「せっかくだから、いろいろ食べたい」
ステイホームな GW の気晴らしに旗の台の「スペイン食堂 石井」に行ってきました。
『孤独のグルメ』に登場した名店の中でもここは私の特にお気に入り店の一つ。何度でもリピートする価値があるお店です。日本にイタリア料理店は数あれど、スペイン料理がカジュアルに楽しめるお店はそう多くはありません。
今回は GW 前にあらかじめ電話で予約を入れ、ランチタイムにお邪魔しました。
この黒板メニュー、いつ来てもソソる品揃え。
五郎さんメニューもいいけど一通り食べたことがあるし、今日はこの黒板を軸に攻めてみよう。
なお緊急事態宣言に伴う都の要請に基づき、ランチタイムであってもアルコール類の提供は停止中。この店の料理にノンアルコールで対峙するのはちょっと厳しいけど、できるだけ頑張ってみようかと。
まず最初にいただくのは「シェーブルチーズとクルミのサラダ」。
シェーブルチーズとは山羊のチーズで、酸味のあるサッパリとした味わいがサラダやドレッシングに合う特徴を持っています。
が、出てきたのは想像と違う輪切りのシェーブルチーズの表面をカリッと焦がしたサラダでした。
確かにシェーブルらしい酸味のあるチーズなんだけど、チーズの種類のせいなのか焦がした効果なのか、味がめちゃくちゃ濃い。
サラダもレタスとトマトに加えてラタトゥイユが入っているのが嬉しい。シェーブルとクルミの風味も相まって、これは濃厚で幸せなサラダ。
のっけからワインが欲しくなってしょうがない。
でもって「長谷川さんこだわりのマッシュルームの鉄板焼き」。ここに来たらこれを食べずには帰れません。
濃厚なハムと辛味の効いたオリーブオイルをぷりっぷりのマッシュルームが全部受け止めて、やはり何度食べてもうまい。火傷しそうなほどアツアツなのに食べるのが止まらない。
元来キノコが苦手な私だけど、この鉄板焼きだけは別口。いくらでもいける。
メインに行く前のクッション的にパンコントマテ。パンにトマトペーストを塗りつけたスペイン定番の軽食です。
パンコントマテって直訳すると「パンとトマト」。そういえば、日本語の「パン」って元はポルトガル語(スペイン語とは言語系統がかなり近い)でしたね。
一見なんてことないカナッペ的なものだけど、このトマトペーストにニンニクがたっぷり混ぜ込まれていて、めちゃくちゃ濃い味。なんかこれだけ三個くらいおかわりしてビールかスパークリングワインを飲んでいたくなります。こりゃたまらん。
もう居ても立ってもいられず、アルコール提供停止下ながら気分だけでも味わいたくなってノンアルコールビールを頼まざるを得ませんでした。
スペインの「エストレーリャ・ガリシア」ブランドのノンアルコールビールです。
これは F1 ファン的にはスペイン出身カルロス・サインツ Jr. の長年の個人スポンサーで、今季はフェラーリのマシンにもこのノンアルコールビールのロゴが掲出されています。普段ノンアルコールビールを飲まない私ですが、まさかこんな形で味わうことになるとは。
アルコールフリーだからビールとしてはさすがに物足りないけど、それでも水よりは全然いい。やはり情熱的なスペイン料理にはこの喉ごしと爽やかな苦味が必要です。
メインは「仔羊のロースト パプリカソース」。
外食する機会も減っている昨今、外食らしい食材としてラム肉があるとつい頼みがち。
羊らしい香ばしさと肉肉しい食感。脂が乗っているのに牛肉ほど重くないのもいい。
俺は今、スペインのマタドールとなってこの骨付き肉にかぶりついている。羊肉だけど。
そして〆は魚介のパエリア。この店ではパエリアは外せません。
どどーんと海老がまるまる一尾。加えて無数の貝類。
それらの旨味を全て受け止めた米は、表面がトロッとしているのに微かに芯を感じる絶妙な食感。これが米のアルデンテってやつでしょうか。
やはりここのパエリアは、相変わらずため息が出るほどうまい。
最後はアイスコーヒーをいただきつつ、うまさに興奮した気持ちを落ち着かせていきます。
何度も来ているけど、この店はやっぱりおいしい。
マスク生活だから帰路の自分の呼吸がニンニクとオリーブオイルまみれになっていることに気がついたけど、その呼気すらうまい(笑
スペイン料理の神髄は、きっとニンニクとトマトとオリーブオイルを惜しみなく使うことにあるに違いない。
折に触れてまた食べに来ようと思います。
ごちそうさまでした。
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