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渋谷百軒店 とりかつ CHICKEN

夕食どきに渋谷界隈におりまして。

学生時代にはしょっちゅう遊びに来ていた渋谷も、近年はもう具体的な用事がない限り来ない街になってしまいました。だからこんなときに入りたい店もパッとは思いつかないという。渋谷、俺がちょっと飯を入れていくような店ってもうないのか?…と考えつつ、足が向かっていたのがこちら。

道玄坂を登っていったところにある百軒店(ひゃっけんだな)です。センター街とかヒカリエとかの店に一人で入るのはちょっと気が引けるけど、この辺は若者の街渋谷とはちょっと雰囲気が違う。この辺ならありかな…。
ただしこの辺りは一本入ると完全にラブホテル街で、この歳になってもこういうところをうろつくのは躊躇します。

百軒店の代名詞といえば『孤独のグルメ』原作にもちらっと登場している喜楽だけど、この日はあいにくの定休日。ならば、ということで見つけたのがこちらのお店。

とりかつ CHICKEN

喜楽の横の狭い路地を上っていったところにある定食屋。ここ、実は 22 年前の『孤独のグルメ』初版本の表紙にも看板が描かれているんです。

少なくとも 22 年以上、いやこの雰囲気から察するに間違いなく 30 年以上、昭和の時代からこの地に存在し続けているであろうこのお店。しかも、どうやら当時から値段は変わっていないらしい。渋谷の街中で小綺麗なチェーン店に入るよりこんなところのほうが絶対面白い、ここにしよう。

でもここ、一体どこから入るんだ…?


最下層が飲食店になっている古マンションの一角が店舗になっていました。向かいのスナックらしき店からはカラオケの歌声が聞こえてくる。この雰囲気、完全に昭和。
ここまで来たからには入ってみようじゃないか。すいませ〜ん。

店内はほぼカウンター、それに申し訳程度にテーブル席がひとつ。そして扉を開いた瞬間にむわあっと包み込まれる油の匂い。

カウンターの中では「おばちゃん」と呼びたくなる店員さんが二人、世間話をしながら定食をこしらえている。チェーン店でアルバイトがくっちゃべっていたら店を出たくなるところだけど、この世間話はなぜかそれ自体がお店を形作る要素の一つに思えて、逆に心地良い。初めて来たはずなのに、昔から知っている田舎の近所の店に来たかのような気分。

メニュー、達筆。
なるほど、好きな揚げ物を組み合わせて定食を作れるのか。オトコノコとしては心踊る文字列が並んでいる。

さあ、どれにしようか?

迷いに迷った挙句「人気定食」にあったとりかつ、ハムかつ、コロッケの三品にさらにアジフライを加えた四品定食に決定。
こういうところに初めて来たからには、まず定番から試してみるに限る。

まずはアジフライから。なんだか今日は無性にアジフライが食べたい気分だったんだ。
近年ハイレベルなアジフライを探し求めてきた身からすると小ぶりで「普通」な感じのアジフライだけど、ここのは薄めのサクサクした衣がいい。アジも柔らかくしっとりとしていて、日常的にこんなアジフライが食べられれば十分でしょう、というクオリティ。うん、おいしい。

そしてコロッケ。このフワフワした揚がり具合、これはレベル高い。
目の前で揚げたてのフライ定食が食べられる幸せ。

そんな折、ラストオーダー時間ギリギリにも関わらず電話がかかってきて、持ち帰り弁当十個の注文が入った模様。
この時間から…?と思ったけど、他のお客さんとおばちゃんとの会話によると「これくらい大したことないわよ」とのこと。さすがこの地で(たぶん)何十年もフライを揚げ続けてきたベテラン、頼りになるなあ。

ハムかつ。厚すぎず薄すぎず、これぞハムカツというオーソドックスな一品。

とんかつとは違う濃いめのハムの味とプリッとした食感が、なんだか学生時代に戻ったかのような気分にさせる。
これはご飯が進む味。

最後は店名にもなっている、とりかつ。
やや小ぶりながら柔らかくてジューシー、これはおいしい!
さすが、店名を冠するだけのことはある。ついおかわりしたくなるレベル。

おいしい揚げ物って食感が軽いものですが、ここのフライも胃にもたれる感覚がなくて、いくらでも食べられそう。学生向けっぽい価格設定の店だけど、むしろ胃的に揚げ物が厳しくなってきた年代にこそ嬉しい店かもしれません。
これはいい店を知ったな。今度はメンチとか、カニクリームコロッケなんかも試してみよう。

ごちそうさまでした。

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