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千葉県富津市金谷のアジフライ定食

「揚げたてのうまいアジフライで飯を食う。これ以上ない海辺の贅沢だ」

浜金谷

ドラマ『孤独のグルメ Season6』の聖地巡礼もいよいよ佳境に入ってきました。今回はプチ遠征編ということで、千葉県は富津市金谷まで足を伸ばしてきました。
スタート地点は JR 内房線の浜金谷駅。まあ、実際には巨大不明生物の出現に脅えながらクルマでアクアライン通ってきたんですけど(ぉ。

ドラマ版のこどグルは妙に房総半島づいていて、旭市飯岡いすみ市大原ときて今回が三度目。しかもこの浜金谷周辺は四年前に鋸山に登ったときに一度通過していたんですが、通過しただけだったので完全に忘れていたという。こんな形で再訪することになるとは、当時は思っていませんでした。

かぢや旅館

ゴローちゃんの仕事パートのロケ地となったかぢや旅館。看板に「創業安政元年」とあるとおり、非常に歴史ある旅館です。
聞くところによると、この金谷周辺で映画やテレビの撮影があるときには、俳優さんはこの旅館に泊まるのが定番なんだとか。

かぢや旅館

ロビーをちょっとだけ覗いてみましたが、劇中に登場したとおりのカオス感。今にも奥からマスター役の石井正則が出てきて微妙な蘊蓄を語り出しそうな雰囲気があります(笑。

しかし、のんびりとした町だ。
東京湾をくぐって遠征してきたせいか…腹が、減った。よし、店を探そう。


漁師めし はまべ

漁師めし はまべ

目の前に海岸を臨む、いかにも海の幸がうまそうな店構え。
看板に「ラーメン・餃子 はまべ」とあるのは、もともと同名のラーメン屋だった店舗を名前ごと受け継いで営業しているから、とのこと。

実は事前に予約しようと思って電話してみたところ、お昼は予約を取っていないのか取っていても一巡目分だけなのか、「当日並んでみてください」と言われたので、朝 10 時に現地に到着しています。
暑いのでクルマの中で少し涼んでいたところ、お店の前にはひっきりなしに人が通りかかって、そろそろ並び始めないとやばいかも。というわけで、暑い中二時間並ぶ覚悟で外に出ました。

漁師めし はまべ

釣り船のなかのりをしていた母ちゃんが、房総の新鮮・旬な魚を使って作る漁師めし。
そうだよ、今俺が食べたいのはまさにこういうものだよ。

…と期待が高まっていたところ、

漁師めし はまべ

ズガ━━━(゚Д゚;)━━━ン!!

並び始めたところで、休日営業の応援要員っぽいお姉さんがこの紙を貼りに来て「すいません、今日は貸し切りのお客さんが入っちゃてて…」。
ここまできてそれはショックでかいぜ、でも聖地巡礼ってこういうこともままあるんだよな…次回いつにしようかな…と内心落ち込んだ次の瞬間、

「でもこのために来られたんですよね?…14 時くらいまで待ってもらえるなら、団体のお客さんの後に一組だけなら何とかなるかも」

ということで、お店側のご厚意で席を用意していただけることになりました。朝早くから並んだ熱意が伝わったに違いない。感涙。ありがとうございます。

で、三時間半ほど時間を潰しつつ限界までお腹を空かせて、改めて訪店。

漁師めし はまべ

団体のお客さんが帰った後の、貸し切り状態の店内。我々が入った後も何組ものお客さんがやってきては「すいませんもう終わりなんですよ」というやりとり。早く来て本当に良かったけど、ちょっと申し訳ないような気もします。
ドラマを見た限りではお母さんのワンオペだったはずなのにどうやって団体客の対応をしているんだろう?と思ったら、休日だけなのかもしれませんが四人で切り盛りしており(雰囲気的に家族か親戚っぽい)、心配していたほどは大変ではなさそうでホッとしました。

メニューはいろいろあるけど、団体さんの後だけにもう食材の残りも少ないっぽい。
しかも、どうやら今年はアジの漁獲量が少ない上に周辺のお店もアジを出す店が多くて、アジの確保にかなり苦心しているとのこと。ドラマを観たお客さんがみんなアジフライを食べに来るからアジフライに回したくて、さんが焼きは今やっていないそうです。さんが焼き、食べてみたかったけどそういうことならば仕方ない。

それにしてもここのアジフライ、すごく楽しみにしてきたんですよね。今までは Season4 の聖地である鳥越「まめぞ」のアジフライが人生最高だと思っていたけど、それを超えるものであるのかどうか。

漁師めし はまべ

まず出てきた小鉢はサヤインゲンのおひたし的なやつ。
これをつまみながらアジフライを待つってわけか。

うーん、よいよい。酢醤油っぽい酸味がこの暑い季節にすっごく爽やかな存在だ。
これは、これから出てくる料理に向けて食欲が高まってきたぞ。

漁師めし はまべ

ぬか漬けと煮魚の小鉢。
うまいな~、ぬか漬けがうまい店は信用できる。

煮魚も味、しみてます。
これは確かに漁師的おふくろの味。自分も港町で生まれ育ったから、妙に懐かしさを覚える。

漁師めし はまべ

そして、目の前でアジフライがパチパチと揚がっていく音が響き始めた。
ああ、いい音だ。アジフライがおいしくなっていく音だ。

漁師めし はまべ

どーーーん!

ゴローちゃんが食べてたのは「地魚フライ定食」でしたが、刺身も入ってお得ということで「はまべ定食」にしてみました。基本的に地魚フライ定食と同じ内容に三種の刺身がついてくるとのこと。
ただし、フライのサイズは「地魚フライ定食」のほうが一回り大きいそうで、本来のサイズもこの目で見ておけば良かったかも。

ちなみに地魚はその日の仕入れ状況によってアジ以外の魚を使うこともあるそうですが、今日は運の良いことにアジでした。つくづくツイてる。

漁師めし はまべ

通常の煮魚フライ定食より小さいとはいっても、これは、でかい!!
あきらかに皿からはみ出しているし(これ小皿じゃなくて普通のメイン料理皿ですよ)、おかみさん(応援で入ってるらしい少し若い方)も「大きすぎて崩れたり落としたりしないように盛り付けるのが大変」というサイズ。

漁師めし はまべ

全長、12cm オーバー。なんてでかさだ。これが房総の底力か。
これで本来の地魚フライ定食だったらどんなことになっちゃってたんだ。

おかみさん曰く、「ゴローさんにはアジの大きさよりも厚みを測ってほしかった」とのことで、肉厚っぷりにも自信があるようです。

タルタルに、醤油、ソース。調味料は万全。
改めて、いただきます。

まずは…醤油から。

漁師めし はまべ

おぉ…うわっ、なにこれ?ふわっふわ。
衣が薄めだから見た目にはあまり柔らかそうに見えないんだけど、アジの身が本当にふわっふわ。
ここまでのアジフライだとは想像してなかった…いやぁ、びっくりした。

なんたる潜在能力の高さ。揚げ方も抜群。
現時点で俺の人生一位に躍り出たアジフライだ。

漁師めし はまべ

刺身もいい。マダイ、マアジ、シマアジ。
マダイは割とどこでも食べられるけど、アジ…個人的にはこの脂が乗りつつプリッとしたシマアジの刺身が最高にうまい!

これは、早くもご飯の劣勢が確定してしまった。
すいませーん、ご飯おかわりください。

漁師めし はまべ

カジメの味噌汁。「よーくかき混ぜてから飲んでください」とのこと。

なるほど、確かにちょいネバだ。
このちょっととろみのついた味噌汁、なかなか面白い。でも夏じゃなくて冬に飲みたかった気もする(笑。

カジメ、すっごくいい。覚えておこう。

漁師めし はまべ

またアジフライに戻って、お次はレモンに、タルタルだ。
実は俺、タルタル好き。隠れタルタリスト。最初から最後までタルタルだけで食べても飽きない自信がある。

このアジ、タルタルの濃い味にもビクともしない。
この小さな魚のどこにそんな強靱が意志があるのか。

漁師めし はまべ

醤油、ソース、カラシ、レモン、タルタル…様々な味のアジフライ、堪能しました。
アジがこんなに大きいから、いろんな味を変えながら楽しめる。今までにないアジフライの攻め方だった。

金谷の町に来て、こんなうまいアジフライ定食にありつけるとは、思ってもいなかった。
ああ、うまかった…。

漁師めし はまべ

結果的に貸し切り状態になったこともあって、お店のみなさんとドラマのことを中心にいろんな話をしながら楽しいひとときを過ごさせていただきました。
「松重さんも松本明子さんも本当に腰が低くてねえ」とか、「ウチなんかよりもずっと老舗のさすけ食堂さんに来ると思ってた」とか。遠征編の聖地巡礼は人情に触れることが多いですが、ここもはるばる来て本当に良かった。

アジフライ食って満足することはあっても、度肝抜かれたのは初めてだ。
今度来る機会があったら、そのときは是非さんが焼き、食べてみたいなあ。

ごちそうさまでした。

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