「口が、鼻が、胃袋が、カレーに惹きつけられている。空腹時のカレーの魔力に、あらがえず」
ドラマ『孤独のグルメ Season4』聖地巡礼も、だいぶ巡ってきました。残るは後半戦ですが、今回はカレー好きとしてはずっと楽しみにしていた第 6 話の舞台、木場にやってきました。
このお店は劇中でも「飛び込み客はほとんどいない、基本は予約」というくだりがありました。放送直後は例に漏れず大混雑していたらしいですが、私は 1 週間ほど前の電話でも何とか予約が取れました。
それでも、店内はずっと満席。21:30 頃になってようやく空席ができはじめる、という状況で、人気ぶりが覗えます。ドラマ同様の女子会っぽい集団がいたり、どう見ても聖地巡礼っぽいお客さんがいたり(笑)、客層も幅広い。
カウンターの中では、インド方面出身と思われるシェフが休む間もなく腕を振るっています。
いい料理人って、作るさまからしてすでにうまそうだ。
まずは飲み物から。「ふらっと QUSUMI」で久住さんが飲んでいた葉っぱサイダー(という名のモヒート)を頼もうと思ったら、モヒートは夏季限定メニューだとか。ミントがあるならモヒートもできると思ったんですが、まあ仕方ない。
でも、葉っぱサイダーっぽい飲み物はもう一つありました。それが写真の「カマルビア」。刻んだ大量のパクチーをビールに投入したビアカクテルですが、飲み物にパクチーを入れるという発想が常識を超えている(笑。パクチーだけじゃなくて、その上にガラムマサラと、あと塩?が振ってあって、お酒を飲んでいるはずなのにオリエンタル系のつまみをビールと一緒に飲んでいるような、そんな感覚。ビールに氷を入れるのも個人的にはあり得ないと思っていたけど、これならアリ。
これはハマッたらハマる飲み物。ちなみに私は結局最後までこれをおかわりし続けました(ぉ
それじゃあ、インド料理、迎え撃とうじゃないか。
まずチーズクルチャは外せない。
クルチャ、って富山弁で「来るよ」の意(どうでもいい
小ぶりのナンにチーズを詰めた、インド風プレーンピザ、という趣の料理。
ペタン、ペタンと作っているようすや音がいい。
一切れ取ると、チーズが伸びる伸びる。それに、いい匂いだ。チーズ好きとしてはタマラナイ。
ナン系の生地に、濃いめのチーズ味がよく合う。ナンにチーズ、という組み合わせは今まで思いつかなかったなあ。
すごい。インドピザ、こいつはいい。
生地とチーズだけ。トッピングもないのに。
インドに、途方もないピザがあった。
窯焼きの野菜サラダ「タンドーリ ベジ」。
タマネギ、パプリカ、エリンギ、オクラ、プチトマトといった野菜類に火を通して、いろんなスパイスの混じったソースが絡めてあります。
ほぉ~。タマネギ、甘ジュワ。
エリンギもいい。どこにいても、君はエリンギだ。
複雑なうまみが合わさったこのソースもいい。残さず野菜につけて食べたくなる。
野菜がうまいと、ものすごく身体にいいことをしている気がする。
久住さんが食べていたラムミックス。これは絶対食べておきたいと思っていました。
「ラムのクミン焼き」と「王様のラム」の盛り合わせ。写真手前の色が濃い肉がクミン焼き、奥の白っぽいのが王様のラム。
うわあ、ほぉ、ほぉ~っ!
弾力性があって、歯を押し返してくる肉。いかにも肉って肉だ。歯を立てると、中からうまみが溢れてくる。
火の通り具合もちょうど良い。そして、ミントソースがいい働きをしている。
これはうまい。ここまでうまいラムはそうそう食べたことがないくらいだ。
ラムを堪能している間に、追加で頼んだクルチャが来るちゃ(しつこい
同じクルチャのように見えるけど、上に刻みパクチーが散らしてあるのがさっきとの違い。
正解は、キーマクルチャでした!
その名の通り、カレー風味に炒めた鶏挽肉を入れ込んだチーズクルチャで、プレーンなチーズクルチャとはまた違ったおいしさ。というか、これ数枚あればそれだけでごはん代わり、つまみ代わりになりそうな勢い。これもうまい。
クルチャ、気に入った。インド料理店に行ってもカレーとナン、あとせいぜいタンドリーチキンくらいしか食べたことがなかったけど、今度近所の店にクルチャがあるかどうか調べてみよう…。
ブナオイスター。カキのスパイス炒め。
日本でカキといったら生牡蠣、カキフライ、牡蠣鍋、くらいのものだと思っていたから、こんなカキ料理、初めてだ。
もうスープの色を見ただけでうまそうだ。
ほぉ~、はぁ~~!!
うん、カキ、スパイスに負けず。
カキ、うまし。
そして、深皿の底に沈殿している、カキのうまみとスパイスが渾然一体となった澱状の部分がまたうまい。溜まってるけど、たまらない(ぉ
これは、スープの一滴まで残さずいただきたいうまさだ。
こちらは久住メニューの「ラッサム」。インドの酸っぱ辛いスープ、とのことだけど、酸辣湯とかトムヤムクンとはまた違った雰囲気。
トマトの酸味をうまく活かした酸っぱ辛さで、妙に後引く味。そして香りが良く、味も深い。後から写真を見ただけで口の中に唾液が分泌しまくる系の旨辛だ。
そして名物・鯖カレー。
ちょっと大きめのスーパーとかアジア系の食品店とかに行くと見かけるサバカレー缶はなんだかイロモノっぽくて手を出しにくいけど、こういううまいインド料理を出す店で自信満々に出されたら、そりゃ食べてみたくもなるというもの。
カレーはサラサラしたスープカレーで、でも北海道の薬膳っぽいのとは違う、インドらしいスパイス満載のカレー。辛くはなく、香りとうまみで食べる感じ。
そして鯖は、確かに鯖(笑。鯖とカレーって合うのかと思ったけど、これが意外なほどに合う。インドの家庭的素朴さ。インドのおふくろの味って、こんなのかもしれないなあ。
うん、奥が深いよ、インド。
じゃあ、そろそろ〆にかかろうじゃないか。
「すいませーん」
〆のカレーは、もちろんアレ。
ラムミントカレー。
カレーと、ミントと、ラム。それぞれ主張の強い素材をひとつのカレーにまとめようなんて、いったい誰が考えたんだ。そして、いったいどんな味がするんだ。
食べてみんと、わからむ。
あっ、いい。これ、いいンダス文明。
ミントよりちゃんとカレーが勝ってる。ミントを従えたカレーだ。
口に入れた瞬間、ミントのさわやかな香りが駆け抜けて、後からカレーのうまみの部分が追っかけてくる。カレー自体は、そんなに辛くない。
そしてラムがこれまた、合う。ラムミントなんて、どっかのアイスクリームみたいな名前なのに。
カレーに合わせるライスは「バスマティライス」という香り米。東南アジア系の長粒種だけど、ここまで細長いコメは初めて食べるなあ。
このバスマティライス、強火で炒めた炒飯でもないのに、炒飯以上にパラッパラ。スプーンで掬うのが大変なくらいのパラパラ度合いだけど、これがラムミントカレーに合う。香りはここまで食べてきたインド料理とは一線を画す上品な香ばしさで、インドの貴族はこういうものを食べているのかなあ、と想像したくなります。
そしてこのバスマティライス、見た目以上に腹に溜まる。これを食べる前は「あとバターチキンカレーくらいいけそうかもな」と思っていたのが、食べている間に胃がズンズン重くなっていって、最後にはこれ以上入らない…という状態になっていました。
いや~、今日は驚いた。ひとつひとつがうまかった。
インドバル、いいじゃないか。
インド深し。俺はまだまだ、お釈迦様の掌の上だ。
カレー食ったら、なんだか新しい元気が湧いてきたぞ。
ボーダチャ。ごちそうさまでした。
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