F1フランスGP決勝:ハミルトン、”貫禄の”4連勝。レッドブル・ホンダのガスリー、繰り上がりで10位
この前のモナコとカナダが接近戦だった反動もありますが、今回のフランス GP は今シーズン最も退屈なレースだったと言って良いでしょう。
予選からメルセデスの二台が圧倒。まあこれ自体はいつものことですが、今回はいつも以上にフェラーリとレッドブルがメルセデスについていけておらず、メルセデスだけが別カテゴリ状態。フェラーリに至ってはヴェッテルが予選 7 番手に沈んで決勝が始まる前から勝負になっていなかった感が強いです。決勝でもメルセデスの二台、特にハミルトンが大差をつけて優勝し、波乱らしい波乱もナシ。
今季のメルセデスはどのサーキットでも一定以上に速く、また全 10 チーム中で最もピレリタイヤとの相性がいいマシンを持っています。一方でフェラーリはカナダまでは毎戦何らかの形でチームやドライバーがミスを犯して勝利を逃してきましたが、今回はミスらしいミスもない中での完敗。ドライバーズランキングではヴェッテルがハミルトンに 70pt 以上の差をつけられ、コンストラクターズに至っては 140pt 差ということでシーズン 1/3 を過ぎた時点でもはやチャンピオンシップ終了のお知らせが聞こえてきそうな状況です。メルセデスのチーム内バトルに関してもハミルトン 6 勝 vs. ボッタス 2 勝で、ボッタスにシーズン序盤の勢いが感じられないのが残念。もう少し拮抗しないと夏休み前にタイトルが事実上決まってしまいそうな差がついていて、もはやタイトル争いを軸に今季の F1 を見る意味はないですね…。
一方で中団争いはまた戦況が変わり、今回は地元ルノー PU 勢の躍進が目立ちました。なんたってマクラーレンが予選 4・5 番手からの 5・9 位、ルノーワークスが 8・13 番手からの 8・10 位フィニッシュ(ただし 10 位のリカルドはレース後のペナルティで 11 位降格)ですからね。シーズン序盤に好調だったアルファ/レーシングポイント/ハースが徐々に勢いを失いつつあり(アルファは今回ライコネンが入賞したけど)、対照的にルノー勢が台頭してきて勢力図がまた分からなくなってきました。その中でトロロッソ・ホンダは常に入賞圏前後のレースを続けてはいるものの、なかなか大量得点できていないのがちょっと辛い。STR14 のポテンシャルは高いはずなので、うまく使いこなしていってほしいところです。
そのトロロッソも含めたホンダ勢ですが、このフランスへは「スペック 3」PU をアルボン車以外の 3 台に持ち込んできました。これは ICE とターボの両方をアップグレードしたもので、ターボに至っては IHI との協業に基づき航空機向けエンジンの技術を応用した改良版とのことで期待されました。またレッドブルのほうは車体側にもアップデートを施したとのこと。
が、これが期待されたような結果には結びつかず、フェルスタッペンの 4 位フィニッシュがやっと。ガスリーは 11 位フィニッシュ(リカルドのペナルティに伴い繰り上がりで 10 位入賞)、トロロッソは 14-15 位フィニッシュというのはあまりにも残念。スペック 3 が本当にどこまでのパフォーマンス向上を果たしているのか?という疑問もありますが、両チームともまだ新 PU のマッチングが進んでいないこと、ガスリーは未だに RB15 に乗り切れていないことが原因かと思われます。こうしてみると常にマシンから 100% 以上のものを引き出して走れるフェルスタッペンは別次元のドライバーだなあ…としみじみ感じます。
今週末はもう次のオーストリア GP。レッドブルのホームレースだから両チームにはがんばってもらいたいところですが、パワーユニット性能とダウンフォースの両方が求められるサーキットだからどこまで結果に結びつけられるか。天候が変わりやすいサーキットでもあるので、雨がらみで面白い展開になってくれることを期待します。
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