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安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

東所沢・角川武蔵野ミュージアムにて開催中のガンダム THE ORIGIN 展を見に行ってきました。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

本当はまん延防止等重点措置が明けてから行こうと思っていたら措置が延長になり、解除よりも会期終了のほうが早くなってしまったのでやむを得ず感染対策を十分に施した上で行ってきました。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は漫画版の完結から十年以上、OVA(過去編)の完結からも四年近くが経った今こういうイベントが開催されるのはやはり映画『ククルス・ドアンの島』公開に向けたプロモーション的意味合いが強いのでしょう。それでも安彦先生の原画を間近で見られる機会は貴重につき、遠く所沢まで足を伸ばしてきました。ちなみに混雑してはいましたが普通に当日券で入れました。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

角川武蔵野ミュージアムの 3F をまるまる使った贅沢な展示。物量もすごいことになっていて、過去に何度か実施された THE ORIGIN 関連の原画展やイベントでの展示とは比較にならない内容の濃さです。また OVA 版ではなく基本的に漫画版にフォーカスした展示内容で、とにかく安彦先生のガンダム THE ORIGIN 関連の漫画とイラストの原画が大量に見られます。

なお展示内容は漫画版 THE ORIGIN の展開をなぞる形になっていて、始動編→大気圏突入まで行ったらシャア・セイラ編~ルウム編の過去に戻り、その後ジャブローからオデッサ、そして宇宙へ…という流れ。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

過去の展示会と大きく異なるのは展示品が(映像と一部版権ものを除き)ほぼ全て撮影可能なこと。なぜか一眼レフやミラーレスでの撮影は NG でスマホは OK という謎ルールでしたが、肉眼で生原稿を見た感覚がそのまま持ち帰れるのは嬉しいですね。
ただ個人的にはスマホ以外を NG にする理由が分からない。画質的な差はもう根本的にはないと思うし、スマホは広角カメラが主流=展示物にかなり寄って撮る人が多いから逆に観覧の邪魔になると思うんですけど。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

それにつけてもこの原画ですよ。筆による繊細な線画、水彩の滲みを活かした塗り、設定色よりも印象や登場人物の心象を優先した色遣い、インパクトのある描き文字。
カラー原稿は本当に美しくて、私はこれをできるだけ高品位に読みたかったから愛蔵版を全巻揃えたほどです。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

そして原画を見るといつも驚くのは、筆描きの線の力強さとホワイトによる修正がほとんどないこと!迷いのない線だからこそ美しいということでもあるのでしょうが。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

でも個人的に安彦先生が特にすごいと思っているのはこの動きのあるコマ割り。大胆に割ってあって、でも流れで見るとまるでアニメーションのように脳内で動きを感じられるのです。やはりこれはアニメーターとして動画を描いてきた経験に裏打ちされているのでしょうか。

ただ、OVA 版の THE ORIGIN は逆にこの漫画版のコマ割りや演出を尊重しすぎてテンポが悪く感じる部分もあったので、もし今後 THE ORIGIN をベースに一年戦争編をリメイクすることがあるなら演出の部分は少し変えてほしいところ。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

安彦先生の漫画だとモビルスーツが本当にキャラクターとして動かされているのを感じます。動きの付け方がとても人間くさい。
今度公開される『ククルス・ドアンの島』の MS はセルルック CG によるコンピューター作画だと思われますが、特報映像を見る限り手描きとは真逆のアプローチで同じゴールを目指そうとしているのが非常に興味深い。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

物語の終盤、ホワイトベースが再び宇宙に上がってからのパートは展示の雰囲気がガラッと変わり、劇中の名台詞の多くが天井から吊るされていました。
なんかこれ、自分がニュータイプ能力に覚醒して宇宙の戦場でいろんな人の思念が声となって聞こえてきた…みたいな感覚が表現されていてイイですね。終盤の宇宙戦だけ、というのがそれっぽい。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

そしてやっぱりこのコマ割りですよ。アニメーションフィルムのように一コマずつ表情が動いていく感じ。
そこに最後の大ゴマでホワイトベースクルーが乗ったランチ。もうこのカットを見ただけで脳内に井上大輔『ビギニング』が流れて自然と目頭が熱くなってくるところまでがセットです。

ただこの THE ORIGIN のこのシーンで唯一残念なのが、コアファイターの設定が変更されて可変戦闘機ではなくなってしまったことで、ラストシーンの脱出に使われるのがコアファイターよりも一回り小さいコアポッドという点。ラストシーンはサイド 7 からずっと乗ってきたガンダムのコアファイターをついに乗り棄てる(そして迎える仲間たちもホワイトベースを放棄している)からこそ良かったのに…。でもそれを差し引いても感動する場面です。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

漫画原稿以外にもガンダムエースや単行本の表紙、あるいは宣伝用ポスター等の原画も大量に展示されています。
これらは版型も漫画より大きいし、何より込もっている熱量が段違いに強い。見ているこちらが圧倒されるものばかりです。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

こちらは OVA の特別版 Blu-ray のパッケージイラストですね。
一枚一枚、展示の前で身動きが取れなくなるほど。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

ちなみに安彦先生のイラストが飾った号のガンダムエース表紙も全て展示されていました。
漫画版の連載は 2001 年からちょうど十年かけて完結し、また創刊当初は季刊だったとはいえこのクオリティーで表紙から漫画(カラー原稿含む)までを連載していたというのはすごい。安彦先生、実はめちゃくちゃ速筆なのでは。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

こちらは安彦先生の仕事環境(再現)。
近年、BS1 スペシャルや「浦沢直樹の漫勉 neo」などで幾度となくこの仕事場が紹介されていたので、変に親近感があります(笑

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

漫画のネームも一部展示されていました。
というかこのネーム、キャラクターの表情なんてもう完成されてるじゃないですか。もう先生の脳内では映像として完成していて、漫画化というのはそれを切り出す作業なのかもしれないなあ…と感じます。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

こちらは安彦先生ではなく大河原氏のものですが、初期のメカニック設定稿。
ショルダーキャノン装備とかシールドの逆持ちとか黄色いロールアウトカラーとか、アニメ版のガンダムとはちょっと違う試みをしようとしているのが伝わってきます。ガンダム自体の見た目も改修によって少しずつ変わっていくし、リアルタイムで漫画を読んでいても面白かった部分。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

安彦先生はこの角川武蔵野ミュージアムがある所沢市在住ということで、市内にガンダム THE ORIGIN とのコラボマンホールが実際に設置されています。
こちら↑は市制 70 周年記念デザインとのことですが、

ガンダムマンホール

東所沢駅からミュージアムに向かう道中にも実際に THE ORIGIN のマンホールがいくつか設置されていました。(他にもエヴァンゲリオンデザインのマンホールとかもあった)

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

展示の最後には本展示会を記念した安彦先生ほかさまざまな漫画家・アニメーター・声優のサインやイラストコーナーを発見。池田秀一氏やランバ・ラル役(THE ORIGIN 版)の喜山茂雄氏、アニメ版 THE ORIGIN でキャラクターデザインを務めたことぶきつかさ氏のサインがあるのが嬉しい。

それにしてもこの中にある『ラル飯』という漫画のインパクトが強すぎる(笑。ランバ・ラルが一人メシを自炊するグルメマンガらしいですが、ちょっと読んでみるかな…。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

ファーストガンダムのハイライトの一つでもある「ホワイトベースクルーとマチルダさんの記念写真」に自分も参加して撮影できるコーナーもありました。私が見た限りでは実際に撮っている人はいませんでしたが(笑、安彦タッチの画に混ざって撮れる機会は貴重だと思います。

安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展

さて、次は 6 月公開の『ククルス・ドアンの島』ですね。
安彦監督自身「実質的に新作を作っているようなもので、THE ORIGIN アニメ化の作業よりも楽しい」と仰っているだけあって期待が高まります。
青い空に青い海、そして生身っぽさを感じるアムロのイラスト。どんな作品になるのか今から楽しみです。

角川武蔵野ミュージアム

ちなみに角川武蔵野ミュージアム内にはダ・ヴィンチストアやマンガ・ラノベ図書館等あちこちに安彦先生のサイン色紙が飾られていました。展示会を見に行くなら、ついでに核施設を回ってこれらのサイン色紙を見つけて回るのも楽しいんじゃないでしょうか。ちなみに古谷徹氏のサインもありました。

会期はこの三連休いっぱいということでもうほぼ終わりかけですが、興味ある方はお早めにどうぞ。

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