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久が原 とんかつ「自然坊」

久が原で気になるとんかつ屋を見かけたので入ってみました。

自然坊 ~じねんぼう~

駅前の商店街から一本ずれた道沿いの住宅街にぽつんとあるとんかつ店。実は学生時代にここから徒歩数分のところに住んでいたのですが、当時からここにあったらしいけど全然知りませんでした(というかこの道を歩いたことがほぼなかった)。
でも妙に気になる店構えで、窓から見える店内の雰囲気もなんかいい感じ。これは入ってみるしかないでしょう。

店内はカウンターの他にテーブル三つ、奥にはさらに座敷席もあるようです。
都内のとんかつ屋というとカウンターしかなかったり、テーブルがあっても極狭だったりすることもよくある中、これだけゆったりしているのは珍しい。客層もちょっと余裕ありそうな人やお年寄りも多くて、とんかつをガツガツ食べに来るような店でないことが分かります。

注文を済ませるとなんか立派な器に注がれたお茶が出てきました。
この店、食器は全て唐津焼とのことで、店名も唐津焼の陶芸家「中側自然坊」に由来しているとのこと。この器に入っているだけでお茶がやけにおいしく感じますね…。

とんかつの出来上がりが近づいてくるとご飯と漬物、ソースが運ばれてきます。
漬物に含まれている赤いの、梅干しかと思ったらなんとさくらんぼの漬物!甘いさくらんぼにちょっと酸味がついた感じで、ご飯の供というよりはデザートにもなりそうな不思議な味。

ランチのロースカツ定食(2,900 円)。
唐津の器が大きいからカツが小さく見えますが、大きさも厚さもしっかりしたロースカツです。

衣は薄め、パン粉もきめ細かくてサクサク。
肉はロースなのに重くなく、脂身の具合もちょうど良い。何よりも柔らかくて火の通り具合が絶妙。きちんと作られたいいものをいただいている感覚があります。銘柄豚の肉のうまみでガツンと食べさせるようなとんかつとは別の食べ物という感じ。

味噌汁は赤出汁。とんかつと赤出汁と白飯のローテーションをずっと続けていたくなるようなバランスの良さ。

あー、これはいいロースカツ定食だ。

ヒレカツ定食もいただいてみました(2,900 円)。
同じく唐津焼の器に、黄金色に揚がったロースカツが三切れ。おお、これもおいしそうだ。

うっすらと赤身を残す感じで揚げられたヒレカツはしっとりしていてうまみが良い。
私はとんかつ屋に来たら基本的にはロース派だけど、この店はロースもヒレも甲乙つけがたい。どっちもすごくおいしいです。

ランチの定食には食後のデザートとしてソフトクリーム(黒蜜がけ)がついてきます。一緒にほうじ茶を入れてくれるのが嬉しい。

いやあ、これは期待以上のクオリティーでした。ここから数駅の蒲田はとんかつの激戦区だけど、それらの名店と比べても引けを取らないどころか、個人的にはこっちの方が好きかも(値段も高いけど)。
後で調べて知ったのですが、この店はミシュランガイドのビブグルマンに選ばれたこともあるようですね。確かにこの味なら納得だけど、こんな立地にあるとんかつ屋を見つけてくるミシュランガイドもすごいな(笑。

とんかつもいいけど、他のお客さんが頼んでいた一品料理もすごくおいしそうだったんですよね。何かの機会に、自分へのご褒美としてゆっくり飲みに来てみたいお店でもありました。

きっとまた来ます。
ごちそうさまでした。

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