三年ぶりの開催となったオーストラリア GP。2020 年は開幕戦で金曜フリー走行の直前になって当日キャンセル、ということもありましたが、今回は無事開催することができました。でも開幕戦ではなく第 3 戦、というのはちょっと変な感じ。
バーレーンやサウジと同様、フリー走行から予選にかけてはフェラーリとレッドブルががっぷり四つ。決勝でもまたルクレールとフェルスタッペンの差しつ差されつが見れるのかと思っていたら、結果的にはフェラーリのワンサイドゲームとなりました。ルクレールは中盤からペースコントロールして終盤にファステストラップを更新する余裕すら見せたのに対してフェルスタッペンは上がらないペースに苦しみ、最終的にはマシントラブルでリタイヤ。どうも開幕戦同様に燃料周りのトラブルのようですが、レッドブルだけでなくアルファタウリにも PU 周辺のトラブルが続いているのが気になります。PU 自体は昨年の骨格をベースに E10 燃料に最適化したものだからある程度の信頼性はあるはずですが、車体とのマッチングがうまくいっていないのか、運用の主体がレッドブル・パワートレインズ(RBPT)に移管されたことで使い方やトラブルの予測に問題があるのか…。個人的にはグリッド上で最も重いと言われる RB18 の重量によって PU やタイヤへの負荷が高くなっていることが一因ではないかと推測しています。まあ今回のレースに関して言えばトラブルがなくてもフェラーリのペースについて行けていなかったのがより深刻。次戦イモラでは軽量化シャシーが投入されるという話なので、それでどの程度改善するか。
レッドブルにとってせめてもの救いは今季はペレスがフェルスタッペンに近いポジションを走れていることで、今回もフェルスタッペンの代わりに 2 位表彰台を獲得。フェラーリはサインツがリタイヤしたことで今回は最終的には一対一の戦いになったものの、今年は昨年とは違い二対二の戦いになっているのは見る側としては面白いところ。
そして今回も、気がつけばフェラーリとレッドブルの後ろを走っていたのがメルセデス。予選がダメでも決勝ではなんだかんだ上がってくるのがこのチームの底力ですね。でも今回は(セーフティカーの綾もあり)ラッセルがハミルトンの前でゴールし、メルセデス移籍後初の表彰台を獲得したのが印象的でした。本当はチャンピオン争いをする中でハミルトンとラッセルの関係がどう変化していくかを見たかったのですが(笑)、こういう形であれ絶対王者と次世代のエースドライバーがチーム内でライバル関係にある状況を見るのは面白いものです。
アルファタウリは…上位のリタイヤに助けられる形でガスリーが 9 位入賞。しかしレース内容的にはあまりいいところがなく、また角田はもっとレースペースに苦しんだ挙げ句 15 位。去年のアルファタウリならば常に 5~6 位争いができるクルマを持っていたのが、今年はどう頑張っても入賞圏ギリギリのレースが限界のようですね。厳しい中団争いの中でチームがセットアップを外し気味に見えるのも気になるところです。次戦イモラで何か効果的なアップデートを持ち込むことができるのかどうか。
例年アルバートパークはレイアウト的にオーバーテイクが難しく、SC 絡みの順位変動くらいしか見所がありませんでした。今季はマシンレギュレーション変更とコース改修によってもっとエキサイティングなレースになるかと期待しましたが、蓋を開けてみると展開的には例年とあまり変わらなかったというのが正直な感想です。クルマが変わったからといってどこのサーキットでもバーレーンやサウジのような接近戦が見られるわけではない、ということですね。
ただ、それぞれキャラクターの異なる三つのサーキットでのレースを終え、そろそろ現時点での勢力図が見えてきたように思います。なんか流れ的に今年はフェラーリなのかな…という雰囲気が漂い始めていますが、ヨーロッパラウンドの開幕戦となる次戦イモラで勢力図の更新があるかどうか。
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