昨日公開された劇場版新作、初日朝の回でさっそく観てきました。
『機動戦士ガンダム UC』の続編として制作された完全新作アニメ。続編とはいっても小説『不死鳥狩り』をベースに話を膨らませたシナリオで、あくまで『UC』の外伝的な作品ではあります。
『UC』同様に福井晴敏が脚本を手がけ、サンライズ第 1 スタジオが制作を担当する『UC』の続編とあっては期待も高まるものですが、外伝ゆえに本編のスケールを超えるものではないこと、そして何よりキャラクターデザインがガンダム作品としては近年まれに見る駄作だった『Twilight AXIS』の人、ということで期待値を下げて観に行きました。
結果…期待していたよりずっと良いじゃないですか。ストーリーは『不死鳥狩り』から大きく逸脱するものではないためだいたい想像通りではあったけど、90 分という尺の中に濃密に詰め込まれた映像の熱量は『UC』のそれ。劇伴は澤野弘之がオケ主体だった『UC』の楽曲に電子音を加えて発展させたビート感の強い楽曲が多く、映像の濃さを増強しています。そして終盤に登場するサプライズは『UC』ファンへのサービスに満ちていて、かなり満足度の高い作品に仕上がっています。
モビルスーツ戦は CG ベースで動きが軽かった『THE ORIGIN』とは違い、重さを感じる手描き主体のアクション。『UC』以上にスピード感があって圧倒されます。一方でキャラクター作画は『Twilight AXIS』同様に微妙…顔が崩れているように見える作画も多くて、ここだけは作り直してほしいレベルで不満。特に旧作にも登場しているキャラは顔が薄くなっていて、違和感が強いです。
しかしそれを差し引いても「面白かった」と言えるだけの濃さがある作品だと感じました。
原作『不死鳥狩り』は『UC』とほぼ同じ時間軸において、スタークジェガンという量産機で非ニュータイプパイロットがフェネクスを追う…というのが良かったんですが、本作では主役機としてナラティブガンダム、ライバル機としてシナンジュ・スタインと II(セカンド)ネオ・ジオングが登場します。まあ映像化するにあたっては新型のガンダムを登場させないわけにはいかないというサンライズ/バンダイ側の都合はあるのでしょうが(笑)、フェネクス捕獲作戦にガンダムタイプ(というかサイコフレーム搭載型)の MS が必要だったというのはちゃんと理由が用意されてあり、納得できるところ。
一方でシナンジュ(スタイン)とネオ・ジオングに予備機があったという設定はさすがに苦しいとは思いますが、ルオ商会の差し金というやや苦しい伏線は用意されています。まあ『UC』のクライマックスでネオ・ジオングを出した以上、それに匹敵するラスボスを用意する必要があったんだろうし、『UC』のラストバトルはあまり戦闘になっていなかったから改めてユニコーンタイプとネオ・ジオングをガチンコ対決させたい…という制作側の欲求もあったのだろうと思います。ゆえに終盤の展開が『UC』の焼き直しになった感は否めませんが、ナラティブガンダムの換装ギミックをうまく使ったメカニック的なサプライズが二度仕込まれていたのはなかなかアツい展開ではありました。公開直前まで隠されていた「C 装備」がああいう形だとは思わなかった。
いやあ面白かったです。特に戦闘シーンには迫力があり、もう一度堪能しつつ分析的に観てみたい気もします。上映期間中にリピートしようかと思っています。
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