購入したものの忙しくてじっくり試す時間が取れていませんでしたが、連休でようやく余裕ができたのでシグマ MC-11 をいろいろテストしてみています。
いろいろと確認したい項目はありますが、まずは「MC-11 で対応レンズを使ったときにネイティブ E マウントレンズとどれくらい AF 速度が違うのか」と「MC-11 でキヤノンレンズを使うとシグマレンズとどれくらい AF 速度が違うのか」の二点が最も気になるわけです。
そこで、実測テストをしてみました。比較対象のレンズは MC-11 対応レンズ代表としてシグマ [Art] 50/F1.4 DG HSM、キヤノンからは USM レンズ代表で EF24-70/F4L IS USM、STM レンズ代表として EF40/F2.8 STM。あとネイティブ E マウントレンズは Sonnar T* FE 55/F1.8 ZA。
テスト条件はこんな感じ↑でタブレットにストップウォッチアプリを表示させ、レンズを無限遠から 50cm 程度のところにあるこの画面に AF が合ってシャッターが切れるまでの時間を計測します。左手でストップウォッチを、右手でシャッターボタンを操作するので厳密ではありませんが、傾向は分かるかと。あとタブレット上のストップウォッチの表示は画面のリフレッシュレートに依存するのでたぶん 1/60 秒単位でしか測れてないと思います。
という前提で、5 回計測して平均値を取ってみました。
レンズ | 合焦時間(秒) |
---|---|
SIGMA [Art] 50/F1.4 DG HSM | 0.837 |
Canon EF24-70/F4L IS USM | 0.762 |
Canon EF40/F2.8 STM | 0.593 |
Sony FE 55/F1.8 ZA | 0.200 |
あれ…?正式対応しているはずの A50/F1.4、意外と遅い。むしろキヤノンレンズほうが速いくらい。まあ、焦点距離も開放 F 値も違うレンズの比較なので条件が違いすぎるというのはあるでしょう。A50/1.4 は大口径なぶん AF 駆動するレンズも重いですからね…。
いっぽう純正 E マウントレンズは恐ろしく速いですね。当然と言えば当然の結果ですが。
ただし、これは「最大デフォーカスから最短撮影距離付近までレンズを動かしてくる時間」なので、通常使用時はこの差は当然縮まります。無印 α7+他社アダプタの時代は AF ができてもピントが合うまでに 1~2 秒はかかっていたので、いずれにしても 1 秒未満という実力なら、スポーツ撮影以外であれば十分使い物になります。
それから、[Art] 35/F1.4 DG HSM についても、ファームウェア更新前(v1.01)と対応ファームウェア適用後(v1.03)でどういう差が出るか比べてみました。
レンズ | 合焦時間(秒) |
---|---|
SIGMA [Art] 35/F1.4 DG HSM(v1.01) | 0.663 |
SIGMA [Art] 35/F1.4 DG HSM(v1.03) | 0.820 |
…あれ?なんか遅くなってるんですけど(;´Д`)ヾ。
純正レンズでも対応ファーム適用前はキヤノンレンズをつけたのとほぼ同等の挙動になっているはずなので、キヤノンレンズ装着時の状態を見ながら原因を推測してみました。
非対応レンズ装着時は、設定メニュー内の「AF システム」の項目(α7 II 世代で追加された設定項目。旧 α7 や α6000 世代にはない)がアクティブになります。
ソニー純正 E マウントレンズ装着時や MC-11+対応レンズ装着時にはこの項目がグレーアウトされている(強制的にファストハイブリッド AF が有効になっている)のが、MC-11+非対応レンズではここが「位相差 AF」か「コントラスト AF」の選択式(デフォルトは位相差)になっているということは、原則としてネイティブ E マウントレンズ(と LA-EA1/3 経由の A マウントレンズ)でしかファストハイブリッド AF は使えない、ということだと思われます。
つまり、キヤノンレンズや非対応ファームのシグマレンズでは位相差 AF しか使っていないため AF の挙動が短く、逆に対応ファーム適用後のシグマレンズは AF の最終段でコントラスト AF による微調整が入っているために若干遅くなっている、ということでしょう。その証拠に、MC-11 非対応レンズは対応レンズと比べて AF のハズレ率が少し高くなっていて、対応ファームの恩恵は確かにあるんだなあ、と実感します。
なお、非対応レンズ(かつ AF システムを「位相差 AF」設定にした場合)は AF エリアが位相差センサ搭載エリアに限定されるため、α7 II では中央よりのエリアでしか AF が効きません。コントラスト AF に切り替えれば全面使えますが、そうすると今度は AF 速度が実用的ではなくなってしまいます。まあこれでも EOS 5D3 の AF エリアよりチョイ狭いくらいなので、十分使えますが。
最後に、「MC-11 使用時の測光方式は開放か絞り込みか」という質問をいただいたのでここで答えを書いておくと、
- 対応レンズ装着時は絞り込み測光(ネイティブ E マウントレンズと同様)
- 非対応レンズ装着時は開放測光
という挙動になっています。つまり MC-11 が装着されたレンズに応じて挙動を変えているわけです。E マウントボディを使う上では E マウントレンズ使用時と同じ動きをするほうが扱いやすいけど、MC-11 の先につけるレンズを純正だったり EF だったり使い分けている私のようなユーザーには、むしろ紛らわしい気がしなくもない(´д`)。
他にもいくつか検証したい項目があるので、このシリーズ、続きます。
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