「俺の胃袋が欲しているのは、胃袋がドギマギするようなパンチのあるメニューだ」
旗の台の「スペイン食堂 石井」に久しぶりにやって来ました。6 月頃から東急や西武などの百貨店の催事に出店し始めたのに一度買いに行ってみたら、おいしかったけどやっぱりお店で作りたてを食べたくなったので改めての再訪。『孤独のグルメ』登場店は何度となく行きたくなる店が多いですが、ここはその中でも特にリピートしたくなるお店の一つです。
今回は初めてカウンター席に通されました。テーブル席も落ち着けて良いけど、一度マスターの仕事ぶりを眺めながら食べてみたいと思っていたから逆に嬉しい。
カウンター上には無数のスペインワインが並べられています。スペインワイン好きとしてはいろいろ飲んでみたくなりますね。
それでもこう蒸し暑いと一杯目は生ビールから始めざるを得ません。
一日分の汗を取り戻すかのように胃に染み込んでいくビール。やっぱり夏はキンキンに冷えた生ビールだね!
つい先日 Twitter で「生ハム原木が家にあると~」のテンプレが話題となったセラーノハム(生ハム)。
薄切りなんてみみっちいこと言わずにかぶりつきたい気もしますが、よーく見ると蹄が付いているあたり生々しくて躊躇します(汗。でもせっかくだからこれ食べたいじゃないですか。
そんなわけで、ビールのつまみ的に前菜の盛り合わせからオーダーしていきます。
例のセラーノハムににんじんサラダ、スペイン風オムレツ等のオードブル。どれもお酒によく合う前菜で、これが一度に味わえる幸せ。独りで来ていたらこの一皿とワインで満足してしまいそうな勢い。
こりゃあたまらん、ということで白ワインに切り替えていきます。
この前菜ならビールはもちろんのこと、よく冷えた辛口白ワインとも相性抜群。
この一瞬なんだか判らなかった一皿は、タコとじゃがいものサラダ。
濃いめのポテサラにプリッとしたタコがたくさん入っていて、アリオリソースのパンチのある味がおいしい!これは初めて食べたけど、ちょっと癖になる味。
そしてこの店に来たら絶対に外せないのが長谷川さんこだわりのマッシュルームの鉄板焼き。
うまみはマッシュルームとハム、味付けはたぶんオリーブオイルとビネガーとニンニクというシンプルなものだと思うけど、この濃厚なうまさ。キノコ料理は極力避ける私だけど、これだけは別枠と断言できます。本当においしい。
この流れでアヒージョ的なものがもっと欲しくなってしまったので、生ホワイトアスパラのアヒージョ。
グリーンアスパラと違ってホワイトアスパラって食べ応えがないイメージだったけど、こう料理するとグリーンアスパラではありえないほどにうまみを湛えてこんなにおいしくなっちゃうのか!という驚き。
子羊のロースト パプリカソース。
くさみがほとんどなく、程良い弾力を感じるラム肉に絶妙な味付けと焼き加減。この「肉食ってる感じ」がイイ。
俺はスペインの闘牛士だったつもりが、気付けばすっかり子羊に懐柔されている。
こういう肉料理が出てきたならワインは赤でないと。
私はスペインワインのお高くとまってないけど香りも味もしっかりしてる感じがとても好き。
さらに肉を重ねていくスタイルで、牛ハラミステーキ。
「いかにも肉って肉」の代名詞たるハラミに、バルサミコソースの刺激がたまらない。改めて俺は今、スペインの闘牛s(ry
ここに来たら食べずには帰れない料理の一つがパエリアでしょう。
いつもはイカスミや魚介系のパエリアばかり頼んでしまうところ、今回は本格バレンシアパエリア ウサギ肉入りをいただいてみました。
ウサギの肉って、ダシっぽいうまみ感やプリッとした弾力感がどことなくチキンっぽい。そういえばウサギを「羽」という単位で数えるのは仏教で獣肉を食べることを禁じられていた時代にウサギを鳥ということにして食べたことに由来する…という話を聞いたことがありますが、ちょっと納得してしまうような味。
このライス部分がスープをじっくり吸っているんだけどちょっと芯が残っている食感もまたいい。
デザートその 1、ポルボロン。その名の通り、ぽろぽろ崩れてくるような食感のちょっとした甘味。
素朴な味わいが、その名の通り町の食堂っぽいこの店の身近さに通ずるものを感じさせます。
デザートその 2、クレマカタラーナ。カタルーニャ(スペイン)風クレームブリュレといったところでしょうか。
表面がパリパリになるくらい焼き目をつけられた濃厚なプリン。これもまたおいしく、濃密だったこの時間を総括するようなおいしさ。
あぁ、今回も堪能しました。
それにカウンター越しだったせいか、今までよりもマスターと近い距離感でお話を伺えたのも嬉しかった。あの撮影と放送の後この店がどうだったのか、いろいろ聞かせていただきました。放送直後は混雑して体力的にキツい時期もあったけど、今はせっかく露出する機会も増えたんだからこれをチャンスと思って新しいことにも挑戦しているとのこと。催事への出店もその一環だそうです。
相変わらず腰が低くて真面目なマスターのこの前向きな姿勢に、自分ももっと頑張らないとな…と思わされました。
改めてごちそうさまでした。
機会を見つけてまたちょくちょく来ようと思います。今度はフラッと前を通りかかったときにカウンターが空いていたら、独りで飛びこんでみるのもいいかな。
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