昨日、Nintendo Switch/Steam 向け RPG『OCTOPATH TRAVELER』のコンサートに行ってきました。
OCTOPATH TRAVELER Break, Boost and Beyond | SQUARE ENIX
以前も一度書いたとおり、本作は楽曲が本当に素晴らしい。グラフィックやバトルシステム等で評価の高いタイトルでしたが、個人的にはこの楽曲群も本作の世界観構築に大きく貢献していると思っています。これが月並みなゲーム音楽だったら自分はここまでハマらなかったのではないかと思うほど。そのコンサートが開催されるのなら、わざわざ聴きに行く価値もあるというものです。
会場は八王子のオリンパスホール。自宅からだと一時間半くらいかかる厳しい立地。なんでこんなところで?と思ったけどよく考えたら OCTO(=8)と「八」王子 をかけてあるのか!
ホールは入口が地味でちょっと不安になりましたが、中は至極真っ当なコンサートホールでした。とはいえフルオーケストラだった楽曲群をそのまま演奏するのはコンサートの規模的に厳しいようで、先日発売されたアレンジアルバム『Break & Boost』に収録されたバージョンを中心に演奏するというスタイル。バンドはストリングス×3(バイオリン/ビオラ×2+チェロ)、グランドピアノ、ギター×3(アコースティック/エレキ)、ベース、ドラムという最大 8 人構成。楽曲によってストリングス+ピアノ中心の室内楽的なアレンジ(Break side)とギター+ドラム中心のヘヴィメタル系アレンジ(Boost side)を交互に行き来するセットリストになっていて、室内楽とロックをいっぺんに堪能したかのような濃厚なステージでした。個人的にはロックアレンジをずっと着席で聴いているのがちょっと辛かったので、もっと構成をきっぱり分けてスタンディングパートを作っても良かったんじゃない?とは思いました。
ゲームミュージックのコンサートなだけあって、演奏中はステージ上のスクリーンにゲーム中の映像が流れ、楽曲とともに自分が旅したオルステラ大陸をつい思い出します。また楽曲によってはステージ前面に半島かスクリーンが降りてきて、そこに雪や霧、あるいは戦闘中の「Break」のエフェクトが表示され、ドット絵ベースでありながら遠景と近景を感じるレイヤーっぽいオクトラの映像表現がステージ上でも再現されていました。
セットリストはこんな感じ。同じ楽曲でもアレンジ違いで二回演奏されていたりするので、カッコ書きで Break side か Boost side かあるいは今回の新アレンジ(今回のコンセプトから「Beyond」と仮称)かも添えておきます。
- OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ- (Boost)
- フロストランド地方 (Break)
- バトル 1 (Boost)
- 崖下の村オアウェル (Break)
- 赤き断崖の集落 (Break)
- 学問の都アトラスダム (Beyond)
- 決意 (Break)
- 宝物のために~ボスバトル 2 (Boost)
- 理を司る者 (Boost)
- OCTOPATH Character Theme Medley Beyond (Beyond)
- 街は川と共に生きる (Beyond)
- 洞窟ダンジョン~地下道ダンジョン (Beyond)
- 師匠のために~旅路の果てに立ちはだかる者 (Boost)
- 大陸の覇者より~バトルアドバンスト (Beyond)
- フィニスの門 (Beyond)
- 魔神の血を継ぐ者 (Boost)
- 踊子プリムロゼのテーマ (Break)
- ボスバトル 2 (Break)
- OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ- (Beyond)
– Intermission –
– Encore –
正直なところ、アレンジアルバムを単体で聴いたときには「オリジナルの楽曲の完成度が高すぎて、いじったことで曲の良さが却って損なわれているのでは」と思っていましたが、同じアレンジでも生演奏で聴くと印象が全く変わりますね。フルオケで演奏できないからあえてアレンジしたという側面はあるでしょうが、Break side は生音中心にゆったりと、ときに技巧を聴かせる演奏。対する Boost side はバトル曲を中心に熱く押し出してくる演奏。楽曲によっては演奏側のテンポが走ってしまうくらいにノッている…というより意識的に走っているんじゃないかというほど疾走感ある演奏で、これは興奮します。
中でも盛り上がったのはバトルエクステンド(『~のために』の主題がつけられた、各キャラクターのボス戦前の会話シーンからボス曲に繋げるための短い楽曲)からシームレスにボス曲へと移る構成。サントラはバトルエクステンド単体での収録でちょっと残念でしたが、こうやって繋げて演奏してくれるとあのボス戦の高揚感を思い出します。
なお今回のコンサートのために新たにアレンジされた楽曲はアレンジアルバム第二弾『OCTOPATH TRAVELER Arrangements Break & Boost -Extend-』としてコンサート会場とスクエニ直販限定で発売され、またこのコンサートの映像も年末に BD 化されるとのこと。
会場内では少しだけですが原画や設定画の展示もされていました。
基本は王道ファンタジーでありながら、大人向け RPG らしさを強く感じるアートディレクションもまた、楽曲群と同じくらい本作の世界観を決定づけています。
この設定画からイメージを崩さずにあのドット絵に落とし込んでいるというのは改めてすごい。
今ではほぼ失われたドット絵職人の仕事の真髄です。
本作に関しては今まであまりこういう設定画や原画に触れる機会がなかったので、少量ではあるけど見れて良かった。
まあ最近のこの手のイベントでの展示は行列がすごいので「並んで写真撮ってあとでじっくり見る」が常態化していて、原画を見る意味って…と冷静になってはいけない(ぉ
展示物(?)の中で圧巻だったのはこの花環。豪華さからいって関係者からの寄贈品かと思ったら、これ一般のファン有志による花環とのこと(!)。世界観を手作りで表現した力作で、見入ってしまいました。
オクトラ関連のイベントに参加したのはこれが初めてでしたが、いちファンとして制作陣や他のファンの熱量を肌で感じることのできるコンサートでした。だってまだ一年前に一作リリースされただけのゲームタイトルでコンサートまでやっちゃう、って滅多にあるものではありません。このコンサートに合わせてスマホ向けタイトル『大陸の覇者』の正式リリースに関する発表があるかと思ったら特になかったのは残念でしたが、それも含め今後の展開にも期待しています。
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