銀座ソニービルにて先行展示中のα77 を見に行ってきました。
展示されていたのはα77、α65 ともに各 3~4 台ずつといったところ。展示コーナーはけっこう混み合っていましたが、少し待てば触れるといった程度でした。開発発表があってからもう 1 年半も待たされたので、早く実機が見たくてうずうずしていたのは私だけじゃなかったのね(笑。
去年出たα55/33 は非常にコンパクトなボディでしたが、α77 も中級機としてはかなりコンパクトで、高機能がギュッと凝縮されている雰囲気が漂っています。パッと見の印象では、中級機というよりも EOS Kiss クラスのボディにも見えます。やはりトランスルーセントミラー採用によりペンタプリズムを廃し、ミラーを固定式にしていることの寄与が大きいのでしょう。
縦位置グリップつきのボディも 1 点だけ展示されていました。ボディが小さいせいか、縦位置グリップのサイズが相対的に大きく、妙に嵩上げされて見えます。私は(特にαでは)縦位置グリップをほぼ常用しているので、この状態で使うことになるわけですね。
グリップ周辺。α700 との違いとしては、電源スイッチがシャッターボタンの周囲にリング上に配置されるようになったことと、アイスタート AF 用のグリップセンサが廃されたこと(アイスタート AF 自体は引き続き搭載)以外は、基本的にα700 を踏襲しています。
また、グリップの量感については、α700 よりも少し小ぶりになった印象で、手が小さくα700 のグリップでも少し持て余す感のあった私にとっては、このくらいのほうが握りやすいですね。中指の当たる部分が抉り込まれたグリップ形状も踏襲していて、非常にしっくりくる握り心地になっています。
ボディの右肩にはモノクロのサブ液晶モニタがつきました。今までのソニーαでは、α900 を除きサブ液晶なしが通常で、α700 でさえも本体の小型化優先を理由に省略されていた部分でしたが、やっぱり中級機ならついてないと。
背面のレイアウトもα700 のそれを踏襲しています。前面/背面のツインダイヤルと、背面のマルチセレクタの使い勝手はやはり良好で、ある意味これが中級機を使う大きな理由の一つと言っても良い。
このほか、液晶のバリアングル化に伴い、従来は液晶脇にあったメニューや再生系のボタンが散らされましたが、撮影時に使う操作系の配置が変わっていないので、α700 から違和感なく移行できそうです。唯一、測光モードの切り換えスイッチが物理的になくなってしまいましたが、変更の頻度を考慮するとやむなしといったところでしょうか。
メモリーカードは SD/MS Duo のコンボスロット。CF カードスロットを搭載するとボディサイズが大きくならざるを得ないので、SD カード対応は自然な流れです。が、α700 の CF/MS Duo デュアルスロットではなく単なるコンボスロットなので、メモリーカードが 1 枚しか挿せないのがちょっと残念。
α700 のデュアルスロットでは、メインは CF でも常に予備としてメモステを挿しておくことで「うっかりメモリーカードを忘れてきてカメラがただのダンベルになってしまった」というポカ(EOS では何度かやったことある(´д`))を避けられていたので、これは継続してほしかった。まあ SD カードなら小さいし安いので、常にカメラバッグに何枚か備えておくくらいで良いのかもしれませんが。
で、α77 の最大の特徴のひとつでもある、バリアングルモニタ。春の CP+ ではなんか変わった形状のヒンジがついているけどこれどうやって動くんだ!?というギミックの謎がようやく解けました。
3 軸ヒンジになっていて、こんな感じで動かせます。
通常、バリアングル液晶というと 2 軸ヒンジが一般的で、従来はキヤノンやニコンのように横に開いてから上下にチルトするタイプ、α55 のように下に開いてから左右にチルトするタイプ、NEX のように上下チルトのみのタイプ、くらいしか存在しませんでした。それに対してこの 3 軸ヒンジはまず NEX のように屏風状に開いて上下チルト、さらに液晶下端のヒンジで左右にもチルトという構造を採っています。
なので、このように通常ならあり得ない角度にでもチルトができるという。ここまで自由度を持たせつつ、しかも強度や動きの軽さを兼ね備えようとすると、かなりコストを掛けて試作を重ねたはず。
従来ならライブビューでのスチル撮影はあくまでオマケ程度の機能でしたが、トランスルーセントミラーならばライブビューでも高速な AF が得られるので、積極的にライブビューを使う=撮影の幅が広がりそうです。α77 の最大のセールスポイントは XGA OLED ファインダですが、それに甘えずバリアングルモニタにも注力してきたという手を抜いていなさは、賞賛に値すると思います。
ついでに縦位置グリップのほうも見ておきましょう。αの縦位置グリップは伝統的に「使いやすい」という評価を得ていますが、それはやはりボディ側のグリップと変わらない操作性が得られることに尽きるでしょう。マルチセレクタや前面/背面ダイヤルをはじめとして、撮影に使う操作系が全てグリップ側にも装備されており、縦位置でも全く違和感なく使うことができます。
もちろんグリップ形状やシャッターボタンの感触もボディ側と同等。EOS だとグリップは角材を握っているようで持ちにくいし、ボタン類もほとんどないので撮影設定を一通り済ませてからでないと縦持ちするわけにいかないのですが(まあ、EOS の場合は名称からして「縦位置グリップ」ではなくあくまで「バッテリグリップ」という位置づけですが)、それに比べるとこの縦位置グリップのつくりは秀逸ですね。
αの縦位置グリップは他社のものに比べると高価なことが多いですが、構造からして全然違うので、高くても仕方ないといったところでしょうか。縦位置撮影が多い私としては、むしろ他社にも高くて良いから使いやすい縦位置グリップを作ってほしいところ。
α77 の展示機に装着されていたのは全て新型の DT 16-50mm F2.8 SSM でした。F2.8 通しなだけあって前玉が大きく、鏡筒がぶっとくて迫力がありますが、α77 ボディとのバランスを考えても、常用レンズとしてはちょっと重いかなという感想。部分的に金属製の筐体を採用していて、私が使っている Vario-Sonnar DT 16-80mm よりも高級感があるのが悔しいところです。
スペック的にもデザイン的にも G レンズの部類に入りそうなものですが、DT レンズには「G」がつかないルールのようなものがあるんですかね。
α77 と一緒にα65 も展示されていました。α77 の注目度が高すぎて、α65 のほうはけっこう展示機が余っているというかわいそうな状況でしたが、α65 だってイメージセンサと有機 EL ファインダはα77 と共通なんですから、馬鹿にできません。
でもα65 は筐体の基本構造はα77 と共通で、スペックダウンされたα55/33 のような関係性かと思っていたら、ボディそのものがα77 と別物なんですね。前から見るとα77 によく似ていますが、どちらかというとα55 に近い構造のボディにα77 の基幹パーツを組み込んだようなモデルになっています。
なので、背面にはマルチセレクタや背面ダイヤルがなかったり、3 軸バリアングル液晶がなかったり、ボタン配置にしてもα55 とほぼ共通の構造になっています。個人的にはマルチセレクタや背面ダイヤルといった操作系が撮りやすさに直結していると思っているので、私がα65 を買うことはないでしょうが、操作系を除いたカメラの中身はα77 そのものといっても良いほど高性能なものなので、カメラ性能は高い方がいいけど複雑な操作はイヤ、という人にはα55 よりもα65 のほうがオススメですね(そのぶん価格帯も違いますが)。
ちょっとここまで外観の話に終始してしまったので中身の話をすると、有機 EL な EVF はα55 の液晶 EVF とは決定的にレベルが違うと感じました。光学ファインダではないのでどうしても「デジタルくさい映像」にはなってしまいますが、α55 で感じた MF がつらいドットの粗さや色割れに代表される追従性の悪さ、あと色味の薄さが解消されて、これならそろそろ OVF にこだわらなくても良いかな、と思えるレベルに達したのではないでしょうか。何と言っても視野率 100%、倍率 109% というスペックはそこらの OVF の見え味を軽く超えています。
OVF は倍率や視野率にこだわるとどうしても大きく重く、コスト高になってしまうものですし、少なくとももうペンタミラー機よりは OLED EVF のほうがファインダとしては高性能だと思います。今回、α77 だけでなく普及価格帯のα65 や NEX(NEX-7 の内蔵と 5N のオプション)にも同じファインダを搭載してきたのは、できるだけ量産してコストを下げ、早いうちにエントリー機にも搭載していきたいという意気込みの表れじゃないですかね。
ショールームでの展示だったので静物しか撮れていませんが、その限りでは AF や連写についてもすこぶる高速でしたし、これはもしかしたらα77 を買ったら EOS 7D の出番が減ってしまうかも、と感じてしまいました。これはもう APS-C はαに任せて、EOS のほうは今後フルサイズに乗り換えることも検討するかなあ・・・。
ということで、このカメラは間違いなく買うと思います。発売日に買うほど金銭的な余裕はないんですが、冬のボーナスでは買いたい。
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