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オビ=ワン・ケノービ [Disney+]

ここのところ、映画館では『シン・ウルトラマン』『ククルス・ドアンの島』『マーヴェリック』、配信では『スプリガン』『BASTARD!!』と四十~五十代向けコンテンツが相次いで公開されていてとても忙しいのですが(笑)、そんなコンテンツの一つであるこちらをようやく観終えました。

オビ=ワン・ケノービ

5 月から Disney+ で配信されている『スター・ウォーズ』スピンオフドラマの最新作です。私は例によって全話公開された後で一ヶ月だけ契約してまとめて鑑賞。このクオリティーの作品が継続的に公開されていくなら継続課金しても良いんですけどね。Netflix、DAZN、Prime Video とある中でさらに追加契約するのはちょっと厳しい。

『マンダロリアン』『ボバ・フェット』という本筋から少し離れた作品が続いてきたスピンオフシリーズですが、ついに満を持して本命が公開。Episode I~IV に登場し、作品のメインキャラクターの一人と言えるオビ=ワン・ケノービの物語です。Ep III のラストでルークとレイアをそれぞれ育ての親に託し、自身はタトゥイーンで隠遁生活を送るようになってから Ep IV までの間をどう生きたのかを描いています。

オビ=ワン・ケノービ

オビ=ワン役は Episode III からの続投となるユアン・マクレガー。劇中では Ep III から 10 年の月日が流れていますが、リアルでは 17 年経っているわけで相応にいい味が出ています。ルークの養父母となるラーズ家の二人もそのまま出演しているのが嬉しい。

しかし、本作序盤のオビ=ワンはルークを見守りながらも半ば世捨て人と化しています。それが劇中の事件を通じてプリクエル三部作時代のような強さと使命感を取り戻していく様子が描かれるのがアツい。
ただし物語としては「Ep III と Ep IV を繋ぐ話」だから始まりと終わりがあらかじめ決められているわけです。その中でオビ=ワンとルーク/ラーズ家の関係性、Ep IV の開始時点で既に築かれていたレイアとの信頼関係、さらに作品の目玉としてのダース・ベイダーとの再戦まで描かなくてはならない。ストーリーの整合性を維持しつつ盛り上げなくてはならない、難しい位置づけだと思っていました。

そしてそのカギを握るのがオリジナル三部作のヒロインとなるレイア・オーガナです。

オビ=ワン・ケノービ

本作の時点でまだ十歳(見た目的にはもっと幼く見える)。賢くて芯が強く、行動力があってちょっとお転婆。初登場時から「この子は紛れもなくレイアだ」と感じさせるだけの存在感に驚かされたわけですが、作中での出会いや経験を通じて「もっとレイアになっていった」のが激しく印象的でした。本作の裏の主人公はレイアだったと言って良いのではないでしょうか。

彼女が帝国の手先に誘拐され、オビ=ワンがそれを助けに行く救出劇がストーリーの軸になります。Ep IV の冒頭でレイアに “You’re my only hope” と言わしめる二人の信頼関係がこのときに成立したわけですね。

オビ=ワン・ケノービ

作品のキーパーソンとなるのが帝国の尋問官「サード・シスター」。赤いライトセーバーを携えているけどシスではなくあくまで「堕ちたジェダイ」らしい。
物語を引っかき回す重要な役どころなのは間違いないのですが、かなり暴走癖があって個人的には何がしたいのかよく解らないキャラクターだったなあ…一応背景の説明はあるんですが、それでもなんか腑に落ちない。ディズニー傘下になってからのスター・ウォーズはこういう「何がしたいかよくわからないキャラ」が出てくる割合が高いように思います。

オビ=ワン・ケノービ

やっぱりこの人。『スター・ウォーズ』と言えばダース・ベイダーなわけです。この黒いマスクがスクリーンに現れるだけで緊張感が漂う。

ちなみにベイダーを演じるのは勿論 Ep III に続いてヘイデン・クリステンセン。マスクの中の顔立ちを特殊メイクでオリジナル三部作のセバスチャン・ショウの顔にうまく寄せてあるのが素晴らしい。それも含め、映像面ではプリクエルからオリジナル三部作へのブリッジを強く意識しているのが伝わってきました。
ただ、劇中ではオビ=ワンとアナキンの回想シーン(新撮)が時折挟み込まれるのですが、そこに出てくるアナキンの顔が老けていたのがとても惜しい。ヘイデンももう四十代だからしょうがないとはいえ、Ep III のときに持っていたあの強烈な色気が全然感じられなくなっていました。あれは CG で昔の顔を描いても良かったんじゃないか。

オビ=ワン・ケノービ

オビ=ワンのほうは物語が進むにつれて覚醒し、Ep III ばりの活躍を見せるようになります。昔の勘を取り戻すと殺陣も Ep III の頃を彷彿とさせる感じになりつつ、年齢を重ねたなりの巧さや渋さも併せ持っている様子が表現されているのがとても良い。
アナキンとは対照的に、オビ=ワンは歳を取ってからの方が色気が増しているような(笑

オビ=ワン・ケノービ

全 6 話のうち前半は背景の説明や登場人物の関係性の描写に時間をかけていて「随分丁寧にやるんだな」という印象でしたが、後半はかなりアクションが増えて尻上がりに盛り上がっていきます。
ライトセーバーでブラスターを跳ね返すシーンとか、もう散々見てきたにも関わらずまた見れると痺れる。

そして、

オビ=ワン・ケノービ

これですよ!これが見たかった。
Ep IV でのオビ=ワンとベイダーの最後の戦いは、当時の撮影技術的な問題やベイダーのスーツ等の都合で迫力ある映像にはなりませんでしたが、見ながら脳内で「きっとこんな風に戦っているはずだ」と想像することで補完していました(笑。それが本作では全力で戦う二人が見れる。Ep III における「剣の舞」のようなバトルとも違う、完成されたジェダイ同士の戦い。これを見れば今後 Ep IV を見返すときにも脳内補完が捗ります(ぉ

細かなツッコミどころはいろいろあれど、総じてとても良かった。やっぱり本筋のスピンオフは作り手も受け手も気合いが違いますね。この調子で続編作ってくれてもいいんですよ!
ちなみにスピンオフドラマの次回作は『ローグ・ワン』から、キャシアン・アンドーの物語が 8 月末より配信開始されます。これまた渋いチョイスではあるけど、時間軸的には本作のちょっと後をやるということなので、もしかしたらオビ=ワンの出番もあったりするんですかね?『ボバ・フェット』では終盤にサプライズがあったことだし、こちらも期待してしまいます。

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