こえてくると、こちらまで空腹が加速していきます。
店内もレトロ感たっぷり。テーブル席はなくカウンターのみで、コの字カウンターの中でシェフというより「コックさん」と言いたくなる店員さんが調理しているのを眺めるのが楽しい。
客層は大学生くらいの人からお年寄りまでかなり幅広く、長い歴史の中でたくさんのお客さんに愛されてきた店であることがよく分かります。
改めてメニュー。さっきのショーケースを想像しながらこの文字列を読むと、サンプルがなかったものまで含めてどれもおいしそうに思えて迷ってしまう。
フライ系もいいけどハンバーグやステーキ、ポークソテーとかも良さそう。でもきっとナポリタンやグラタンも絶品なんだろうなあ。そしてこういう店ならカレーも絶対おいしいに違いない。
しかしここは初志貫徹で海老フライ。でも海老フライだけだと味がちょっと単調になるか?と思ったので海老と鯛のミックスフライを注文しました。
ライスが思ってたよりも大盛りだったのがちょっと嬉しい。レモンに絞り器が添えられていたり、野菜の横にあるたっぷりめのタルタルソースもありがたい。
平皿の上にそびえ立つ二本の海老フライタワー!これは食べ応えありそう。
「海老で鯛を釣る」という諺があるけれど、海老だってごちそうなんだからどっちも食べたいじゃないですか。海老と鯛のミックスフライ、まさに海老と鯛の両釣り。これが本当の幸せというやつです。
サクサクの衣の中から現れる、大海老のえもいわれぬうまさ。今日食べたかったのはまさにこの味!望み通りの味に出合えると嬉しくなります。
ちなみに海老フライを食べると私は必ず中学の国語の教科書(光村図書)に載っていた小説『盆土産』を思い出します。あれを読んで以来、海老フライを食べるときには脳内に「しゃおっ」という音が流れる。この店の海老フライは、あの小説を初めて読んだときに想像した味や食感そのまま、という感じがする。そういう懐かしさとか、自分の根源のところに訴えかけてくる味。
鯛のフライもいい。カラッとあげられた衣の中にある鯛の身はしっとりかつふっくらしておいしい。これ一切れと言わずもっと食べたくなりますね。
いやー、おいしかった。海老フライ食べてここまでの満足感に浸れたのは久しぶり。
でもあれもこれも食べたいし、次はいつ行こうか、行ったら何を食べようか…と妄想しているうちに閉店してしまうとは思いませんでした。どうやら特に予告もなく、普通に営業していたのに翌日には閉店の貼り紙が出されていたようですね。1968 年創業ということでかれこれ 55 年あまり、マスターやおかみさんもけっこうご高齢のようだったし無理もありません。閉店するからといって最後に混んでしまうんじゃなくて、最後までいつも通りにお客さんに食べに来てほしい…という配慮だとすればそれはそれで尊重したいです。
あれもこれも食べたかったからもうそれが叶わないというのは寂しい限り。でもあの海老フライの味はずっと心にしまっておこうと思います。そして、ここと同じようにおいしい洋食を食べさせてくれるレストランをこれから探してみよう。
ごちそうさまでした。
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