「なんかこう、腹にジャジャーンと響かせたいな」
ドラマ『孤独のグルメ Season10』も既に第 9 話、いよいよ終盤戦に差し掛かってきました。今年も大晦日スペシャルの放送が決定して年末感も出てきましたが、私はつい先ほど放送されたばかりの第 9 話の舞台・日暮里に聖地巡礼に行ってきました。
日暮里といえば原作コミック第 30 話「東京都荒川区日暮里繊維街のハンバーグステーキ」の舞台にもなった街。私は普段は京成スカイライナーで成田空港に行くときに乗り換えるくらいしか縁がない場所ですが、原作の聖地巡礼以来七年ぶりに繊維街を歩いてみました。ちなみに原作に登場したレストラン「ニューマルヤ」の前を通りかかったところ店主が怪我をしてリハビリのためしばらく休業中とのことで、早く回復されることを祈っています。
今シーズンの孤独のグルメはサブタイトルにある地名と実際のお店の最寄り駅が微妙にずれていることが続いていますが、今回も日暮里をサブタイにしながら実際は常磐線三河島駅の近く。三河島といえば Season7 の麻婆豆腐回ですが、そちらのお店からも徒歩数分の距離です。あの麻婆豆腐おいしかったからまた食べたいと思いつつ、こっち方面は微妙に遠くて来れてないんですよね…。
さておき、三河島周辺は歩いてみると韓国料理のお店がやたら多い。東京のコリアンタウンというと新大久保だけど、それよりももっとローカルでディープな韓国街という雰囲気があります。そんな駅前通りに面しているのがこちらのお店。
看板の「韓国料理」の下に「炭火焼肉・韓国式中華料理」の文字。韓国だから焼肉はまあ分かるけど、韓国式中華料理って何だろう?まあ、日本にも本場にはない日本式にアレンジされた中華料理はあるし(天津飯とかエビチリとかね)、分からなくもない感じ。
私は開店の五分ほど前にお店に着いてしまったからしばらく待っていたのですが、店先に掲げられたこのカンジャンケジャンのイラストが何とも言えない脱力感(笑
もうなんかこれを見ただけで期待が高まってしまう。
こちらのお店、なんかもう完全に孤独のグルメ推し。松重さん・久住さんに加えて店主役の甲本雅裕さんの写真が看板化されているし、「五郎さんセット」まであらかじめ用意してある準備の良さ。ドラマ登場店で五郎さんセットを提供する店は珍しくないけど、店に入る前からここまでアピールしているのはあまり例がない(笑
店内はそれほど広くなく、こぢんまりかつごちゃっとした感じが韓国料理っていうより町中華っぽい。気取らずに日常のメシを食べる店らしい雰囲気が却って落ち着くし、おかみさんの人当たりの良い感じがまたいいんだ。初めて来たのに、なんだか昔からよく来てる近所の店的な。
メニューの一部。チヂミ、トッポキ、豚足…王道の韓国家庭料理たち。
他のお客さんも韓国系の割合が高いように見えたし、ここは基本的にこの周辺に住む韓国系の人たちが日々の食事を摂りに来る店なんでしょう。韓国式中華料理っていうのは、日本人が日々普通に餃子とか回鍋肉とか食べるように韓国の食卓で一般化した中華料理ということに違いない。
さて、どう組み立てるか…まあ、私が今回食べるものはもう決まっているんですけどね。
料理の前にまずはウーロンハイから。
なんかビールっていう気分でもなかったけど味が濃い料理が来そうだからちょっと飲みたい、でも少し井之頭五郎を気取ってみたいということでウーロン「ハイ」。これが久住さんだったら「あれ?なんかアルコールが入ってるなw」とか言いながら嬉しそうに飲むところです。
そしてメインが来る前に運ばれてくるカクテキや沢庵などの漬物類。
そうそう、韓国ではイントロのおかずパレードが楽しいんだった。これはウーロンハイのお供にちょうど良い。
しかし右下の取り皿の柄がむやみにかわいくて、なんか実家を感じてしまう(笑
そういえば、以前聖地巡礼で韓国に行ったときにはメイン料理の前におかずの群れに囲まれたっけ。この漬物はそれほど大量じゃないけど、なんかあのときのことを思い出してついニヤけてしまう。あの旅、楽しかったなあ。
五郎さんセットのメイン、まずは酢豚(小の S サイズ)から。
豚肉以外の具材が面白くて、まずは給食以来のパイナップル。これは懐かしい。さらにリンゴの薄切りが入っているのは初めて見ました。タマネギとかキクラゲとかももちろんあるけど、ここの酢豚はフルーツ推しなのか。
酢豚にパイナップルは無し派な私でも、このリンゴがあることでパイナップルが自然に感じられてしまう。
かなりしっかりめに揚げられた豚肉。カリカリ・サクサク感がいい。
そして、味付けはちょっと甘め。口の中が子どもに帰るような、甘系酢豚。だからこそ途中で辛味を入れて味変する意義がある。
そしてここで今度はトウモロコシ茶(ヒゲ茶)が登場。五郎さんセットにトウモロコシ茶が含まれていることを気づかずに、ウーロンハイを注文してしまったということですがこのときはウーロンハイ飲みたい気分だったから無問題。
トウモロコシ茶、好きなんですよね。飲んだ後にコーンの甘い香りがふわあっと広がるのがイイ。
そんでもって次に届けられたのが「チャムチャ麺」。
名前を聞いたのも初めてならば、料理も器を見るのも初めて。
楕円形を真ん中で二つに割った器、まるで陰陽っぽい。さすがは国旗の中央に陰陽のシンボルを載せている国。
ここに来る前に三河島の駅周辺を歩いていたら看板にこの写真を載せている店が他にもあったから、きっと韓国ではポピュラーな料理なのだろう。
まずは赤い方、ちゃんぽんから。
いかにも韓国らしい辛いスープに、たっぷりの海鮮と麺。ちゃんぽん麺っぽくもあるけど海鮮チゲ鍋に中華麺をぶち込んだような感じでもある。
これは食欲をそそる匂いと見た目だ。
ああ、なるほどこう来たか。いいよー、いい。
確かにチゲ鍋風赤ちゃんぽん。たっぷりの海鮮の出汁がよく出ていて、滋味ディープ。
たぶん放っておくと麺がスープを吸って延びてしまうから、もう一方よりもこっちの赤ちゃんぽんを優先的に食べるのが正解。
そしてもう片方はジャジャン(ジャージャー)麺。
「ジャージャー麵」のイメージからは想像がつかない、真っ黒い肉味噌。富山人としてはイカの黒作りがどっさり乗った麺に見える(笑
食べる前によーーーくかき混ぜてから、いただきます。
ほー、ほー、ほおお。これまたしっかり濃口甘麺、うまい。
食感や味付けは中華のジャージャー麺とは微妙に違うけど、総合的には確かにこれはジャージャー麺。
さっきのチゲちゃんぽんとは全然違う世界が広がっていた。
初めての韓国式中華で、初めて食べる麺の素晴らしい競演。これは面白いものを知った。
せっかく日暮里三河島まで来たからにはこれだけで帰るのはもったいない、ということで追加注文はチーズタッカルビ。劇中では他のテーブルのお客さんが食べてたやつですね。
チーズタッカルビ、日本でも数年前に流行ったけど最近聞かなくなったような。でもブームが去った今だからこそ食べたい。
ちなみにチーズタッカルビにはライスがついてきました。確かにこの味には白米が必要。ようし、燃え尽きるぞ!
ピリ辛の鶏肉に、伸びるチーズの風味がいい。これは白米をバクバクいけてしまうやつだ。
けっこうボリュームのあったチャムチャ麺の後にこの量のチーズタッカルビと白米はちょっと食べ過ぎな気もするけど、食欲が加速する味。
あー、お腹いっぱい。もう入らない。
でもここは五郎さんメニューだけ食べに来るのはちょっともったいない気がする。大量にある韓国家庭料理や韓国式中華料理を複数人でつつきながら飲む、のが楽しそう。今度来るならそういう使い方をしたいなあ。
韓国式中華、こんな食文化があったなんて。韓中合作ダブル麺、楽しかったです。
ごちそうさまでした。
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