CP+ のレポート、最後はその他もろもろ私が気になったものについて。
コンデジで唯一実機に触りたかったのはやっぱり PowerShot N。直販限定なので、この機会を逃すとショールームくらいでしか触れませんからね。
これだけ変なカメラが出てくるのは久しぶり、近い種類という意味ではカシオの EX-TR100 以来じゃないでしょうか。注目度も高く、常に人だかりができていました。
まず「電源ボタンはどこ?」と一瞬迷ったんですが、操作系は全て側面にまとめられています。これは 90° チルトの機構上の制約と同時に、ハイアングル撮影時にはカメラの天地を逆転させて撮るという撮影スタイル上の制約で、他のコンパクトデジカメでは一般的な本体天面にボタンを配置するわけにはいかなかった、ということなのでしょう。
反対側には撮影モードボタン、スマホ接続ボタン、再生ボタン。
Wi-Fi は基本的には画像転送(スマホ/タブレット、PC、他のキヤノン製 Wi-Fi 対応カメラ、プリンタ、CANON iMAGE GATEWAY)と Facebook/Twitter 投稿程度。今までのコンデジとは違うスタイリングのカメラだけに、スマホからの操作とかもっと踏み込んだ提案をしてくるかと思ったら、IXY の Wi-Fi モデルと同程度のことしかできない、というのはちょっと物足りないですね。
注目はレンズリング付近で、ボディ側(三本のローレットが刻まれているほう)がズームリング、先端側(丸が三つ打たれているほう)がシャッターリングになっています。ズームリングはともかくとして、上下どちら向きにでも押せる(かといって縦位置で持ったときにも対応できるよう横に押せるわけではない)シャッターリングは、発想としては面白いですが、結局手ブレ防止にはならず、ちょっと微妙。タッチシャッターもついているので、このカメラのスタイル的にはむしろタッチシャッターのほうが似合っているように思います。
そんなわけで、ほとんどの操作はタッチ UI で行うことになります。といっても画面タッチでシャッターが切れること、画面隅の「FUNC.」「MENU」のタップでメニューが呼び出せることくらいで、複雑な操作は特にありません。設定画面の項目数もそれほど多くなく、カメラとしてかなりシンプルな作りになっています。が、かなり素っ気ないこの UI をいきなり与えられたら、ちょっと茫然としてしまうかも。まあ「画面をタッチしたらシャッターが切れるもの」というコンパクトカメラのシンプルな前提に立てば、これはこれでいいのかもしれません。
それからこのカメラの機能的なハイライトの一つ「クリエイティブショット」。これは一度シャッターを押すだけで、オリジナル画像以外に色合い・明るさと構図を変えた 5 枚の画像をカメラが自動的に切り出してくれるというもので、クマデジさん曰く「NEX のお節介機能の行きすぎた版」(ぉ。スマホで Instagram や cameran といったエフェクト系カメラアプリが流行っているのを引き合いに出すまでもなく、ストレートに撮った写真ばかりが写真じゃない、というのは現代の写真の楽しみ方の一つ。それはそれで認めるけど、果たしてここまでまとめてやってくれることが良いのかどうか。逆に、ここまで自動化してやらないと誰もが当たり前に使う機能にならないということか。個人的には、スマホ向けエフェクト系カメラアプリの流行を見る限り、「ユーザーに自分で効果を選ばせる」ことはそれほどハードルにならないような気はしているんですけどねえ。ともあれ、直販限定という時点でキヤノン的にもテストマーケティングなんだろうし、このカメラが今後どういう動向を見せるのかは要チェックだと思います。
会場の隅っこにひっそりと存在した「プロ向け動画エリア」。一眼ムービーの流行でもっと盛り上がっているかと思ったら、けっこう閑散としているものですね…。
そんなエリアにこれまたひっそりと展示されていたあれは…!
METABONES の Speed Booster じゃないですか!業務用カムコーダ NEX-FS700J に EF50mm F1.2L USM のセットで展示されていました。このコーナー自体あまりやる気が感じられず、説明員もついているんだかいないんだかよく分からない状態で、せっかくのマウントアダプタもファインダを通して画角を確認するくらいしかできなかったのがものすごく残念です(´д`)。
EF-E マウントアダプタは電子制御対応でもコントラスト AF はお世辞にも速いとは言えないので、スチル用途としては EOS を持っている限りわざわざアダプタを噛ましてまで NEX で使う意味はないよなあ、と思っていました。が、MF 主体(AF でもスチルほど速くなくて良い)なムービー用途となれば話は別。EOS も 5D や 1D 系の動画性能は高いですが、専用のカムコーダで EF レンズがほぼオリジナル画角で使える、というのは意義があると思います。
マウントアダプタといえば、ミラーレス用マウントアダプタの先駆者である KIPON ブースでは、マウントアダプタよりもむしろ新開発のレンズが目立っていました。
【CP+】KIPON、ミラーレス用大口径レンズ「40mm F0.85」を展示
ドイツの光学メーカー IB/E OPTICS との共同開発による「IBELUX 40mm F0.85」というレンズ。F0.85 ってこれまたすごくないですか。まあ、ミラーレスカメラにつけるにはちょっと大きすぎて、ちょっと常用できるレンズにはならなさそうですが、写りを見てみたいレンズではあります。海外ではミラーレス系のマウントアダプタはスチルよりもむしろミラーレスマウントを採用したカムコーダ(ソニーやパナから発売されている)で多様なレンズを使えるためプロの映像制作者たちに支持されているとのことなので、このレンズもそういう用途であればボディとのバランスも良いでしょうし、そちらがメインの市場なのではないかと思います。METABONES の Speed Booster のほうも噂によるとまだ日本に数本しか入ってきていないとのことですが、国内での初お目見えがプロ向け動画エリアだったというのも、そういう経緯なんでしょう。
続いては CP+ の会場内に併設された「御苗場」の展示会場。
今までの CP+ ではどちらかというと流し見に近い感じで見るだけのエリアでしたが、今回は目的がありました。
写真ユニット「PSAM」として、デジタルスタイリッシュ系カメラマン・四本木さんが作品を出展されていました。
私の場合、写真は完全に自己満足でせいぜいこの blog に貼るくらい。こういうところに出展しようという気合いが今のところないので、その熱意と、それから展示できるだけの写真が撮れるウデ、というのが羨ましい。展示も当然自分たちで設営したということで、お疲れさまでした。
ニヤニヤしながら芳名帳に落書きしているのは、このためにはるばる富山から出てきたむっちーさん。リアルで会うのはかれこれ 6 年ぶりくらい?必要以上に元気なことは Twitter で確認していましたが(ぉ)、元気そうで何より。
御苗場の隣、富士フイルムブースでは東京カメラ部とのコラボレーションで X シリーズのユーザー投稿写真が展示されていました。しかも 10 点中 3 点が普段から絡んでくださっている方々(しょういちさん、goma さん、丁稚さん)というのは、すごいことです。日本における写真・カメラの聖地ともいえるこのイベントで、友人・知人の作品がこれだけ掲出されるというのは、ものすごく刺激になりますね。私も、手始めに区の写真コンクールあたりに応募してみようかな…。
私の CP+ レポートはこれにて終了です。来場者数は公式発表によると過去最高だった昨年を 5% ほど下回っているようですが、大きな新製品がなかったにしては盛況だったように感じました。特に、私の周囲で今回初めて CP+ に行ったという人も何人かいて、新しいカメラファンを取り込みつつまだまだカメラ市場が盛り上がっている、ということなのだろうな、と思います。
カメラの新製品としては昨年はかなりの当たり年でしたが、今年はどうでしょうか。CP+ の盛り上がりを見る限りは期待しても良いのかな、と思いますが、果たして。
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