「河津に来たからには、やっぱりこれだろう」
『孤独のグルメ Season9』の聖地巡礼で宇佐美の焼きしゃぶを食べるためにはるばる伊豆まで来たからには、それだけで帰るわけにはいきません。こちらもゴローちゃんと同じく河津のわさび丼もハシゴしてこそ Season9 の巡礼と言えるでしょう。
伊東から海岸線沿いに河津へ。裏日本の生まれとしては、真夏の太平洋のこの青い海と青い空を見るだけで元気が出てきます
そういえば五郎は劇中ではなんの脈絡もなく河津でわさび丼を食べていたけど、宇佐美での仕事のついでに前乗りして河津まで出張ったということでしょうかね。宇佐美から河津って電車だと一時間半くらいかかる道程、それをわざわざ食べに行くということはよほどわさび丼が気に入っていたということに違いない。
というわけで、河津に到着。『孤独のグルメ Season3』が放送される前までは河津といえば河津桜とわさびの町というイメージだったけど、今や「わさび丼の町」という感じ。それくらい、この店が河津の中心になっている印象があります。
放送は八年前、私が前回巡礼しに来たのは七年前。それくらい時間が経ったということか…。
うーん、久しぶり。
店内はちょっと改装されていて、入って右側にウェイティングスペースができていました。前回は店の前に行列だったのが、ちょっと待ちやすくなっている。河津は東京よりはちょっとしのぎやすいとはいえさすがに暑いから、これは助かる。
そしてこのスペースの壁一面に芸能人のサインが。大半が『孤独のグルメ Season3』後に食べ歩きバラエティで訪店したと思われるサインで、それだけ井之頭五郎の影響力が大きかったということなのでしょう。しかしその中にあってこどグル以前の日付が記された石原良純、山下真司、梅宮辰夫の大御所三名のサインには重厚さを感じる(笑。
前回来たときにはなかった(と思う)Season3 収録当時の写真も発見。
松重さん、若い!なんか肌がツヤツヤしてる。8 年前だから当時 50 歳、それがもうじき還暦だからなあ。刻の流れを感じます。
ちなみに左に写っている店主、Season3 では渡辺哲が演じていましたが、Season9 ではご本人が出演していましたね。お店のサイトのお知らせにも「当店のオヤジも役者気取って頑張ってます」と書かれていました。
お店には 12:45 頃に到着したら五組くらい待ちがあったので、店内や周辺を見て時間を潰します。
お土産用のわさび、ちょっと買って帰ろうかなと思っちゃいますよね。
物販コーナーにはお店のポスターに松重さんの巨大サイン。
というかこのポスター自体が『孤独のグルメ』をフィーチャーしていて、この店にとってドラマの影響がそれだけ大きかったということがよく分かります。
謎のわさび殺菌力アピール。五年以上前の食パンが腐らないのもすごいけど、それをわざわざ実験して展示するというのがすごい(笑
ご主人のわさび愛、変わってないな~。
というわけで結局一時間ほど待ってテーブルに通されました。暑さがしのげたのとそれなりに見るものがあって助かった。
注文を済ませるとすかさず生わさびが出てきて、すりおろしながら料理の到着を待ちます。
わさびは茎を取ったらひっくり返してすりおろし。この鮫肌のおろし器がまたいいんだよなあ。
まあるく、まあるく。まあるく、まあるく。
楽しみだな~。
わさび丼の前にみそおでんから登場。
これ、前回も気になってたんだよな。
わさびとは特に関係のないオーソドックスな味噌こんにゃくおでん。
こういう素朴な味、好き。
そうなるとビールが欲しくなるというものです。
瓶ビールにみそおでんというおっさんくさい組み合わせが却ってイイ。昼からこれ、というのが田舎の夏休みっぽくもある。
それと、生ワサビ付わさび入りところてん。自らわさびをダブらせたところてん。さっきすりおろしたわさびの一部はこれ用でした。
おっ、ツンときた!でもこうでなくちゃ。
優しく甘酸っぱいつゆにツルツルッとしたところてん、そこにわさびの刺激が爽やか。正しい田舎の夏。
ざるそば。
前回来たときに食べたのはわさびそばだったけど、こちらは普通のざるそば。でも妙に盛りがいい。
そばって、すりたての生わさびで食べるとおいしいんだよなあ…。
そして、わさび丼。
どんぶり飯の上におかかをかけただけというこの上なくシンプルな丼に、わさびと醤油をかけるだけ。
『孤独のグルメ』史上でも最もシンプルな料理だけど、だからこそ Season3 のアレは記憶に残る回だった。
ああ、ほんと懐かしい。ずっと食べたかった。
あ~、これだ!
わさびが違う。
鰹節と醤油に白飯という、日本人の魂に刻み込まれた味。それを辛さよりも甘みを感じる生わさびの味と香りが引き立てる。
そうだそうだ、舌が憶えてる。この味この味、うんまいなあ~。
あれ以来自分でも何度も真似したけど、やっぱり全然違う。
この四種類の薬味で一口ごとに味変しながら食べるのがまた楽しい。
わさび丼自体がシンプルだから、こういうちょっとした薬味で味の表情がずいぶん変わる。
わさび丼の後の〆に、自家製わさび焼酎もいただきました。
わさびの刺激ではなく爽やかな香りが前面に立つ焼酎、暑い季節に嬉しい。
おつまみとしてわさびの茎漬けがついてくるけど、さっきのわさび丼の薬味をちょっと残しておいてそれを舐めながら飲むとさらに楽しい。
ああ、うまかった~。
河津ってなかなか来るところじゃないし、いつかまた河津桜を見に来ることがあればそのついでに…と思っていましたが、まさかわさび丼を目的に再訪することになるとは。でも久々にこの味に再会できて嬉しかった。
末永くこの味が続いてくれることを願っています。
ごちそうさまでした。
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