ズバッと一閃! フェルスタッペン大胆オーバーテイクで今季2勝目。角田裕毅は10位入賞|F1エミリア・ロマーニャGP決勝
今年が最後の開催と言われるエミリア・ロマーニャ GP。予選では角田とコラピントが相次いで 31 年前にラッツェンバーガーとセナが事故を起こした現場の近くでクラッシュし、少しイヤな感じがしましたが…決勝は比較的クリーンに終わってひと安心。
序盤はずっと DRS トレインが連なる展開で退屈しましたが、VSC と SC の導入がレースを面白くしてくれました。
■レッドブル
フェルスタッペンが予選 2 番手からホールショットを決めて快勝。タンブレロの飛び込みでピアストリを仕留めたアタックは、ピアストリがラッセルへの対応を優先していたとはいえお見事でした。その後は巧みにペースコントロールしてミディアムタイヤを 30 周近くもたせて 1 ストップ作戦を敢行。終盤の SC 導入により M→H→H の 2 ストップに変更したものの、ピアストリとノリスの追撃を寄せ付けずにトップチェッカーを受けました。鈴鹿に続く今季 2 勝目はまたしても完勝と言って良い。戦況に応じて的確な戦略を選べる巧みなストラテジーと、それを可能にするフェルスタッペンのドライバー力ですね。そしてそれをもたらしたのがオープニングラップのオーバーテイク。改めてチャンピオンの強さを見せつけられました。
クルマに関しても、今回のアップデートによって少なくともここイモラではマクラーレンと対等に戦える戦闘力があったように見えます。次のモナコはフェルスタッペンにとってピアストリに追いつく大きなチャンスとなるのでは。
角田は予選 Q1 でクルマが一回転するレベルの大クラッシュ。決勝に向けてはモノコック交換を含む、ほぼマシン一台新造に近い修復作業を余儀なくされました。これは一番やっちゃいけないパターン…ではあるけど、FP3 までセットアップ迷子になっていた状態から予選 Q3 進出を目指す(しかもできるだけ上位を狙いたい)となると慣熟していないセットアップで限界を攻めなくてはならないのも理解はできます。とはいっても不必要なクラッシュだったなあ…まあレース後のコメントを読む限りは何をしなくてはならないかは本人が一番よく解っているようだから、ここから学んでくれることを願います。
ハードタイヤを履いてピットレーンスタートを選んだ決勝では、序盤にベアマンに仕掛けたものの抜ききれないと見るやタイヤを温存させる戦略に切り換えたように見えました。そして最初の VSC の時点でミディアムタイヤに切り換え、終盤の SC では逆にステイアウトを選択。11 位からヒュルケンベルグのミスを誘ってオーバーテイクを決めたテクニックは見事だったし、その後ファイナルラップまで後続を抑えきったディフェンスも立派。チームメイトが優勝したレースで 10 位というのは寂しいけれど、決勝のスタート地点を考えればよくやったのではないでしょうか。そしてこちらでも光るのがチームの柔軟なピット戦略。今回はレッドブルのストラテジストが最高の仕事をしたと思います。
■マクラーレン
レース前には今回もマクラーレンが余裕の 1-2 フィニッシュと予想していましたが、結果はまさかのノリス 2 位・ピアストリ 3 位。
決勝のオープニングラップでピアストリがフェルスタッペンに抜かれたのはミスというよりもマックスが一枚上手でしたね。でもそれ以降は安定して 2 位を確保できるレースだったはずが、SC 導入によりタイヤ戦略を分けたノリスに最終的に先行される形となりました。ピアストリにとっては今回は運がなかったというべきか、それともマクラーレンのストラテジーが甘かったというべきか。少なくとも予選・決勝ともに速さそのものはもうピアストリがノリスを上回っています。
今回はタイヤが終わりかけているピアストリとフレッシュタイヤのノリスを普通に戦わせてノリスが前を行きましたが、遅くともサマーブレイクまでにはドライバーの優先順位を決めなければフェルスタッペンに隙を突かれるリスクがあると思います。まあ、今回のマクラーレンの選択のおかげでチャンピオンシップ的には 1~3 位のポイント差が縮まって面白くはなってきましたが(笑。
■その他入賞争い
ウィリアムズが 5-8 位入賞。アルボンは今季ここまでほとんどのレースで入賞し、サインツも直近 3 レースで入賞。いよいよウィリアムズの復活は本物と言って良いのではないでしょうか。
一方でトップチームではラッセル(メルセデス)が予選 3 番手を確保しながら決勝では存在感がなく、逆に二台揃って Q2 落ちしたフェラーリが決勝で復活し 4-6 位。かと思えば今シーズンほぼテールエンダーに近かったアストンが予選 5-8 番手(ただし決勝では振るわず)と、各チームの浮き沈みが激しいグランプリでした。浮き沈みが激しすぎてチャンピオン争いはもう三人に絞られてしまった格好ですが、中段のこの混戦模様はシーズン終盤にかけて面白さを増しそうで楽しみです。
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